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《八重の王》 -The XXXX is Lonely Emperors-  作者: Sadamoto Koki
第□章:幕間
66/78

#EX 「第二章:わたしたちの国」『わたしたちのアレクサンダリア』p.p.23-32、皇都出版、××××年

 皆さんが暮らしているアレクサンダリアが、昔、いくつもの国にわかれていたことは知っていますか? 偉大なる大皇帝アレクサンダグラス=□□□□□□=□□□□によって統一される以前は、大陸中のそこかしこに色んな国が存在していました。

 みなさんは、最大でいくつの国があったと思いますか? 六十とも、百とも、もっとあったとも言われています。

 今でもそれらは、アレクサンダリアの一つの都市という形でその枠組みを残しています。

 この章では、その中でも「八大国」と呼ばれる、大きな国々を見ていきましょう。



1.イスカガン

 人口: ××人

 人種: □□□人、□□□人、□□□人など

 首長: アレクサンダグラス=□□□□□□=□□□□

 特徴: アレクサンダリアの首都。大皇帝アレクサンダグラス生誕の地であり、「世界の半分イスカガン」ともあだ名されています。元々は小さな国で、ほぼシンバの支配下であるとも呼べる庇護のもと、スーチェンを代表とする東方騎馬遊牧民族からの侵攻に対抗していました。現在都市の形はほとんど真円に近い形をしており、その中心の皇宮からは東西南北とその中間四方向を加えた計八本、大街道が建造されています。北東に伸びる一本以外はすべて他の八大国方面へと伸びており、その行き来を円滑に行えるようになりました。

 ここに暮らす人々は実に多様で、大陸中から様々な人々が集まってきます。多様な価値観・宗教観・文化を持つ人々が互いを尊重し合いながら暮らし、公共の場では雑多な光景が多く見られます。

 大陸で一番目に規模が大きく、二番目に研究施設の整った学院が設置されていて、毎年多数の留学生を受け入れています。

 商業も盛んで、「この大陸に存在するものであれば、イスカガンで手に入らぬものはない」とまで言われています。

 産業はあまり盛んではなく、周辺で少し農業はしていますが、食品のほとんどを輸入に頼っています。



2.シンバ

 人口: ××人

 人種: □□□人。肌が浅黒く、髪と瞳の色は黒。

 首長: ベルナルド=□=□=□□

 特徴: イスカガンから馬で一日程度と、ごく近所の都市です。若き指導者としてイスカガンにアレクサンダグラスが見出されるまでは、大陸中央を陣取り、東のスーチェン、西のペラスコを完全に跳ねのけていました。

 ここに暮らす人々は主に□□□人で、女神教□□□□派がほとんどです。彼らは日に五回、決まった時間になると月に向かって祈りを捧げます。

 都市の規模としてはイスカガンと同じくらいであり、人口もほとんど変わりません。

 商業も盛んで、西方からイスカガンへの中継貿易で栄えた時期もありました。

 産業も盛んで、領地の六割程度が農地です。シンバ内の食料事情自給率はほぼ十割に迫り、余剰分をイスカガンをはじめとした各国へと輸出しています。



3.スーチェン

 人口: ××人

 人種: □□□人。肌は黄色みの強い色で、黒っぽい髪と瞳を持つ。

 首長: (ウー)

 特徴: 大陸東岸のほとんどを占拠する、武力に秀でた国家でした。極東の島国、ヤハンとは折り合いが悪く、定期的に戦争をしていたためか、あまり大陸の中央部まで進出する事は叶いませんでした。独自の武術や、独特の形をした武具などを多く考案し、使用します。製紙法を発明したのもこのスーチェンであり、武力だけではなく、高い文化水準も古くから持ち合わせています。

 ここに暮らす人々は主に□□□人で、女神教□□派、あるいは□□派、□□派など、複数の派閥が混在しています。これらの起源はすべて□□という宗教ですが、開祖の死以降次第に解釈の違いが生まれていき、分派していきました。

 首都はチャンアンで、他にも十数の都市を従えています。これらの都市は、元々大陸東に多数いた部族を従えた王が併呑し支配していきました。

 商業はあまり盛んではありませんでした。それというのも、彼らの起源となる騎馬民族では、物資とは戦って奪うもので、買ったり交換したりして手に入れるものではなかったため、商業の発展が遅れたのです。

 産業では、農業面においてスフという都市が特に肥沃な土地に恵まれ、「スフ熟すれば天下足る」という言葉も生まれました。



4.ヤハン

 人口: ××人

 人種: □□□人。スーチェンの□□□人を起源に持ち、外見的特徴も類似している。

 首長: 野狐姫(ヤコヒメ)

