第39話 お疲れ様ムードと波乱の予感
俺達はその後も何日か一緒に勉強会をやって五月中旬、中間テストの日になった。
「う〜、お腹痛くなってきた」
「その緊張感は皆も同じだ。あれだけやってきたんだし自信持って良い」
溝口は緊張からかお腹を擦っている。自信を持って良いといったのは本心だ。普段のクソみたいな授業態度と打って変わって集中して勉強に取り組んでいた。悪くない結果が出るはずだ。
「峻が励ますだなんて珍しいね」
こいつ、マジで二度と言わんからな。あと恐らく俺のほうが緊張している。何せ奨学金がかかっている。授業料が払えなくなって竹之内さんに土下座をしなきゃいけなくなるのは嫌だ。
そんな事を考えているとチャイムが鳴って先生が教室に入ってきた。俺と溝口は深呼吸をしてテストに臨んだ。
テスト中、溝口が分かりやすく頭を抱えたり、腕を組んだりしているのがチラチラ見えて集中させろとキレた事以外は順調だった。他の生徒は分からないが俺はかなり平均点数が良さそうだ。こうして二日間のテストは幕を閉じた。
「自己採点してないから正確な事は分からんが平均九十くらいかな」
「私もそのくらいでしょうか。峻君、勝負ですね」
「二人とも凄いです。私なんて八十点行っているかどうか」
「……」
テストお疲れ様会という事でファミレスに来た。竹之内さんと太田さんが来たことが無いというので選んだ。みんなお疲れ様ムードなのに溝口が下を向いている。こういうの一番テンション上がりそうなのに。
「そういえばここのメンツ、優等生ばかりなの忘れてた……」
溝口はドリンクバーで持ってきたメロンソーダをひたすら飲んでいる。お前、トイレ近くなるぞ。テーブルには各自ドリンクバーで持ってきたものとポテトが置いてある。
「でもそんなに出来悪くなかったんだろ?」
「どうせ、平均六十の女ですよ」
何か拗ねているが、赤点はおろか全体平均くらい取れてそうだから充分じゃん。まあ、俺達がそれを言うと嫌味に聞こえるだろうから言わないが。
「それに私、勉強頑張らないといけなくなるかもしれないし……」
「ん?どういう意味だ?」
「良いの良いの。ていうか峻、男子なんだからどんどん食べな」
溝口はポテトをつまんで俺の顔の方に伸ばしている。え、これあーんしろって言われてます?
「!?私もそれやります」
と思ったら竹之内さんも対抗してポテトを伸ばしてきた。今俺の顔の前には溝口と竹之内さんのポテト計二本が襲ってきている。いや、ファミレスでそれは恥ずかしいんだが。ああっ、太田さん我関せずと一人でポテト食わないでくれ。
「早く口開けな」
「はい、あ〜ん」
俺は観念して口を開けてポテトを突っ込まれる。ポテトの勢いが凄すぎて喉の奥まで刺さる。あああああああ。
「でも勉強会もおしまいですね」
太田さんは俺が悶えているのを放っておいて、何処か寂しそうに語った。確かに勉強会とはいえこのメンツで集まるのは何処か気分が良かった。太田さんもそう思ってくれているのだろうか。
「勉強会じゃなくてもこのメンツで集まれば良いじゃん」
溝口は提案してくる。いや、一番集まれないのは部活やってるお前だろうとは流石に言えない。そんなに頑張っている溝口を馬鹿にしたくないから。
「そうですね。またこのメンバーで遊びに行きましょう」
「はい、私もそうしたいです」
竹之内さんと太田さんも分かっているだろうに優しいからそれは言わない。まあ、集まれる時に集まれば良いだけだしな。
「それに私もちょくちょく遊べるようになると思うし」
「ん?それってどういう……」
「ダイナマイトパフェ四つ、お持ちしました〜」
店員さんがバカでかいパフェを四つ、テーブルに置く。あれ、こんなん頼んだか?嫌な予感がしたので溝口を見ると「わ〜、美味しそう」と目を輝かせている。
「犯人はお前だろ!!」
「てへ」
とそんな馬鹿なやり取りをしている時は次の日、あんな事になるなんて気が付かなったんだ。
次の日、登校して教室へ入ろうとした時だった。
「あの、ちょっと良い?」
後ろから袖を掴まれて声をかけられる。振り向くと溝口の部活仲間の工藤さんが立っていた。この前のような笑顔ではなく真剣な表情だ。
「どうしたの?」
「ちょっとこっち来てもらえる?」
俺は彼女の言う通り、教室から少し離れた廊下まで連れて行かれる。一体どうしたというのだろうか。
「真由子の彼氏だったらなにか知ってるかと思ってさ」
「彼氏じゃない!!って何を知ってるって?」
全く話が見えないが、わざわざここまで連れ出したのだ。何かあったと思うのが当然だろう。口ぶりからすると溝口に関することなのだろうが。工藤さんは苦い顔をして話し始める。
「いや、えとね。真由子がもしかして部活を辞めるかもって」
「え」
時間変えて投稿してみました。
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