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主人公気質でも幼馴染でも不良でもない人間のステータス検査

「こちらの水晶に手を添えてただくとこのようにステータスが表れます。」


腹黒王女さんに付いて行った部屋には台座に乗せられた水晶が置いてあり、王女さんが水晶に近づいて説明を始めた。


水晶はステータスを調べるための道具で、王女が手を添えると水晶が光り始め、ホログラムのように文字が浮かび上がる。




─────


エリシア・アーミリオン


Lv21/50 ジョブ:王女


HP63/63 MP81/81

攻撃54

筋力42

魔力74

防御48

速度50

耐久41

精神46

幸運66


魔法

[火魔法]

[水魔法]

[光魔法]

[聖魔法]


ジョブスキル

[統率]

[覇気]

[人望]


技能スキル

[話術Lv6]


補正スキル

[魔力補正Lv3]


耐性スキル

[毒耐性Lv2]

[闇属性耐性Lv4]


─────




説明によれば上から順に、


名前


Lv…自分の現在の強さの目安、様々な経験でレベルが上がるが、この世界に存在する魔物等を倒すと上がりやすいらしい。


ジョブ…現在自分に一番相応しいものが選ばれ、ステータス補正やジョブ専用スキルなどの恩恵がある。

    レベルの上限を決めるのもコレ。


HP…自分の現在の体力、0になると死亡する。


MP…魔法や一部のスキルを使用するときに等に必要となる。

  精神的な要素にも直結しており、使い果たせば気絶する。


攻撃、筋力、魔力、防御、耐久、速度…攻撃は純粋な破壊力、筋力は肉体的な強さ、魔力は魔法の威力、防御は肉体の強度、耐久は持続力、速度は速さを表す。


精神…上限は100で高ければ高いほどに精神的が強くなり、精神干渉系の魔法やスキルなどに抗いやすくなる。


幸運…自分の幸運の値。コレも上限が100だが、何か特殊な事がない限り一生固定らしい。


魔法…自分の使える魔法の種類


スキル…魔法とは違う特殊能力。努力により手に入るものもあれば才能がなければ手に入らないものなど、様々なものがあるらしい。

    レベルがあるスキルは物によって変わるが、一般的なスキルならLv5で一人前、Lv10もあれば達人と呼ばれる。


と、こんな感じらしい。


ちなみに、戦う事のない成人の町民などのステータス平均は、




─────


Lv5/30 ジョブ:町民


HP 18~22 MP 13~15

攻撃10~12

筋力11

魔力8~10

防御10

耐久10~12

速度10~12

精神10

幸運30~50


─────




こうなるらしい。

そして、召喚された勇者や異世界人はコレより強力なステータスやスキルを持っている可能性が高いらしい。

召喚される前に得意な事や鍛えていた事などもあればステータスやスキルに反映されるとのこと。


クラスメイトはそんな話よりも好奇心が勝っているようで、話半分のようだが。


「では、皆様のステータスを調べさせていただきます。

水晶は一つですので一列にお並びください。」


腹黒さんがそう言うと我先にとクラスメイトが押しかける。


傍観していた俺と琢磨と恵理姉は最後尾の方に並ぶ事となる。


「ステータスねぇ。

面白そうな物でもありゃあいいんだけどな。」


「私は急に大きな力を持って増長する輩が出そうで今から憂鬱だよ。

楓の読んでいた小説にもそういう展開は多かったしな。

私は一応教師だからなぁ…調子に乗らないように戒めてやらないと。」


「生き抜くために力は欲しいが、あまり目立つ物はいらないな。」


下手に強い力を持って目を付けられても面倒だし。


というよりも俺としては先ほど閃いてしまった別のことが心配なのだが…。


「こ、これは!?」


と、クラスメイト達の興奮の声でうるさかった部屋に更に大きな驚きの声が上がる。

顔を上げて前方を見ればゆーしゃくんの番が来てステータスが表示されているようだ。




─────


星宙 光一


Lv1 ジョブ:勇者 

HP54/54 MP57/57

攻撃52

筋力45

魔力49

防御47

耐久46

速度50

精神5

幸運78


魔法

[光魔法]

[聖魔法]


ジョブスキル

[絆の証]

[光の路]

[成長補佐]


エフェクトスキル

[身体活性]

[魔力循環]

[言語翻訳]

[成長補正]


技能スキル

[剣術Lv10]


補正スキル

[攻撃補正Lv5]

[魔力補正Lv5]

[防御補正Lv5]

[速度補正Lv5]


耐性スキル

[物理耐性LV5]

[魔法耐性Lv5]

[火属性耐性Lv5]

[水属性耐性Lv5]

[風属性耐性Lv5]

[土属性耐性Lv5]

[闇属性耐性Lv5]

[聖属性耐性Lv5]


