挨拶
作者は話し始めました。
それは遠い昔。作者が学生だった頃、英語の先生は教壇に立つと言いました。
「ハロー、エブリワン」
すると、起立した生徒は
「ハローミスター山田 ハワーユー。」
「ファインサンキュ。はうあーゆー?」
「先生は言ったわ。挨拶ぐらいは出来ると海外の人に会った時に使えるって。
21世紀になれば、もっと国際化して外国人に挨拶をする機会もあるから覚えておくと役に立つって。」
作者は渋い顔になる。
「その顔は、どう言う意味ですか?」
私の問いに作者はため息で答えた。
「私、年取ったけれど、こんな挨拶したことないもん。
確かに外人にはあったわよ?
初めは日系ブラジル人のカルロス。
次はフィリピン人のマリア。
確かに国際化でいろんな人にあったけれど、はわゆーなんて言わなかったもん。
みんな日本語バリバリで英語なんて使わなかったもん。
日本の英語の教育は間違ってると思うよ。私はノストラダムスのような予言者じゃないけれど、剛がスマホを持ち始めた頃から、絶対、翻訳機能の方が先に進化来ると思ったもん。
英語の授業を増やすより、偉い先生が、誰が使っても統一のニュアンスが伝わる翻訳用の日本語を作り出して、子供を通して普及させた方が良かったと思うもん。 絶対、日本の英語教育っておかしいと思うの。」
作者は不満げに言った。
「で、文科省に英語の授業について疑問を投げかける作品にしてゆくのですか?」
なんだか社会派の内容に緊張してきました。作者に完結出来るのでしょうか。
「するわけないでしょ?人聞き悪い。
大体、アブラメリンの書からどうやって文科省に意見する内容が飛び出るのよ。もう。」
作者の不満そうな顔に笑いが込み上げてきました。
「それは失礼しました。で、どうするのですか?」
私は平静を努めて言った。作者はそこで真顔で私に近づいてきた。
「そう、そこ、そこよ。私たちはこれで次の本を買う金を稼ぐんだから、読者に飽きられるわけにはいかないわ。大体、アブラメリンって、誰よ?この人で最後まで読者に興味持ってもらえるのかな。」
「今更、何を言ってるのですか。だから、初めは『ゲーティア』にしておけばよかったのですよ。
あれなら、ラノベ界隈でも名前は通っていますし、さまざまな悪魔が登場しますし、著作権の切れた悪魔のイラストもネットには上がっていますから、模写とかを入れて華やかに投稿できたはずですよ。」
私は呆れた。
「だって、欲しかったんだもん。アブラメリン。気を抜くと油味醂とか変換されちゃうけれど。
それに、ああいう、なんか有名な作品は内容は知られているし個性が出ないじゃない。
こういう、著作権の切れた作品を使ってなんかをする場合、私にしか書けない、なんか考察みたいなのとか作らなきゃ、売れない気がするの。」
作者は真面目に私に言いますが、十分、個性的だと思います。
というか、そろそろ、表紙を卒業した方がいいと思うのですが。
「まあ、次のページを開きましょう。いつまでも表紙というのもなんですし。」
私の言葉に、作者は慌てる。
「待って、私、今回、カタカナにしてみて、今回の英語のワンポイントコーナーがが受け入れられる気がしてきたの。そこのところを、もう少し、深掘りしてみたいわ。」
作者はそう言って話し始めた。
現在、作者の頭の中には言語を整理する引き出しが左脳に用意されている。うん十年の使い込まれたその引き出しは、残念なことにアルファベットの引き出しがないのだそうです。
英語の単語は、右脳のお洒落雑貨の画像の英字新聞と共に『ちょっぴりお洒落な模様』の引き出しに入れられるのだそうです。
少女時代、作者は英語の授業でパブロフの犬のように先生に『ハウアーユー』と言ってから座り、そして、英語の教科書の挿絵と英文を右脳の引き出しにしまいながら日本語の部分を生真面目に言語の引き出しに入れて、
伏せが出来ない犬のような哀れで誠実な瞳でミスター山田の授業を見つめるのでした。
「そうなのよ。私が英語を覚えられないのって、この、引き出しのせいだと思うの。」
作者は嬉しそうに話はじめます。こういう時の作者の顔が私は好きです。
「では、英語の引き出しを作る方向で話をするのですね。」
私は完結ボタンを押すその時、何某かの英文コメントを残す作者の得意げな笑顔を思いワクワクします。
「は?そんな簡単に引き出しが出来るわけないでしょ?パソコンに例えるなら、私は型落ちの中古よ。
耐久年数もメモリーももう、足りないわ。
いいのよ。そんなんは。そういうのは、若い奴がすることよ。英語なんて今はいいのよ。ジャンルはホラーに設定したしさ。
まずは、私に完読させることよ。その為にはPVを稼いでなんか、いい感じのことをやってる気持ちにさせないと。そして、次に、金ね。大体、英語なんて覚えても何にもならないって、面倒になると思うのよ。
でも、目標があれば違うわ。投稿すれば視覚化するし、誰かがそれを応援してくれるって思えればなんか今回はいけるともうの。あんたも言ってたけれど、欲しい本はまだあるんだから。
次の本を手にするには飽きられる内容ではいけないのよ。 英会話なんてどうでもいいのよ。ホラージャンルなんだもん。」
作者は両手をグーにして言いました。
「はあ。では、そんな感じで、とりあえず、ページを開きましょう。」
私は混乱しながらそう言った。多分、作者もどうしていいのか分からないのだと思います。
「うん。でも、まずは、覚えたフレーズはまとめておきたいわ。」
作者はペンを持って急いで何やらメモを取り始めた。
やれやれ、なんだかんだと英語を覚える気なんだから。
ブック・オブ・ざ=なんとかの本って表紙に書く時に使うフレーズ。「ざ」を忘れないようにする
マギ=魔法使い 日本ではマジシャンという単語のカタカナ言葉でこの言葉を表現する方が多い。
マギは、どちらかというとアラビアンナイトなど、中東の古典の魔物や魔術師に使われるイメージ。
作者はそう書きながら、私に言った。
「私、英語は出来ないけれど、外来語の日本のニュアンスやイメージをまとめる事はできる気がするわ。
こうしてメモしてたら、いつか、AIに翻訳してもらって海外に売れる本、できるかも。」
この人は、本当に。
この先が少し、楽しみに思えました。




