S・L マグレガー・メイザース2
作者はしばらく様々なキャラクターの事を話した。
英子の話は復活して、浅草の食堂の2階から引越しをすることになった。
メイザースが高校卒業後に引っ越したみたいなので、英子も高校卒業後、浅草と引っ越すことになる。
1972年あさま山荘事件で混乱した時代だった。
学生運動で騒がしい東京は、近代化の大波に飲まれようとしていた。ビル開発に食堂があたり、立ち退きを迫られた英子たちは浦安方面の中古の一戸建てを不動産会社の勧めで安く購入することに成功した。
英子は、子供の頃から知り合った様々な人間とお別れすることになった。
それでも、海が見える一戸建てに母と住んで、都内の建築業の営業部に入社した英子の胸は期待と夢で膨らんでいた。1977年昇進した英子は、営業の仕事で上司に連れられて夜の街に足を踏み入れる。1982年飲食店で知り合った占い師に占いの話を聞いてオカルトに興味を持つ。
そして、1987年 英子は仕事の傍ら、タロット占い師として銀座の街で知られる存在になった。
特に、彼女の株価の予想は、神ががったように当たった。
その100年前の1877年、メイザースはフリーメーソンに入会。1887年マスターメイソンになる。
そして、この2人はまた再開する人物が加算される。
そう、88年、国を恐怖に落とした怪人 切り裂きジャックである。
作者はバブル時代の流れを載せて面白そうに話をしていた。そして、メイザースの可能性について話した。
「仮に、プログラマーのようにメイザースが動作環境を作り出すのだとしたら、同じ本を読んでいてもクロウリーとメイザースの術式は全く違う可能性も出てくるわよね?」
作者は難しい顔になる。
「そうですね。そして、貴女が見ている世界も。」
私はそう言ってファーストブックの内容を作者に説明を始めた。
ファースト・チャプターは息子ラメクに説明する文章だった。
「わからないわ。これって、どんな時に書いた文なのかしら?」
作者は難しそうな顔をする。
「そうですね。確かなのは、魔術を極めて、それを息子に伝える必要を感じたから。と、言う事でしょうか?」
「そうね。これは手紙文だったのよね?原文は多分。」
作者は少し考えるように言った。
「そうですね。末の子のラメクに宛てた。」
「うん。末の子。聖書の物語では末の子が贔屓されるから、なんだかそんな気がするけれど、でも、現実は嘘くさいわ。普通、長男に何かを残すわよね?だって、幼い子供に家族を任せられないでしょ?」
作者は口をとがらせる。
「そうでしょうか?聖書の登場人物は長生きで子沢山です。100歳を超えていたとしたら、いいえ、80代だとしても、高齢だった場合は末の子の方が適齢期で花でしょうか?」
私の言葉に作者は楽しそうに笑った。
「そうね、確かに、アブラメリンの魔法使いなんだから、長生きしたかもしれなわね。これが創作だった場合、物語の主人公の名前には作者のこめる意味があるわ。
アブラハムは初めの父なのよね。
わざわざ、この名前を使ったのは、オリジナルの権威を付けたいからだと思うのよね。
随分と乱暴な感じはするけれど、多分、この本は始まりだって言いたいんだと思う。
そうすると、ラメクにも何かの願いが込められていると思う。」
作者はため息をつく。
「ラメクは確か、ノアのお父さんの名前ですね。」
「うん。あの、人類が滅亡仕掛けた、大洪水の生き残り。そして、ラメクは777歳で亡くなっているの。
7は幸福と言われるけれど、世界の終わりにも登場する数字よね?」
作者は困った笑顔で私を見る。
「ヨハネの黙示録。7つの災いですか。」
「ホント、すごいわよね。もうっ。すごいこじつけが出来るものだわ。泣きたくなってきたわ。」
作者はせせら笑った。
「まあ、それだけでは弱いですが。まあ、先を読んで見ましょう。」
私はタブレットを開いた。




