好きの反対は・・・
処女作ですので拙い文章ですが読んでいただけると幸いです
高校の校舎裏で、二人の男女が話しをしていた。男はなにを言われるのか、分からなかったが女は、男に話しをする。話し始めると男の顔が青ざめていく。そしてしまいには涙をこぼしていた、そして女性は校舎裏から去っていった。
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「さよなら雨野くん」
「ちょっと、まって…」
突然だった、幼馴染であり彼女の土屋恭子に振られたのは。僕雨野蓮也だったのだ、僕らは相思相愛だった、だったはずなのにまさか別れ話をするなんて思ってもなかった。
「なんで・・・僕のなにが悪かったの」
「なんでって・・・うーん興味が無くなったから?」
「え?」
「最初は分からなかったの、これが恋なのか、幼馴染だったあなたに告白されてだいぶ戸惑ったわ。まさか幼馴染の達也が付き合ってくださいなんていうんだから、もちろんドキドキはしたしこれが恋なのかとも思ったわ。だから私は達也に付き合った。でもね今はわかるのこの気持ちは恋愛じゃないって、そうこの気持ちは親愛だったのよ」
「なにいって・・・」
「まだ分からないの?私は達也に惹かれている気がした、そう気がしただけなの。実際達也に抱いていた気持ちは『親愛』愛は愛でも恋愛に発展するわけじゃないの」
「裏、うそだろ返事をくれた時『私も愛してる』っていってくれたじゃないか。あれは、あれはうそだったのかよ」
「だからいったでしょ親愛なの、達也には親愛しか抱いていないの。だってあなた男らしくないでしょ」
「それはなんとかする。だから、だから戻ってきてくれよ」
「達也になんとかできるの?達也の特技なんてゲームぐらいじゃない?」
「でも頑張るから頼むから戻ってきてくれ」
「残念だけど無理よ」
「どうして・・・」
「だって今の達也に興味はないの」
「え?」
「もう今の達也は好きでもないし嫌いでもない、そうただの幼馴染よ」
「・・・・・」
「そういうことよ、二度も言わせないで。さよなら雨野くん」
そう言って彼女は去っていく。その先には彼女の友人がいた、彼女は友人と楽しく話している・・・・今日僕には、向けてくれなかった、笑顔で・・・・
「なんで、なんでなんだよ!くそぅぅぅ」
僕は泣いた、とてつもなく泣いた。自分の中にあった感情がドロドロに溶けていく、僕はそれをすくおうとするが、指の隙間から溢れ落ちていく、そんな気持ちだ。
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僕は意識を覚醒させた。もう空は真っ暗だった、どれくらい泣いていたかは分からないが、校舎裏だったので人は来なかった気がする。もしかしたら誰かに聞かれたかもしれない、そんな羞恥心が込み上げてきた僕は、周りを見る。誰もいないようだ、僕は顔を赤くして家に帰った。
もう彼女はいない、僕が弱いからなのか?違う彼女は興味がないと言っていた、もしそうだったとしたら、もう彼女は僕には振り返ってこないだろう。僕はそう思うと余計に涙が溢れてきた、家では泣いてはいけない両親と妹に心配されてしまう、そんなことはしてはいけない、頑張って立ち直らないと・・・・・
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やっぱり無理だった、僕には彼女を忘れることなんてできない。今日は運がいいのか分からないが休日だ、彼女に会わないですむ・・・・あれ?なんで僕は彼女と会いたくないんだ?僕は彼女に振り返ってほしいはずだ、なぜ僕は彼女に会いたくない、と思ってしまったんだ?僕が僕じゃなくなるそんな気がしてしまったが、そんなわけないと考えるのをやめた。
朝ご飯は喉を通らなかった。顔色が悪かったらしく妹に心配された、大丈夫だよと答えたが納得していなさそうだったが、わかったと言って部屋に戻ってしまった、駄目な兄だなと思った。結局朝ご飯はお茶だけだった。
その後は部屋で明日のことを考えた。明日彼女にどんな顔して会えばいいか、わからなかった僕が悩んでいる所に、妹がやってきた。
「お兄ちゃんほんとに大丈夫?」
「ほんとに大丈夫だよ莉奈」
僕の妹莉奈が部屋に勝手に入る、ん?この部屋鍵付きだよな、あれ鍵閉めてたような?
