13. 【賢者の石】はすごいなぁぁぁぁ!!説
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それではご堪能あれ!!
錬金術師は、笑う。
その赤い、赤い水晶石をかざして。
その水晶石が輝き始め_____
「っと、また来客か?」
攻撃の手を止める。
彼が発したその言葉の意味が分からず、マリシアたちは〈錬金術師〉ニコラス・フラメルの視線の先へと目を向ける。
ドンッ!!
その場の空気を切り込むごとく現れた少女。
身長は低く、俗にいう幼女という感じだ。
この女の子、どこかで会ったような……
思い出す間もなく、少女は淡々と話し始める。
「どーもどーも!!わたしはカンナって言いますぅ、宜しくぅ!!」
声もやはりかわいらしいというか、幼い感じがする。
「あなたたちがどこにいるかわかんなくって困ってたんですよぉ。で、しらみつぶしで色んなところ探そうと思ってたんですけど一発目の場所に皆さん集まっててくれたからラッキーだったっていうかぁ?まぁ色々話したいのはやまやまなんですけれどもぉ……」
早口で長文を言い終え、一息ついた後、
「とりあえず恭介のために、死んでください」
牙をむいた。
何体もの光をまとった【精霊】が彼女から現れ、一斉にこちらに向かってきた。
「ちぃッ!!こいつ、〈フェアリーテイマー〉か!!全員回避だ!!」
マーリンの一声に全員が正気に戻り、回避する。
「あ、思い出した!!この子、あのハヤトのお兄さんの仲間だよ!!」
恭介に肩を貸していた女の子。
彼女こそがそれなのである。
「引っ込んでろ……〈神聖魔法〉オーヴァー・テンペスト!!」
マーリンが迅雷を放つ。
「集まれ、【精霊】ラフレシア。わたしを守って。」
精霊たちを身代わりにして防御する。
「効かないってやつだなぁ、うんうん。さぁ、反撃しますよぉー【精霊】ラフレシア、三百体量産。精霊固有魔術起動。標的はマーリン。放て。」
量産された【精霊】から、一斉に金色の光線が放たれる。
もちろん、逃げ場なし。
無論、直撃。
「ふいいいいいい……効かないのはこっちもだよ、馬鹿ロリが。」
〈マーリンタイム〉は自分に関わることなら一定時間好きに改変することが可能だ。
防御力を無限にすることだって、もちろん可能。
「耐久戦ですぅ?なら私の方が有利じゃないですかぁ?」
〈マーリンタイム〉には制限時間がある。
耐久戦ならば不利なのはマーリンの方だ。
「確かにな。でもお前だって、あんな量の【精霊】を作り出しておいて、魔力残量は大丈夫なのか?魔力消費効率は魔術よりも悪いで評判の〈フェアリーテイマー〉さん?」
【精霊】は階級がある。
その最低下級である【精霊】ウィプスは、ステータスもくそもないような初心者が【精霊】が作り出せるかどうか試すテスト用のもので、基本的に表れた後すぐ消えてしまうし、特に力はない。
そんなものを作るにも〈魔術師〉の初等魔法のひとつ、本当に初心者がやってみるレベルの魔術〈火炎魔法〉ファイヤ(火花を出せる程度のもの)の魔力消費の十倍以上必要とするのだ。
【精霊】ラフレシアは第五階級(最高は第六階級)。
ものすごい量の魔力が必要となるはずだ。
「あれぇれぇ?心配してくれるんですぅ?でも心配ご無用。」
口角を上げ、言った。
「わたしは〈ユニークスキル〉魔力容量無限というものを持ってるからぁ……その名の通り魔力無限なんだよねぇ!!あ~!!また自慢げにしゃべっちゃった!!敵に自分のことを自分からばらすなって恭介に言われてたのにぃ!!怒られちゃう~」
かわいげに頭を抱える。
そして、「あ。」と顔を上げる。
「私なんかを心配してる暇なかったみたいだねぇ……じ・か・ん・ぎ・れ♡」
気づくとそこには元に戻ってしまったマーリンがいた。
「あひゃひゃひゃ!!残念だねぇマーリン。ま、慈悲もないし、いいや。【精霊】ラフレシア、再度精霊固有魔術起動。標的不変。放て。」
再度放たれる、一斉砲撃。
「流石にこりゃあやばいやつじゃあ……」
ガンッ!!
「やれやれ、老人はやはり下がっていた方がいいのではないか?世話が焼ける。」
巨大な剣を錬成し、攻撃を防いだのは、ニコラスだった。
「おまえ、なかなかだな……あの三人にしようと思ったが、お前でもいいか。」
「何わけのわからんことをぉ?まあいいです。【精霊】ラフレシア、再起動。以下同命令。標的をニコラスに変更。……放て。」
またしても一斉砲撃をする。
そしてニコラスの錬成した剣を破壊し、ニコラスに当たっ_____
「【賢者の石】起動。吸収開始。」
そう唱えた刹那。
一斉砲撃が、【精霊】ラフレシアたちの方に戻っていき、撃つ前の状態へと戻っていた。
「……へ?」
「おおおおおお!!!わが研究通りの結果だ!!天才とは私のことだぁぁぁぁああああ!!!」
しばらく笑った後、丁寧に説明を始めた。
「【賢者の石】は昔から不老不死になるとかなんだか言っていたが、私の研究によって、真実がわかった。真のその力とは……ズバリ、時間を吸収する能力だ!!はは!!さぁ、また命令をしなければ再度動かんぞ?それにウダウダしてると……吸収続行!!」
すると、【精霊】ラフレシアたちが消え始めた。
「作る前の状態に戻した。さぁ、また作り直し……」
と、【賢者の石】の意思にひびが入り、こわれた。
その途端時間が早送りされ、先ほどの状態に戻った。
「くぅ。やはり【賢者の石】が吸い取れる量は限られていて、その値を超えると壊れる、か……メモメモ。」
のんきなニコラスにカンナが叫ぶ。
「ははは!!元通りじゃん!!やっぱポンコツなんだねぇ!!今度こそ死ねぇ!!!!」
そんな叫びも聞かず、
「じゃあ次だ。次の予想は……『吸収する量の上限はその石のサイズに比例する』……か。」
「え」
次の瞬間、ニコラスの頭上に全長二十メートルはある【賢者の石】が錬成される。
「そんじゃ、吸収開始。」
轟ッ!!
急激に時間を吸収しているのか、ものすごい音を立てる。
(このままでは……生まれる前まで時間を吸収される……)
そう悟ったのか、【精霊】ラフレシアを大量生産し、盾とする。
「研究終了。てなわけで、」
その様子に微笑み、
「さらば。」
巨大剣を錬成する。
ドンッ!!!
「……にげた、か。」
なんか、いっぱい出せれば強い説ない?
ごり押し好きなんすよ……戦略的なのも好きだけど。
次回もお楽しみに!!