─────




どうやらゆーしゃくんはやはり勇者のようで、今までのクラスメイトよりも恵まれているようだ。

腹黒王女からも、王国の人間達からも賞賛されている。


「やっぱ星宙が勇者か。

予想通りだな。」


「星宙が力を得た分には変な気を起こす事は少ないだろう。

一安心だよ。」


琢磨と恵理姉が思った事を口にする。


「ゆーしゃくんを見るのもいいが、他人より自分を気にかけないとな。」


俺と関わりのない他人はどうでもいいが、まずは自分のことを気にかけないと。


ゆーしゃくんが勇者であった事により、俺の懸念は更に大きくなる。


このクラスには勇者がいて、その幼馴染がいて、不良がいて、陰気なタイプのオタクがいて、そのどれもが俺ではない。


物語の集団召喚者の中でそういった奴らが居れば大体一人は居る゛無能゛。

それが俺に当たってしまうのではないかと考える。


心配しすぎだと言われるだろうが、俺には確信に近い物があった。

その理由はあの人にもいわれた事。

俺が゛巻き込まれ体質゛であるという事。


そして何より、


「ありえないはありえない。考えられる可能性はすべて起こるのさ!」


彼女の言葉が俺の中に深く根付いているから。


こういうのはピンチのときの逆転の場面で思い起こすのだろうが、この言葉がピッタリなんだ。思い出すのも仕方ない。


「では、最後の方お願いします。」


来た。俺の番だ。


目の前の腹黒王女からは期待を込めた感情を送られ、クラスメイト達も好奇心を込めた感情を送ってくる。


琢磨も恵理姉も、異世界人に相応しいステータスを持っていたらしく、何事もなかったようだ。


少しの緊張と共に俺も水晶に手を添える。


大丈夫だ。別に異世界人として普通のステータスの可能性がないわけじゃないんだ。

そう自分に言い聞かせ、表示されたステータスを見る。




─────


鷺沢(さぎさわ) (かえで)


Lv1/1 ジョブ:魔法戦士

HP34/34 MP61/61

攻撃33

筋力34

魔力32

防御29

耐久41

速度30

精神-100

幸運6


魔法

[情報魔法]

[契約魔法]


エフェクトスキル

[感情把握]

[弱者の覇気]


技能スキル

[格闘術Lv3]

[剣術Lv5]

[槍術Lv8]

[心眼Lv5]

[観察眼Lv5]

[話術Lv13]


状態異常

Lv上限:1

ジョブ補正カット

ジョブスキル使用不可

精神崩壊


─────




「Oh…。」


自然と声が出た。


なんと突っ込みどころ満載のステータス。


とりあえず落ち着いて情報を整理しよう。


まず俺のステータス数値、コレは今まで召喚された異世界人のLv5の平均に相当するステータスらしい。


ちなみに恵理姉は攻撃値が34もあった。

馬鹿みたいに痛い訳だ。


幸運が異常に低いが、コレはまあ、甘んじて受け入れよう。自覚はある。


MPが際立って高いのはいいな。魔法を二つも持っているし。


魔法は今までクラスメイト達が持っていた魔法に該当しないものだ。珍しい種類の魔法なのかもしれない。


技能スキルは今まであの人の元で鍛えられた成果なのだろう。

他のクラスメイトと比べればレベルが低めだが、[話術]だけは他にも負けない。

…といっても[話術]なんて俺しか持ってなかったけど。


とまあ、長々と長所ばかりを確かめていたが、問題は短所だろう。

というかコレが致命的過ぎる。


まずレベルは1で固定されて伸びしろはなく、ジョブの利点であるステータス補正、ジョブスキルは一切ない。


極め付けに精神値は+どころか-100で状態異常に精神崩壊と来たもんだ。


コレは無能どころかとんでもねえ貧乏くじ引いたぞ。


「これは…その、なんとも。」


コレには腹黒王女さんも困惑だ。


ステータスが表示されてまず魔法を見たらしく、特殊な魔法に最初に喜色と期待を感じ、その後ステータスを見てゆーしゃくんの次に平均が高いためか更に期待を感じた。


が、そこで幸運の低さと精神値の異常さをみて困惑を感じた。

急いで状態異常の欄を見ればLv上限:1、ジョブ補正カット、ジョブスキル使用不可、精神崩壊の四つ。


俺のレベルを見れば1/1でこれ以上あがる事はないと書かれている。

そうすると俺に向けられたのは落胆と侮蔑。

しかも全部表情に出してないのがすごいよね。


これもスキルの[感情把握]のおかげだろうか。

召喚されてから誰が何処に何の感情を向けているのかハッキリ分かった。


もともと誰がどんな感情を持っているか把握するのは得意だったから気にしていなかったが、そういうことなのだろう。


よし、とりあえず腹黒王女に話を進めてもらおう。


「これは、なんとも滅茶苦茶なステータスですね。」


「そう…ですね。」


腹黒さんも対応に困っているのだろう。

返答に少し間があった。


周りのクラスメイト達の中には嘲りや優越感などの感情を向けてくる者がいるし。


近くに居た琢磨と恵理姉のほうを見たら気まずそうにそっと視線をそらされた。

椛君悲しい…。


「それより、お体は大丈夫でしょうか。

その、状態異常が…。」


腹黒さんはパッと見て分かる無能の俺はもうどうでもよさそうだが、態度には出さず心配しているように見せている。

美しく優しいお姫様。クラスメイト達からの高感度アップだね。


「まあ、今のところ。

精神崩壊なんて書かれている人間が言っても説得力はないでしょうが、意識もハッキリしていますし。」


「そう、ですか。

しかし、このまま放置も出来ませんので鷺沢様にはこのあと検査を受けていただく事にいたしましょう。

これから行われる説明に関しては個別で行わせていただきます。」


「…よろしくお願いします。」


嫌な予感は当たるもんだな。


これじゃあ先が思いやられるよ…。

楓「レベル1固定っておま…。」

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