「そんなことはどうでもいいよお兄ちゃん」
「あれ?僕なんか言ってた?」
「思いっきり言ってたよ、鍵閉めてたよな?とか恭子ちゃんと別れたとか」
「え?そんなこと言ってたの!?もしかして父さん母さんにも聞こえてた?」
「ううん聞こえてないと思うよ。聴こえていたのは私だけだから」
「よかったあ〜」
「ん?なにが『よかったあ〜』なの、私に聞かれてなにも思わないの?バラされるとかさ」
「そんなこと僕の妹が言うわけでないじゃないか。莉奈は心優しい最高の妹さ」
「あ、ありがとう////////」
僕の妹はほんのりと顔を赤らめる、もしや風邪気味なのか?部屋を出るように言うのだが、妹はなぜか睨んでくる、なぜだ?と思うと妹は呆れた顔をしている、もしかして考えが読まれているのかな。僕の妹は凄いな。
「そんな、褒めなくてもいいのに////////」
前言撤回なんか怖い、なんて思ってると妹は睨んでくる、表情コロコロ変わるな。
「お兄ちゃん、そんなことより恭子ちゃんと別れたのがそんなに悲しいの?・・・一日中部屋に籠るくらい」
「え?一日中?」
おかしい、僕は、昨日学校に行っていたはずだ、いや僕は心のそこでわかっていたのかもしれない。今日が日曜なのは、携帯を見てわかっていた。でも、でも、でも、認めたくなかったんだ、まさかショックで土曜日はずっと部屋にこもっていたなんて、彼女を失ったショックで一日中こもっていたなんて認めたくなかったんだ。
「お兄ちゃんほんとに大丈夫?記憶もあいまいになるほどショックを受けてるなんて、いったいどんな振られ方したの?」
「莉奈には関係ないよ」
「関係あるよ、だって私はお兄ちゃんの実の妹なんだよ、お兄ちゃんだって私が隠し事していたら私を問い詰めてでも聞くでしょ?」
「それはそうだけど・・・・・」
「なら言った方が楽になるよ。別に泣いてもいいから、ほら言おう?」
僕は莉奈に全部話した、恭子は僕に親愛しか抱いていなかったことや、もう僕には興味がないことも、なにもかも話した。莉奈は全て真剣に聞いてくれた、僕はやっぱり泣いてしまった。だが心配はかけまいと、泣いた声を押し殺していると、莉奈が頭を撫でてきた、くすぐったかったが不思議と気持ちが落ち着いた。莉奈や両親に心配をかけては、いけないと思った。
「お兄ちゃん・・・恭子ちゃんはもう諦めよ。ほら初恋は叶わないって言うじゃん」
「やっぱりもう無理なんだな」
泣いてスッキリしたのか、僕は彼女が戻ってこないことを完全にわかっていた。あの愛しかった彼女はもういない。こんな可愛い妹が励ましてくれるのに、僕はいつまでもくよくよしている。僕は変わらないといけないと強く決心した。
「莉奈・・・わかったもう恭子は諦めるよ」
「ほんとに?・・・よかった〜いつまでもお兄ちゃんが恭子ちゃんに好意を向けていると、私に全然構ってくれないから心配だったよ」
「なんか言った?」
後半は聞こえなかった、莉奈が喜んでいるのはわかるけど・・・俺難聴スキルなんて持ってたっけ?
「なんでもないよ」
莉奈は可愛らしく笑うのだった。
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俺は初恋を諦めた、というより恋を諦めた、振られるなんてもうこりごりだ。こんなことを言えばチキンと笑われるだろう、だけどもう大好きだった人を失いたくないんだ。だから恋なんてしない。
俺は空手をやってみた、運動に集中して、恋を忘れるためだ。なかなか筋がいいようで、うちの道場に入らないか?と誘われた、もちろん俺は承諾した。そしてずっと稽古をしている、放課後はすぐに道場に行き休日は、一日中道場に行った、道場のおっさんに真面目だなと言われた。真面目なわけない、これをしないと彼女のことを思い出してしまうからだ。この後知ったのだが、彼女は生徒会長と付き合ったらしい。
あれから一年が経った。俺には浮ついた話なんてものは微塵もなく、俺は空手で全国ベスト16までいった。初めて一年でこの進歩は異常ならしくオファーがたくさんきた。だが俺には、富や名声は興味がない。俺が必要としているのは練習だ、彼女を忘れるくらいの練習を欲していた。だからなのか俺も今は、彼女への恋心は薄れていった。それなのに、俺は彼女が生徒会長と別れて少し嬉しく思ってしまった。不甲斐ないと思い、練習量を倍にした。翌日は筋肉痛で物凄く痛かった。
学校帰りの時だった。俺は近道を通っていると、と女性が暴漢に襲われていた?まあわからないが、もしかしたら恋人なのかもしれない。そして俺は通り過ぎようとすると。
「た、助けてよ、そこの人」
「え?もしかして俺のこと?」
「ええあなたのことよ。早く、早く助けて」
