第35話 今度は一体何処に行くんだ?
その後、日々は過ぎていよいよテスト期間になった。溝口も部活が休みになるということで俺達は放課後、どこかでテスト勉強をしようということになった。
「それは良いんだが俺はクラスの連中から疎まれたままか……」
「何、ブツブツ独り言してんの?キモいよ」
俺の独り言が聞こえたのか隣の席の溝口が暴言を吐いてくる。溝口を睨むと心底呆れた顔をしている。
「まあ、私のような美少女と仲良くなれてんだから役得でしょ」
こいつ、とうとう自分で美少女とか言い出したぞ。何も知らない人からすればその通りかもしれないが中身を知ってると笑える。
「まあ、そんな事はどうでもいいけど勉強会何処でやるんだ?」
「こいつ……、何か場所は竹之内さんが用意するって」
それを聞いて俺は嫌な予感がする。前は自家用クルーザーを出してきたが今度もとんでもない所へ連れて行かれないやしないか。俺は太田さんと仲良さそうに話している竹之内さんをチラッと見ると、竹之内さんと目が合う、すると竹之内さんは俺にウィンクをしてきた。ううっ、可愛いと思った瞬間、俺の腕に激痛が走る。
「いったあああああ」
「フン」
溝口が思い切りつねってきやがった。こいつ、痣になったらどうする気なんだよ。
「お前、何するんだよ」
「教室でイチャイチャするなって言ってんの」
「別に溝口に関係ないだろ」
「はあ、本気で言ってるの?」
俺達はいつものようにギャーギャー喧嘩をする。これで何回言い争いをしたか分からんが、まあそれだけ仲が良いということか。
そして放課後、学園前のロータリーで待ってて欲しいと言われたので俺と竹之内さん、溝口、太田さんの四人で待つ。芦月学園は車通学の学生が多いので巨大なロータリーがあるのだ。
「車で移動っていうことか。一体何処行くの?」
「ふふ、後でのお楽しみです」
なんだ、今度は天空レストランにでも連れて行かれるのだろうか。俺達は待っていると見覚えのある黒いリムジンがやってきた。
「それでは行きましょう」
俺達は車に乗り込む。相変わらずリムジンの中は広すぎて四人が乗っても滅茶苦茶スペースがある。……そのはずなのだが。
「なあ、広いんだからもっと余裕持って座らないか?」
何故か、俺の左隣に溝口、右隣に竹之内さんが座る。そして太田さんは少し離れた所にちょこんと座る。いや、二人とも太田さん見習ってちょっと離れてくれないか?
「何よ、私が隣で不満だっていうの?」
「隣に座りたいんです。駄目ですか?」
いや、そう言われると断り辛い事この上ないんだけども。見ろ、太田さんが苦笑いしてるぞ。いや、太田さん助けてくれ。
「不純異性交遊ってこういう事ですか……」
太田さんがボソッと独り言を放つ。いや、聞こえているしそれは違うと強く主張したい。
「ていうか何、太田さん見てんの?」
「ふふ」
溝口が睨んでくるし、竹之内さんは鬼みたいなオーラ出してるし何なんだ。これは話を逸らすしか無い。
「そういえば、あとどれくらいで着くんだ?」
「え?ああ、後もう少しだと思いますけど」
「あんた、露骨に話逸らしたよね?」
ちっ、溝口やはり目ざといな。竹之内さんは引っかかってくれたのに。
「ていうか、溝口この中で多分一番頭悪いのにそんな態度で良いのか?俺達がお前に勉強を教えることになるぞ」
「うっ……」
竹之内さんと太田さんは中学の時も学年上位だと聞いている。それに引き換え、溝口は授業中寝まくりで小テストなども酷い点数だ。授業で当たられた時も俺が小声で助けてやったりしている。
「ていうか、お前授業寝てて平気なのかよ。顧問の先生とかに怒られるんじゃないか?」
厳しい部活だと顧問にキツく怒られると聞くがこいつ、大丈夫なのだろうか。
「いや、顧問からも怒られてるけど強いから許してもらってる」
こいつ、授業態度の酷さを部活で挽回してるのか。いや、授業中もそのくらいの心持ちとは言わないまでも力入れろよ。
そんな話をしていると車が急に止まった。車の窓にはカーテンがあるので全く外が見えないからどこにいるのか分からん。
「あっ、着いたみたいですね」
俺達は話に夢中になっていたが時間は過ぎていたみたいで目的地に到着したみたいだ。竹之内さんの合図に俺達は一斉に降りる。するとそこにはたいへん大きな宮殿みたいな家が建っていた。しかも周囲は広大な庭が広がっている。
「ええ、なんだ。ここ」
「すご……」
「これは……」
竹之内さん以外の俺達三人は周囲を見渡して呆気に取られている。
「え〜と、竹之内さんここは何処なんですか?」
「はい、ここは私のお家です」
俺達はビックリして固まってしまった。
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