お!ラメク
「序文、鬼長いよ。これ、すっ飛ばして大丈夫なんかな?」
作者は疑いの目を私に向ける。
「必要なら、後で戻ればいいのです。とにかく、前進です!」
キッパリ言いました。不思議なことに、こうして100円の本でオロオロし始めると、今度はポイントの方が貯まって我々の行動を急かすのです。この先、『ゲティーア』は必要になりますし、『ムーンチャイルド』も読んでおいた方がいいとは思います。手に出来る環境がやってきたのですから、出来るだけ早く処理をして行く方がいいに決まっているのです。
「わかったわよ。ファーストブックまで進めるわ。でも、こうして見ていると、なんだかメイザースの違和感や不安感を見ているような長文の序文よね?」
作者は少し考えて、私の顔を見ながら聞いた。
「ねえ、やっぱり、ここはメイザースを呼び出して書いてゆく方がいいんじゃないかな?」
冗談ではありません!あの男が再び物語に登場なぞさせてたまるものですか。
「ダメです!ここは2人でゆきましょう。」
私は圧した。作者の描くメイザースは、チョイ悪親父の面倒な性格なのです。物語がまとまるはずがありません。何か、考えないと。
「そう?なんだか、この本、本当に怪しんだもの。でも、電子の本って、古本でもおどろおどろしさがなくてダメね。普通、古本なんて読んでいると、特に、こんな魔術の本なんて読んでいると怪しい気分になったりするじゃない?全然そういう雰囲気にならないのよね。」
作者は困ったようにため息をつく。
「そんな変な気持ちには普通の人はなりませんよ。それに、貴女はクロウリーの本を持っていますよね?手芸の箱の重しにしていますよね?」
私は結構高かったクロウリーの本を思い出してため息をつく。作者は買ったことに安心して、数ページを読んでそのまま放置しているのです。
「え?そうだっけ??わかったわよ。1巻いくわ。ここで『聖なる』が連呼されるけれど、これは特別な意味じゃないと思うのよね。キリスト教的に悪い本じゃないみたいな意味だと思うの。
ノストラダムスを調べていて、ユダヤの秘技?カバラとかはヨーロッパでも許されている雰囲気だったじゃない?異端審問を気にして聖なるを連呼してるんだと思うの。
だから、私は『イケてる』と表現するわ。
それに、私もこの人がユダヤ人だとは思えないわ。14世紀にはすでに迫害をされたり、改宗させられたりしているはずなのに、その上、オスマントルコとの戦いで忙しい中、ドイツで住んでいるのに、わざわざ名前を『ラメク』なんてしない気がするのよね。西洋の物語を読むと、あまり、奇抜な名前を好まないようだったもの。なんだか、これを書いた作家が、ユダヤの凄い魔法を強調していたようにしか見えないわ。」
作者は嫌な顔をする。
「はい。『いけてる魔法』で結構ですよ。でも、名前は変えられませんしアブラハムとラメクで行きますよ。」
私の言葉に作者は頷いた。
ちなみに、ラメク(もしくはレメク)は聖書にも登場する名前で、ノアの父親として登場しているようです。
「うん。まあ、1巻はアブラハムの冒険ものらしいから、少し気を抜けるわね。2巻はなんか、図とかが出てくるし、数学的で面相臭いわ。ねえ、1巻だけで完結でも大丈夫かな?」
作者は不安そうに私みる。
「大丈夫ではありませんか?全部を翻訳する必要もありませんし、ジャンルも違うようですから。気になるときは読めばいいと思います。ダメなのは、1巻すら読めなかった場合です。」
「はいはい、わかったわよ。読むわ。読みますよぅ。」
作者はタブレットのページを開いた。
読んでくれてありがとう。みかんが増えるし、リワードイベントがあるし、ここはそれに乗って、短くても出来るだけ更新する作戦で行こうと思っています。
まあ、金儲けをしたいというのは言い訳はしません。そして、本当にもう、終わらせないとも思ってはいるのです。本来、正月休みで終わるって思ってたんだから。
でも、読めば読むほどこの本は怪しい。そして、色々調べたくなるのです。
昔買った岩波新書の『現代ヨーロッパの言語』H・ハルーマン 田中克彦の本を引っ張り出して読んでみたりと、なんだか時間がかかるのです。
でも、何か、面白い発見をする予感はある。そして、エタる予感もズンとする。
恥ずかしい終わりからをするのか、完結して小銭を稼げるのか。こんな私です。
呆れてください。そして、それでも読んでくれるあなた。ありがとう。




