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一般生徒Aの俺が学園のお嬢様達から好かれている。何で?  作者:


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第3話 お嬢様のお願い

「え〜と、だな……」


「お〜い、朝礼始めるから皆席に付け〜」


 朝礼の時間になった為、担任が教壇にまで来たみたいだ。俺は溝口に弁明するのを諦めて前を向く。ちなみに溝口含む、竹之内以外のクラスメイトがみんなチラチラ俺を睨んでいる。なんだか泣けてきた。


「で、どういう事よ」


 朝礼が終わった瞬間、溝口がこちらを見つめながら尋ねてくる。俺はため息をつきながらここだと話しにくいと言って、溝口を教室の外へ連れ出す。


「説明するとだな。昨日帰りにハンバーガー食べたいなと思って店へ行ったら竹之内がいたんだよ」


「ああ、学校近くのあそこ?へ〜、竹之内さん、ああいう所行くんだ」


 溝口はへ〜、それは意外と驚いている。俺も同感だが、話が進まないので取り敢えず言いたいことを続ける。


「で、どうやらセルフレジの操作が分からないらしくてな。それで俺がやり方を説明したんだよ」


「え、それだけ?」


 そうだよ。それだけの事でここまで大騒ぎになってるんだよ一組は。もしかしたらみんなアホなのかもしれん。まあ、それだけ竹之内さんの人気が天井知らずということなのだろうが俺はふうっとため息をつく。


「で、俺は列に並んでたのを抜け出して教えたから、また並び直すの面倒だなって思って帰っちゃったんだよ」


「なるほどね。それでわざわざお礼を言いに来たと。良いことしたのに災難だね」


 やっと溝口が俺に対して同情してくれた。うう、やっぱりお前は俺の友達だよ。ていうかクラスメイトは何であんなに怒るんだ?彼女だって男子と話したり……しているのをあんまり見ないな。


「周囲の女の子達がやっかいだね〜」


「うん?どういう事だ?」


「なんだっけ竹之内さんの周りの女の子達。悪い虫を近付けないように動いているんだって」


 悪い虫というのは男子の事を指しているのだろうが、そんな事あるのかとよく考えると竹之内さんと一緒に話している女の子達、いつも周囲を警戒している。あれって男を近付けないようにしてたんか。アホらしい。


「まあ、竹之内グループの令嬢だからね。しかも、あんだけ可愛ければ余計男達が放っておかないもん」


「そりゃ、そうだけど。じゃあ、竹之内さんは何で俺に話しかけてきたんだよ」


「彼女からしたら関係ないんじゃないの」


 おい、それって本人の意思関係無しに周囲の奴らは動いているのかよ。竹之内さんだって年頃の女子だぞ男子と仲良くしたいと思ったって不思議じゃない。それだとクソ迷惑な集団じゃないか。


「で、どうするの?」


「分からんが昨日あった出来事を伝えれば、大したことはしていないって分かるんじゃないか?」


「そりゃ、そうだけど。な〜んか嫌な予感がするんだよね」


 おい、当事者の俺を不安にさせるような事を言うなと小言を言った。俺は問題を解決するために覚悟を決めて教室へ入る。そして竹之内さんの席へ真っ直ぐ向かう。


「止まりなさい。美帆様に何か用?」


 竹之内さんの席に着く前に彼女の友達に止められる。確かメガネを掛けた真面目そうな女子は太田さんだったっけ。なるほど近付く男子はこのようにして排除していたのかと納得する。


「あ〜、じゃあ、伝言お願いしても?」


 だがまあ丁度いい、この子達に事情を説明すれば俺は大したことをした訳ではない事を分かってもらえそうだ。太田さんは変な用事じゃなければ伝言すると許可をくれたので話し出そうとする。


「太田さん、ちょっと待ってください」


 しかし俺の目論見通り行かず、太田さんの後ろにいた竹之内が出てきた。だが、まあ彼女と太田さんの二人に話をすれば結果変わらない。ここで誤解を解く。


「戸松君、先日の事でお話があります。二人で話したいのでちょっと外へ出て頂いてもよろしいですか?」


 これ誤解を解くどころか、かなりまずいやつではと思ったその瞬間、隣の太田さんが泡を吹き出した。彼女はブクブクブクと音をたてながら泡を出し続けいている。滅茶苦茶怖いんだけど!!


「お、太田さん、大丈夫か?」


「おぶぶぶぶぶぶ」


「ああ、彼女は時々こうなるので大丈夫です」


 竹之内さんはニッコリと微笑む。いやいや、泡を吹くのはヤバいのではと思ったが、他の女生徒達が慣れた手付きで担架を持ってきて何処かへ運んでいった。何処から担架持ってきたんだと思った。しかもあまりの手際の良さにこのようなことは慣れているのだろうか。クラスの事全然見てなかったから知らなかった。いや、生徒が泡吹いてたらもっと騒ぎになると思うのだがまあいいか。


「で、外で話すって?」


「ああ、すぐ終わります。一時間目の授業も始まってしまいますし」


 周囲の連中からの圧力が飛んでも無いことになっているが、周りの人に聞かれたくない内容なのだろう。流石にそこの意思は汲んであげた方がいいだろうと思い、二人で教室の外へ出る。


「まずは昨日は本当にありがとうございました」


「もう何回も聞いたし本当に大丈夫だって」


 竹之内さんには悪いのだが、君が俺に話す度に俺の敵が生まれてしまうんだ。とは流石に言えない。彼女だって悪気があって俺に近付いた訳では無いだろう。そして竹之内さんは話し始める。


「では本題に入ります。昨日、私のせいでハンバーガーを食べ損なってしまったのではないですか?」


「あ、ああ、それも気にしないで良いよ」


「そうはいきません。ご馳走させてください」


 なるほど、昨日の出来事で俺が帰っちゃったからお礼をしそびれたという事か。こんな事になるなら並び直せば良かったと思ったが仕方がない。


「そ、そんな事言われてもな……」


「それと……、助けて頂いたにも関わらず、お願いするのもおかしいのですが……」


 お、本題はこれか。俺は一体俺は何をお願いされるというのだろうか。お嬢様のお願いなんておそらく殆ど叶えられないと思うのだが。


「わ、私に普通の高校生活というのを教えてください!!」


「はい?」

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