ブロート・イン ・コンタクト
作者は面倒くさそうに、それでも饒舌に話始める。今度は令和の外国人ゲーム配信者のメイザースの物語を。
彼は令和の店じまいした町の工場で清掃をしながら昔のパソコンゲームを探していた。
この場所は配信に向いていた。日本の、異国情緒があって、廃墟のようでミステリアスで、夜中でも大音量で配信ができた。
メイザースは放られていたラジカセでラジオを聴きながら鼻歌まじりにパソコンを修復している。
この、宝の山をプレイするために。
メイザースは胸を躍らせる。学生時代、視聴していた配信者のコメントを思い出していた。
それは日本のプログラマーが作った伝説のゲーム。『聖なる魔法』そのデーターがここにあるのだから。
「物語を増やしていいのですか?」
私は心配になる。
「仕方ないじゃない。世界観が全然見えないんだから。そして、どの方向で進むのかはわからないのだもの。」
作者は渋い顔をする。
「本当にやたらめったら、ですね。」
私はため息をつく。
「まあ、読み込むうちに消えてゆくとは思うけれど、でも、今はアブラメリンとゲーム制作者の物語が必要なんだもの。
これだと、全体が見やすくなるのよ。
ドーンをゲーム会社とすると、メイザースはクリエーターだった人。部下にクロウリーを配置するわ。」
「差し詰め、レビィとリットンは人気のゲーム制作者でしょうか?」
「うん。現在のビデオゲームにつながる伝説の。そして、彼らが子供時代に噂になった幻のパソコンゲームが『聖なる魔法』ね。1458年から500年後の1958年アメリカの物理学者ウイリアムの制作した『テニス フォア トゥ』がなんか娯楽としてのコンピュターゲームの始まりみたいね。
この時期はまだ、四角と丸の図形が画面を動くくらいのものだったようだけれど。我々の『聖なる魔法』はフィクションだからもう少し盛りましょう。というか、まだ、データーや構想のようなものだったかもしれないわね。この時代に、魔法を、何か、人物を動かすとか、魔法の動きを作れるのかは謎だけれど、この時代なら、現代のプログラムとは違う、系統のプログラムがあったとしても、なんだか話になりそうね。」
作者は苦笑する。
「そして、ドーンは倒産、メイザースとクロウリーは別の道を歩くということでしょうか?」
「そうね、倒産というか、ゲームの場合、レイオフとかいうらしいわよ。案外簡単に解散とかがあるんだって。で、解散したら、自分たちでまた、仕事を探したり、作ったりするらしいよ。」
作者は困った顔で自信なさそうに言った。
「それでは日本でメイザースはゲームを作るのでしょうか?」
私はドーンを追われてからのメイザースを思った。確か、フランスで新たな団体を作ったり、研究をしていたようです。
「そうね。でも、今回は配信なんだと思う。『聖なる魔法』を起動して配信をしたんじゃないかしら?どちらかというと、新たなプログラムを作り出したのはクロウリーの方かな?」
作者は肩をすくめた。
「アイワスの、ですか?」
私も笑った。




