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魔法の本を手にしたら  作者: ふりまじん


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トラベリング


作者はそこからサクサクと読み始めた。そして、3章まで行ったところで眉をしかめた。

「ねえ、この話、胡散臭さが満載だわ。」

作者は渋い顔になる。

「どこが、で、しょうか?」

私は怖くなりながら聞いた。英文の物語を読んで感想を書くだけの簡単な物語が、沢山のキャラクターと共に複雑に動き始めているのです。この先、どうなるのか、それを想像すると胃が痛くなります。

「何もかも、よ。まあ、こんなんでいいんだ、って、少し気も抜けてるんだけれど。」

作者はため息をつく。私はコーヒーを淹れる。こんな時はとっておきのモカを。高級品というとキリマンジャロを思い浮かべる方が多いかも知れませんが、モカの甘い香りは、こんな窮地に陥った時の心を優しく和ませてくれるのです。


「それにしても、本当に、上手くできた話よ。全くさ、私、小説で評価はあんまりもらえてないけれど、それでも読者がいるのって、メタの状況が面白いからじゃないかって気がしてきたわ。」

作者はそう言ってコーヒーを啜る。

「そうでしょうか?私は頑張っていらっしゃると思いますよ。」

ええ、お世辞ではありません。私は本当に作者の物語のファンなのです。

「お世辞はいいわよ。でもさ、思い出して見てよ。私たち、初めの方から路線外れてしまったじゃない?」

「そうですね。初めは、ほのぼのフリマの思い出話の予定でしたね。」

私は少し、切ない気持ちになる。仮にほのぼの路線で成功していたら、私の存在はありませんでした。

「うん。で、わりと早い段階からメイザースとクロウリーが関係性ていたわよね?」

「はい。我々の投稿初めは2017年でした。」

まあ、1917年は第一次世界大戦の最終段階で様々なことがありました。そして、クロウリーが『ムーンチャイルド』を出版した年であります。

「うん。そうだったね。ついでに調べると、メイザースの亡くなった11月に登録してるみたいだわ。

なんだか、因縁を感じるわ。」

作者が嫌な顔をする。私も釣られて嫌な顔になってしまいます。そう、この美しい世界は私と作者の2人だけのものです。他のモノに関わられるのは正直あまり嬉しくはありません。

「いえ、ただの偶然ですよ。確か、フリマの集まりでファミレスにいた時の時間潰しで登録されたのではありませんか?それに、メイザースが亡くなったのは1918年終戦の年の事。」

私は勤めて穏やかに行った。そうです。こんのものはただの偶然です。それを言うなら私との再会の方が余程、ドラマティックではないでしょうか?

「そうだったわね。私、その時、剛と言い合いしていたんだったわ。名古屋の事で。そうね、確かにそんなロマンティックな雰囲気ではなかったわ。でも、私、ここは集客も考えて、この偶然を少し盛って話たいのよ。」

作者はサラリそういった。

「そんな事でPVが上がるとは思えませんが。」

私は懐疑的な視線を作者に送る。本当に、メイザースの関係の物語はさっさと完結ボタンを押したいところです。

「まあ、いいのよ。実際のところは!まあ、ね、でも、剛との醜い言い合いの話をしてもオカルトっぽくならないじゃない。いい?今年はオカルト、来るかもしれないのよ?そして、私はオカルト部門で戦ってるんだから、ここはそれっぽい雰囲気が欲しいのよ。だって、そういう魅力がないとホラー好きは釣れないのよ。」

作者は深くため息をつき、そして、コーヒーを飲み干した。

「確かに、上品なオカルトの世界とはかけ離れていますね。」

仕方、ありませんね。結局は私は折れてしまうのです。そして、早く完結ボタンを押す方法に頭を巡らせました。

「うん。そして、私、メイザースの方がクロウリーよりも凄いって、小説書いて証明したいとか、そんなことを書いたことあったわよね。あーあ。まあ、あの辺りから憑かれていたのかもしれないわ。

『アブラメリンの書』についてもジャンヌダルクを調べていたときに書いた事あったっじゃない?」

作者は肩をすくめた。

「そうでしたね。」

「うん。当時、あんな古書、私が読める日が来るなんて、ありえないと思ったわ。それに、はじめに買う本は『ゲーティア』って決めてたじゃない?セールで勧められなかったら、私、間違いなく『ゲーティア』クロウリーの本を買っていたわ。」

作者はそこまで話て軽くため息をついた。

「確かに、そこは偶然ですが。」

さて、なんと話したものでしょう?こういった偶然はただの偶然ですが、こじつけようとすれば奇跡の世界へと流れてゆきます。

「うん。偶然よね?でも、その偶然で本が安く買えたわ。まあ、それはともかく、この話、やっぱりおかしいと思うのよ。私はこのアブラハムの冒険の話で、止まっている『レクス』の話を動かしたいの。そして、できたら連載に昇格させたいのよ。」

作者は身を乗り出すように私を見た。

「レクス、懐かしいですね。」

私は作者との時代小説の考察をしたことを甘く思い出していた。


レクスは小説を書く前の段階、私と作者の軽い会話の中で生まれたキャラクターです。

ノストラダムスの物語に困った作者が様々な歴史の背景を探る中で生まれたのでした。

真偽はわかりませんが、当時ネットでノストラダムスの父方の祖父の話が書いてありました。そして、生まれたのが1430年ジャンヌ・ダルクが捕まった年だったこともあり、私達はこの時代を調べたのでした。


「そうよ。あの話は連載投稿してないけれど、気にはなっていたのよ。書けなかったのは、15世紀の旅の様子を描けなかったからよ。そこから、私たち、いろいろと調べたわよね?だから、アブラハムの話がなんとも胡散臭く感じるのよ。」

作者はそういって読み終わったページのダメ出しを始めた。

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