第22話 図書室での君と
「まあ、でも勉強会するのは溝口が参加できるようになる一週間前からだな」
「分かりました」
「了解〜」
皆と約束をして一時間目の授業が始まる時間になったので皆自分の席に戻っていった。来週の予定は決まったが今週はどうするか。まあ家で勉強すれば良いか。あとは図書室とかで勉強するのも良いかもしれないなと考えた。
放課後、俺は家に帰らずに学校の図書室で勉強しようと考えた。家でやってもいいのだがより静かな図書室で勉強した方が捗ると思った為だ。今日は竹之内さんにも誘われなかったな。土日遊ぶのを断っただけなのだが今日も駄目だと思われたのだろうか。俺はそんな事を考えながら図書室へ行く。図書室は高校の図書室とは思えない程の広さだった。近所の図書館よりでかい気がする。全然行ってなかったからこんなに広いとは思わなかったな。
「あれ、戸松君。図書室に来るなんて珍しいですね」
「あれ、太田さん」
図書室の自習コーナーと書かれた長机がある場所で太田さんとばったり出くわした。机には教科書とノートが置いてあるから勉強していたのだろう。
「テスト勉強?」
「は、はい。そういう戸松君も?」
「俺もテスト勉強。隣座っても大丈夫?」
俺がいることで集中出来ない可能性もあるため聞いてみたが、太田さんは勿論と言って隣の椅子を引いてくれた。俺はありがとうと返して隣の席に着く。
「二週間前なのにテスト勉強なんて偉いね」
図書室の為、小声で太田さんに話しかける。事実、俺達のように自習コーナーには何人か生徒がいるがさほど多くない。他の場所で勉強しているんだろうが。
「そういう訳じゃないんです。私は要領が悪いので早めに始めないと」
そういって彼女は教科書に目を移して勉強を始めた。邪魔してはいけないし俺も集中して取り組もう。その後、俺達はお互い話すことなく勉強に取り掛かった。二時間くらいたっただろうか俺は集中が切れかかったので欠伸をしながら大きく伸びをする。チラと太田さんの方を見ると俺と目が合った。欠伸をしたところを見たからか太田さんがふふっと小さく笑う。滅茶苦茶恥ずかしいな。
「ちょっと疲れましたね……」
「そうだね」
俺達はいい機会だと思って飲み物を買いに図書室の外へ出て、校内の自販機のコーナーに向かう。
「戸松君って特待生なんですよね」
「ああ、うん。だけど高校入って初めてのテストだからどうなるか分からないよ」
中学の時の内申点と入学試験の成績は確かに良かったがそれで高校でも好成績を取れるかと言ったら分からない。勿論、特待生をキープするために酷い成績にするわけにはいかない。
「凄いですよね。私は頭が良くないのできっとそこまで得点取れないと思います……」
「いや、早くから勉強してるんだから好成績狙えると思うよ」
芦月学園は平均より上だが都内有数の進学校と言う程ではない。普段から勉強をしていない生徒も多く真面目に取り組めば好成績を取れるだろう。そういった意味でも励ましたのだが彼女は首を横に振る。
「それでも学年三十番以内に入った事が無いんです。美帆様はいつも好成績をキープしているというのに」
何となく分かってはいたが竹之内さんは頭が良いらしい。高校始まって初めてのテストなのに、好成績だった事を知っているということは彼女たちは中学時代から一緒ということか。
「二人って同じ中学?」
「私達は芦月学園の初等部からずっとエスカレーター組です」
芦月学園は小学校から大学まである一貫校だ。彼女達は小学校からずっと一緒だったのか。
「なるほど。竹之内さんは昔から優秀だったと」
「はい。勉強、運動、芸術、何を持ってしてもハイレベルでした」
「まあ、それは容易に想像できるな」
あれ、でも彼女、習い事全然上達しなくてすぐ辞めちゃったって言ってた気がするけどどういう事なんだろう。それを太田さんに聞くのは流石に無神経過ぎるよなと思って黙る。
「はい、私はそれをすぐ横で見ていました。カッコいいですよね」
「カッコいいと言ったら太田さんの方がカッコいいと思うけど」
あくまで俺はビジュアルの話ではあるのだが、王女様のような可憐さを持ったのが竹之内さんだとすれば、クール系美人の太田さんだったら太田さんの方がカッコいい。
「女子に対してカッコいいって褒めてます?」
「褒めてるよ。嫌だった?」
太田さんは嫌じゃないですけどと腕を組んで訝しんでいる。女子にカッコいいって言ったら良くないのか、これは反省だな。
「太田さんは可愛いよ」
「へっ?」
太田さんはビックリしてずっこけそうになった。いや、俺ってそんな変な事言ったか?
「ま、前にも言いましたけど私は可愛くないです!!」
「いやいや、どう見ても可愛いじゃん」
「可愛くないです!!」
彼女は顔を真っ赤にして否定し続ける。俺って間違った事言ってるのか?
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