 特徴: アレクサンダリアにおいて、唯一大陸上に領土を持たない島国でした。スーチェンの沖合に位置し、極東と呼ばれることもあります。対岸のスーチェンとは仲が悪く、常に戦争状態を継続し続けていましたが、大皇帝アレクサンダグラスにスーチェンが併呑されたのと時を同じくしてアレクサンダリアに下り、それ以降はスーチェンとも友好的な関係を構築しています。アレクサンダリア併合以降は、大陸と陸続きではないために発展した独自の文化・数々の文物が次々に大陸に輸入され、一定の評価を得ています。

 ここに暮らす人々は□□□人ですが、起源を辿ると大陸東部に暮らす□□□人たちと同一の種族であることが判明しています。象徴崇拝(トーテミズム)自然崇拝(アニミズム)に即した宗教感を持っており、八百万の神々という多神教的な宗派が女神教を容易く受け入れました。なお、「八」というのは数字の「8」という意味意外にも、「たくさんの」という意味を持ちます。そのため八百万の神々というのは、実際に「800万柱の神」がいるというわけではなく、たくさんの神々がいるという意味合いです。

 首都はサカイであり、こちらも無数の小国家を統率する形でヤハンという一つの国を形成していました。

 商業は、アレクサンダリア併合以降急速に盛んになり、サカイの街では大陸中から様々な商品が流通します。また、障子や畳、着物、ヤハン刀、簪、櫛、その他さまざまな商品が大陸中へ輸出されています。

 農業がかなり盛んであり、米をはじめとしたさまざまな農作物が生産されます。これらはヤハンの食卓に潤沢に流通した上で、更に大陸中にも広く輸出されています。

 


5.ペラスコ

 人口: ××人

 人種: □□□人。褐色の肌と黒い髪、瞳を持つ。

 首長: アルタシャタ

 特徴: 大陸西方、ノーヴァノーマニーズの南東に位置する現在は小国です。かつては大陸西部に広がる大荒野の南半分を占める超大国でしたが、大戦末期に起きた原因不明の荒漠化により、その衰退を余儀なくされました。砂漠に点在する水源の近くに集住しています。定期的な河川の洪水に対応するため星を見る技術が進展し、次第に占星術などオカルトの分野も飛躍的な発展をするようになりました。後述の独特な死生観なども相まって、神秘を取り入れた生活様式が形成されています。

 ここに暮らす人々は□□□人です。死と復活に重きを置いた宗教観を持ち、一面に広がる砂漠に四角錐の形をした石造りの巨大な墳墓を建造します。死んだ者は特殊な処理を施してその墳墓の中に祀られ、いずれ来る復活の時を待ちます。多神教的宗教観を持つため、比較的すんなりと女神教の宗派化を受け入れました。また、その副産物として医術を中心とした周辺学問にも深い造詣を持ちます。

 商業面では輸入超過の傾向があります。国家衰退以降国内で生産される農作物も激減しており、資源に乏しく、それでも国家財政が火の車にならないのは、歴代の王が蓄えたあまりにも莫大すぎる金銀財宝の恩恵に拠ります。最新の試算によると、現在と同じ生活であればあと二万年は続けることができます。

 かつては麦など穀類を生産していました。



6.フィン

 人口: ××人

 人種: □□□人。白い肌と金髪、碧眼を持つ。

 首長: エウアー

 特徴: 大陸北西部に位置する、氷に閉ざされた都市国家です。かつては大陸西部に広がる大荒野の北半分を占める超大国でしたが、大戦末期に起きた原因不明の荒漠化により、国土の半減を余儀なくされました。しかしペラスコとは違い、荒野と化した部分にフィンの主要な部分はなかったために、あまり国力は衰えませんでした。冬が長く、北に広がる海からは毎年巨大な氷塊が流れ着きます。氷の塊が岸を削って作った地形は複雑に入り組み、人々はその隙間を縫うように住居を立てています。

 ここに暮らす人々は□□□人です。酒に非常に強く、子供でも一定以上の年齢になると冬場の寒さ対策として常に飲み続けます。また、男女問わず好色な者が多いです。宗教観は比較的薄く、女神教の教えは宗教としてよりも生活様式として取り入れられました。男女ともに見目麗しい者が多く、美男美女の代名詞として「フィン」の都市名が引き合いに出されます。

