ジョン・M・ワトキンス2
私は烏龍茶を入れた。バラの香りのするフレイバリーティーを。
作者はそれを口にして話し始めた。
世紀末、昭和の時代にはオカルトが人気になりました。と、言うよりも1970年代に一般家庭にテレビが普及し、特撮技術が進化するのと、超常現象を表現するのに具合が良かったのです。
勝手に鳴るピアノ。そら飛ぶツボやテーブル。
19世紀に人気を博した降霊術を誰でも目にすることが出来るようになったのです。子供も大人も人気でした。不思議な世界を目の当たりにする事も、その映像を科学的に調べることも、どちらも出来る娯楽でした。そして、そんな雰囲気の中でノストラダムスの予言は流行りました。
500年も昔の予言詩に現代の社会の問題を詰め込んだ話は人々を考えさせられたのでした。
子供は見たことのない西洋の歴史と未来の不思議を知りたと思った。
大人は高度成長をうたがっていた。こんな平和は長くは続かない。戦争は始まる。そう考えていました。
作者はそんな時代でノストラダムスの解説本を楽しんでいました。
ノストラダムスは500年も昔から少女の作者に話しかけました。1999年のさまざまな災いを。
「ノストラダムスの予言で騒いでいたのは日本ぐらいだって誰かが言ってたわ。でも、それはそうよね。あの予言詩、ただ読んでもつまらないもの。」
作者はため息をつく。
「その割には沢山の本を買っていらしたではありませんか。」
私は呆れた。
「そうね。でも、ある程度、読み込むと、面白いものとそうでないものがあることに気がついたのよ。
20世紀のノストラダムスは投資から恋愛相談まで多岐にわたって預言していたんだから。
そして、原詩より、解説の本が売れたのよ。それはそうよね?フランス語の詩なんて訳わからないもん。
百人一首すら理解するのは難しいくらいなのに、フランスの詩なんて見たってチンプンカンプンよ。
あれは大胆な超訳と解説が面白かったのよ。そして、それは学者が正確に翻訳しても生まれないのよ。
それは正しくはないけれど、面白いと思えるぐらいにはテーマを外してないのよ。
多分、メイザースもそんな風に超訳している可能性があるわ。そこはちゃんと掴まないといけないわ。」
作者は肩をすくめる。
「超訳。ですか。なるほど、確かに楽しそうですね。」
私はこのページの先が心配になってきた。
「うん。何が書いてあるかは知らないけれど、疑ってかからないとね。」
作者はそう言ってページを開く。
そこからは、メイザースによると思われる本の説明が書いてあった。
ワトキンスは19世紀、新たなな時代を前に何を夢みたのだろう?
彼はこれを手始めにさまざまなオカルトの本を出版することになるのです。ワトキンスにとってのメイザースはどんな人物に写ったのでしょうか?




