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魔法の本を手にしたら  作者: ふりまじん


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引き出し


「あああっ。もう、とにかく、なんでもいいから更新しなきゃ。

本当に、私英字の本って天敵に思えて来たよ。」

作者は喚く。私はキャンドルに火をつける。

「まあ、コーヒーでも飲んでください。」

私は作者にお変わりのコーヒーを渡した。作者はカップを受け取って肩をすくめた。

「ありがとう。でも、これから2ヶ月の空白を埋めないといけないわ。他に欲しい本は沢山あるんだから。と、言うか、まさか、私が生きている間にメイザースの原文を読めるなんて思わなかったわ。」

作者はコーヒーを飲みながら昔に酔った。


70年代からはオカルトブームと言われる時代でした。

テレビが一家に一台普及し始め、特撮を使ったドラマの流行と共にホラーやオカルトものが子供たちに人気になったのでした。


もう一つ、人気の番組がありました。

クイズ番組です。

そこでは、クイズに勝ち進めば100万円とかハワイ旅行がもらえると視聴者の夢を誘いました。

少女の作者もまた、海外旅行をスチュワーデスを夢見ていました。

最近ではCAキャビン・アテンダントと呼ばれるようですが、当時のその職業はお姫様に続いて人気だったのです。

少女の特別の夢。

あれは、スチュワーデスという言葉の夢の職業。と、作者は夢みがちにいった言葉が印象に残りました。


「メイザース。よりによって、なんで…」

私はため息をつきました。確か、この企画はクロウリーの話を使おうって初めに言っていたのです。

『ゲーティア』を。

「だって、仕方ないじゃない。アブラメリンをお勧めされたんだもん。今なら100円だって勧めてきたんだもん!!」

作者は喚いた。私は揺れる作者のコーヒカップを抑えた。

「そうでしたね。」

「そうよ。私、クロウリーの著作だって思っていたよ。アブラメリンって。メイザースの著作だって買ってから気がついたよ。」

作者は深くため息をついた。私はそれを見て笑った。


「何よ。もう、笑わないでよ。私だって、バカだって思うし、こんな偶然があるなんて思わなかったわ。

人騒がせで目立ちたがりのクロウリーと違って、メイザースの著作ってあんまり紹介されてなかったじゃない。」

作者は頬をふっくらませてタブレットで著作を見た。

「そうでしたね。マグレーガー・メイザースの著作ですからね。」

私は懐かしい昭和の匂いを思い出していた。

海外旅行は夢で、作者の住む町には外国人はいませんでした。外国人と言うだけで、学校に来た人にサインをもらっていた小さな作者を思い出します。

「うん…まさか、このタイミングで、1番気になってた資料を手に出来るなんて思わなかったよ。子供の頃は、洋書なんて買うの大変だったし、それが100年も昔の本なら尚更だったもん。

魔術の本なんてマイナーなのは、なんか、その界隈の人じゃなきゃ手にできなって思ってた。

ねぇ、覚えてる?初めの頃、私が混乱してジャンヌ・ダルクを調べていたこと。」

作者は懐かしそうに目を細めました。

「はい。覚えてますよ。」

私は作者の笑顔を懐かしく見つめていた。そう、こんなにもずっと、貴女と一緒に何かを追いかけて来たことを、私は本当に幸せに感じるのです。

「あの時、アブラメリンの習作作ったじゃない?あの話、メイザースは翻訳したけれど、元版は14世紀くらいの話よね?ここで頑張れば、あの話の続きをなんとか出来るかもしれないわ。

ついでに、メイザースの人となりを知ることもできるかもしれない。と、言うか、メイザースが巡り合わせてくれたような気すらするのよ。だから、頑張らなきゃ。」

作者は私を真剣に見ていた。

「そうですね。100年戦争の物語が描けたら、それこそ、本当に書籍化できるかもしれませんね。」

と、言いながら、メイザースには近づいて欲しくないと思いました。

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