プロローグ「Welcome to 」
どうぞよろしくお願いいたします。佳川瑠伽と申します。誤字・脱字などありましたら、ご指摘よろしくお願いいたします。
「いやね、思うわけですよ。そろそろ異世界召喚されてもいいんじゃないかってね。」
唐突にイタイ言葉を喋ったのは、千鳥隼人(17)である。
それに対して引き気味に妹、千鳥カナメ(15)が答える。
「何急に……まじ引くんですけど。いい加減その中二病卒業したらどうなん?」
「わかってないなぁ~、妹よ。異世界召喚は全国に存在する男子全員のもっとも叶ってほしい願望の一つなんだよ!……多分。」
「……多分じゃん……あ、つーか今日塾だったわ。たしか受験対策始まるんだっけか。兄貴も勉強したら?そろそろ赤点常連抜け出さなきゃやばいんじゃね?」
千鳥隼人はカナメが言ったとおり、赤点常連である。去年は留年こそまぬがれたが、赤点ギリギリであった。
「フッ……て、テストの点数なんてとっても、い、異世界じゃ意味ないしッ!……そ、それにそういう試験に対するアタマ以外はおまえよりもいいもんね!」
「はいはい。じゃ、私行ってくるから、コンビニで適当に買って食っといて。んじゃ。」
カナメが家を後にする。
しばらく経った後、隼人も続く。
「ったく勉強勉強うるせーよ、どいつもこいつも。数学の公式覚えてたらモンスターに勝てますか?魔王倒せますか?なわけあるかっての!くそが。」
ぶつぶつ文句を言いながら通路を通る。
……ふと、違和感に気付く。
「……あれ?この道こんなに長かったっけ?それになんだか暗いな……まだ4時なのに。」
と、ここで期待が芽生える。
これ、異世界召喚来たくね?
テンプレならばここで美少女ヒロインが……
『あなた……異世界に行きたいの?』
……ぃぃぃぃいいいいよっしゃ神キタ~~~~~~~~!!!!
「はいもちろんだ!早く連れ______」
ん?
なんだか不気味な少女だな……
そ、それに、あしが、宙に、浮いてる?
『……いい……いいわよぉ……私が……あなたをつれていってあげるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
「……ぎ、ぎょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!?!?!?」
俺はとっさに逃げ出した。
違う!こっちじゃない!俺が期待してた召喚は……こういうホラー系じゃなーい!!!!
「うぉあッ!?」
足がもつれる。
もともと運動神経が良いほうではないし、全力疾走なんて何年ぶりだ?ってくらいだから、まぁこうなるわな。
『うぃぃぃぃ……つ~か~ま~え~たァァァァァァァァァァ~!!!!!』
オワタ。
わが人生が、いっぺんに台無し!
あ~んま~りだぁ~(泣)
『フフフ……Good Night』
ザクシュッ
こうして、わが人生は17歳で幕を閉じるのだった。
『何勝手に死んでんのよ』
?
まだ生きてる?
目をこすり、あたりを見渡す。
「……えっ……ここって……」
全く見たことのない景色が、そこには広がっていた。
「ま……まさか……」
『フフッ、そのまさかよ』
少女が口元に笑みを浮かべ、言った。
『ようこそ、RPGみたいなガチ異世界〈マスタリジオン〉へ』
読んでくださりありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。