「うるさいぞ、ごちゃごちゃ喋ってるんじゃねえ!」
えーなんか扱いひどくね?まあ助けてあげますか、情けは人の為ならずって言うしな。
「まあまあ穏便にいきましょうよ」
「なんだよ、おまえまさかこいつの連れか?ならおまえからだ」
「仕方ないな、穏便にいきたかったけど」
突然だが、俺はゲームが得意だ。特に得意なのは主に、反射神経や動体視力を使うゲームだ。そんなつまんなそうなゲームなんて、やりたくないって?以外と楽しいからやってみな。もしそれでつまらなかったとしても文句は言うなよ
女性を襲っていただろう男が殴ってくる、やっぱり動体視力がいいと攻撃が少し遅く見える、だからこそ避けることができた。そして男がよろけたところをすかさず殴った、そしてとどめを刺そうと思って、右腕を挙げると。
「すまなかった許してくれ」
男は泣き顔で懇願してきた。知らないおっさんの泣き顔を俺はみたくもない、もちろん知ってるおっさんの泣き顔も、見たくない。
「なら早くここから去れよ」
男は何も言わずに去って行った。これはまるでヒーローだな、言い換えれば偽善者でもある・・・・俺はこんなこと、できればやりたくないな、と思った。
「ありがとうございます・・・・もしかして達也?」
俺のことを達也というのは、彼女しかいない。失敗した、まさか彼女がこの場にいるなんて。後ろを振り返ろうとすると、去年見た彼女の顔が脳裏に映る。無表情で俺を見下す目、諦めた俺には心配ないはずだ、だから俺は振り返った、そこには去年と変わらない彼女の凛々しい顔だった、だがその顔は歪んでいたのを無理矢理戻している、そんな感じかした。
「やっぱり達也じゃないの・・・あの、助けてくれてありがと」
やめてくれ。そんなことを言って頬を赤らめないでくれ、そんな潤んだ目で見ないでくれ、もう俺は君を諦めたんだ。君と付き合う気はないんだ。俺はそうありたいんだ
「達也って強いんだね・・・ねぇ、私達やり直そうよ」
「・・・・・」
「さっきあなたが私を暴漢から救ってくれた時思ったの、ああやっぱり私には達也が必要なんだって」
「・・・・・」
「もしかして怒ってるの?ならごめん謝るからさ、私はあなたに救われた時ドキドキしていたの。これが本当の恋だって今思うと、どうしてあなたを振ったのかが分からないの・・・何か言ってよ達也」
「・・・・・」
もうやめてくれ、やり直すなんて言わないでくれ。君は俺を振っただけ、君は悪くない振られた俺が悪いんだ。だけど、だけどやり直そうなんて言わないでくれ、ここでやり直すと今まで俺の努力は、どこに行くんだ。青春を溝に捨て鍛錬ばかりやっていた俺を、そんな惨めな俺を否定しないでくれ。もう君とは決別したんだ。
「どうして何も言ってくれないの?」
「・・・・・」
「怒ってるなら許してよ、なんでもするから」
「・・・・・」
「お願い・・・許してよ」
彼女の頬には涙が伝わっている、目は光が失われていく、俺はそんな顔見たくなかった。だからなのか会話をしてしまった。
「そんな顔しないでくれ」
俺が返事をしたせいで彼女の目に光が戻る。
「なら許してよ、そしてやり直そうよ」
「・・・それはできない」
「なんで?怨んでるんだったら気がすむまで罵倒してもいいし、殴ってもいい、身体をあなたに捧げてもいい。だから、だから許してよ」
彼女は俺の赦しを欲している、そう思ってしまった。彼女は俺に赦してほしいのだ、もちろん許すことはできるだが、やり直すことはできない。涙目の彼女に向けて放った言葉は・・・
「それはできない」
否定の言葉を述べなければいけなかった、そうでなければ、俺達はまた同じ道を繰り返すだろう
「・・・・え?」
まさか拒否されるとは、思ってなかったのか。彼女は大きく目を見開いて、びっくりしている。やがて顔はなんと言えばいいか分からないが、この顔に合う言葉は“絶望,,だろう彼女は絶望しているのだ。まさかあの幼馴染が自分を拒否するなんて、と。
「もう、いいかな?」
俺はここを立ち去ろうとした。その言葉を聞くと彼女はハッっと意識を取り戻し、俺に向き合った。
「どうして許してくれないの、嫌ってるなら、怨んでるなら、なんでもしていいっていってるのに」
「嫌ってないし、怨んでもいないよ」
「ならどうして許してくれないの!」
彼女は叫んだ、彼女の顔は涙でぐしょぐしょになっている。俺はそんな彼女に無表情を取り繕うように言った。
「興味がないんだ」
「え?」
「ほら、好きの反対は無関心・・・だろ?土屋さん」
彼女はへなへなとした様子で床に座り込んでしまった。そんな彼女を背に向け俺は歩き出した。僕の頬は少し濡れていた。
こんな拙い文章を読んでいただきありがとうございます