 商業面では食物は半分以上を輸入に頼り、輸出面では硝子工芸品を代表とした芸術品などの輸出が多い傾向にあります。

 産業面ではとりわけ海産業が比較的盛んにおこなわれており、氷塊が削って作る入り組んだ漁場では、大量の海産物が水揚げされます。農作物はほとんどありません。



7.ノーヴァノーマニーズ

 人口: ××人

 人種: □□□人。白い肌と薄く緑味がかった白金色の髪、淡い碧眼を持つ。

 首長: ヘイズトーポリ

 特徴: 大陸西岸に位置する、現在領土最大面積の都市です。北、東、南の大陸側三方向をあまりにも巨大すぎる岩壁に取り囲まれており、更には西側は海、四方を天然の要塞に完全に取り囲まれています。大戦中には非戦の姿勢を貫いていたにも関わらず、ペラスコを下した大皇帝アレクサンダグラスが次に攻め込もうとした時、大岩壁――通称鼠返しに敗れ、一度ノーヴァノーマニーズを諦めたという逸話が残っています。都市は東西で区画が分割されていて、旧来の国民が暮らす旧区海側、大陸統一後の移民が集住する新区街道側、という風に呼び分けられています。

 ここに暮らす人々は□□□人です。己の知識欲のままに研究を続けることを至上の幸福としており、ひとたび研究に没頭すると三日三晩寝食を忘れると言います。寿命は平均して非常に長く、外見的に老けにくい人種です。無宗教です。

 本来のノーヴァノーマニーズには、商工業・農産業の設備はその一切が存在しませんでした。しかし大陸統一後は、研究者・学者たちが発見・改良する技術や知識を商売に転用する者たちが入り込み、それらを相手にする商売人達が移住し、やがて大量の金銭を溜め込んだ学者達もそれら商売人の店舗を利用するようになり、それを知った者たちがまた金儲けの機会を求めて、という風にどんどん人口が増え、それに伴って産業も発展していきました。



8.アンクスコ

 人口: 不明

 人種: 不明。黒い肌と白銀の髪・瞳を持っていると考えられている。

 首長: シュリースフェン

 特徴: 大陸南東部に位置する小国です。一体が密林地域に覆われており、大戦最末期になってようやく、「完全相互不干渉」を条件に併合を認めました。暫定的に領地は密林地域を含めた大陸南東の半島ということになっていますが、女王シュリースフェンからは、そんなにいらないといった旨の声明が発表されています。基本的には立ち入り禁止となっているため、内部のことは詳しくはよくわかっていませんが、シャボノと呼ばれる円形の共同住居を形成して暮らしていることが、立ち入った一部の者たちによって証言されています。

 ここに暮らす人々がどのような姿をしているかは誰にもわかりませんが、大皇帝アレクサンダグラスがアンクスコ併呑の際に娶った王妃との間に生まれた子供の身体的特徴から、黒色の肌と白銀の髪を持つであろうことが予想されています。精霊崇拝・自然信仰的な宗教観を持っています。

 産業について判明していることは一切ありませんが、大陸統一で硬貨を発行する際に、純度の一切遜色ないものを鋳造していることから、一定水準以上の文化や文明が存在するであろうことは推測されています。

 また、これだけ何もわかっていない国家であったにも拘らず、八大国の一つに数えられているのは、大戦中に女王の許可なく密林地域に足を踏み入れた者たちが、原因不明の奇病に襲われたことに拠ります。全身が爛れて鱗のようにも見えるので、この奇病のことは魚人病と呼称しています。これが致死性のある病気であるかは判明していませんが、罹患した者は皆例外なく、その消息を絶っています。


(注:「罹患した者は皆例外なく、海に帰るという妄言を吐くようになり、やがて最後は本当に海に帰ってしまう」という表現を、「罹患した者は皆例外なく、その消息を絶ってしまいます」に差し替えました。編集部:ブラボー)

(注:最終段落『唯一アンクスコに入り、シュリースフェンと謁見して生還したとされている大皇帝アレクサンダグラスもアンクスコについて多くを語ることはしませんでしたが、断片的な証言から、「シュリースフェンは女王である」「シュリースフェンは海の中に暮らしている」「シュリースフェンは未来予知にも似た不思議な力を操る」「シュリースフェンは千里眼の持ち主で、アンクスコの端に居ながらにして大陸中のあらゆる出来事を承知している」といったことが推測されています』は検閲・削除いたしました。編集部:ブラボー)

(注:その他細かい表現を差し替えています。編集部:ブラボー)





 18時に普通に本編も投稿します。おまけなのに5000文字超えて本当に謎です。

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