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一般生徒Aの俺が学園のお嬢様達から好かれている。何で?  作者:


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第25話 私達の気持ち

【溝口真由子視点】


「それを戸松君が忘れていると?」


 私の話を黙って聞いていた竹之内さんは困惑した表情で私を見つめていた。何でその事を綺麗さっぱり忘れてしまったのか不思議なのだろう。


「その後、それとなく受験当日の話を聞いてみたら『いや〜、その時緊張しすぎてよく覚えてない』って言われた……」


「ええ……」


 竹之内さんは口を手で覆い絶句している。私としたら運命的再開とすら思ったのに当の本人は忘れたの一言なのだ。私の純情を返して欲しい。


「それはご愁傷さまです……」


 挙句の果てに竹之内さんに同情されてしまった。週明けアイツの脛を蹴ってやろうか。完全に八つ当たりだがまあ良いだろう。


「それで溝口さんにとって戸松君はどういった存在なんですか?」


 出会いの話をして結局話が戻ってしまう。まあ、本気で私とアイツの出会いに興味があるわけじゃなくてこちらが本題だろう。彼女の真剣な表情で分かる。


「やっぱり分からないよ。竹之内さんこそどうなの?」


「私ですか?」


 私に質問ばかりしていないでそちらの事情も教えて欲しい。ちょっとスカッとした思いで返してやったのだ。


「私、今まで男性を好きになった事が無いんです。周囲の人達から男性は怖いから気をつけろと散々注意をされてきたので」


「ああ……」


 最初の頃の太田さんのような事だろう。あれがずっと続いていたのだとしたらゾッとする。まあ、天下の竹之内グループの社長令嬢だ。実際、変な男が寄ってきてもおかしくないのだろう。


「だから男子と仲良くするのが初めてというかなんというか」


「経験がないから戸松の事をどう思っているか判断がつかないと?」


「そうなんです!!」


 竹之内さんはずいっと顔を近付けて語りかけてきたのでビックリして思わず仰け反ってしまう。超箱入り娘である竹之内さんは自分の感情の名前を知らないのだろう。


「具体的にアイツの事どう思ってるのか教えてもらっても大丈夫?」


「戸松君は私の今まで会ってきた人とちょっと違うというか。良くも悪くも正直というか。私のご機嫌を伺っておべっかを使う用な事がなくて」


「周り、そんな人ばかりだったんだ……」


 今まで竹之内さんを自分の格上として見上げられるような生活をされてきたのだろう。当然彼女はそんな人ばかりで嫌気が指していたのだろうか。そこで良くも悪くも媚びを売る用な事をする必要がない戸松が現れてビックリしているといった感じかな。


「それでいて何も知らない私に対して優しく接してくれて嬉しかったんです」


「そっか」


 口では面倒臭いだなんだといって人に親切にする所がある。それに何か女子をやたら褒める。そのせいで私と竹之内さんだけじゃなく太田さんとまで仲良くなってるし。更に山王さんからも目をつけられてるし何なのだ。何か考えだしたら余計イライラしてきた。


「それで私はもっと戸松君と一緒にいたい。もっと仲良くなりたいと思っています。この感情は恋なのでしょうか?」


 分からない。それだけなら友情の範囲だとも言える。だけど本当にそれだけなのだろうか。私に言っていない感情。自分ですら気付いていない感情。それを全て含めたらそれは恋と呼べるのかもしれない。


「正直、私にも恋ってよく分からないんだ」


「そうなのですか?」


 竹之内さんは不思議そうな顔をしているが私だってただの高校一年生だ。知らないことなんて一杯ある。


「人それぞれだしね。でも私にとってそいつとずっと隣りにいたいだとか。触れていたいとか色々……。ごめん。自分で言ってても説明つかないや」


「いえ、その複雑な心境こそが恋と呼ばれるものなのですね」


 流石、頭の良い竹之内さんだ。理屈で感情を知ろうとしているのだろう。今までにない経験だからこそ学んでいる。そんな所だろうか。


「あとそいつが他の女の子と仲良くしたりするとムカつくかも。何で私以外の女と仲良くしているんじゃーって」


「ふふっ、なるほど。好きな人はやはり自分だけのものでいたいと思うという事ですね」


「そういう事。自分だけの人でいて欲しいってなったらそうかもね」


「それなら私も戸松君が私といる時に溝口さんの話を出した時、少しイラッとしてしまいました。私とお喋りしているのにって」


「あの馬鹿、そんな事してんの?本当ありえないね」


 竹之内さんは先程から真面目そうな顔をして聞いていたがやっと笑ってくれた。美人はやはり笑顔でいた方が映えると思う。ていうか竹之内さんとデートしている時、そんな事しているのか。呆れると共にちょっと嬉しいと思っている私も同様に馬鹿なのだろうか。


「やはり、私達立場が同じなのかと思います」


「ふふ、そうかもね」


 お互い、笑い合う。


 今まで私が言った感情は全て、あの馬鹿《戸松》に向けられた感情だった。

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