第17話 竹之内さんと何処へ行く?
そして時は進み、放課後。俺と竹之内さんは二人で校外へ出た。
「本日は本当にすみませんでした……」
「もう大丈夫ですよ。あれも山王さんが喧嘩吹っかけてきたのが悪いんだし」
「……、私に関わるの止めたくなりませんか?」
どうしたのだろうと不思議に思ったが、太田さんと山王さんの事が立て続けに起きているからか。自分に関わったから面倒に巻き込まれていると心配してくれているのか。竹之内さんは何処か暗い顔をしている。
「大丈夫ですよ。それに友達が大変な時はお互い助け合いましょうよ。何かあれば協力するんで」
「戸松君……」
竹之内さん口に手を当てて感激している。まあちょっといい顔しただけなので特に深い意味はないです。何事も起こらない方が良いに決まってるしね。俺達は歩きながら目的地に向かう。そういえば、どこに向かうのだろうか。
「ちょっと離れた所へ行くので車で向かいましょう」
「へ?」
そういうと車道に止まっていた長さがある黒のリムジンに向かって歩き出した。あれ、もしかして自家用車なのか……。マジで金持ちってリムジン持ってるもんなんだな。竹之内さんは運転手に声をかけた後、車に乗ってくださいと促される。俺は言われるがままリムジンに乗り込む。一体何処へ行くというのだろうか。
「えっと、何処まで行くの?」
「ふふっ、秘密です♡」
竹之内さんはウィンクをして微笑みかける。うっ、可愛い。ていうか本当に気になるな。わざわざ車で移動だから近所じゃないのは確かなんだけど。
「そういえば竹之内さんって習い事とか部活とかしないの?」
確か、山王さんは今日習い事って言っていたし。お金持ちは何か習い事とか色々通うイメージがある。竹之内さんはそれを聞いて少し苦い顔をした。
「……、昔はしていたのですがどれも中々上達しなかったんです」
「ご、ごめん。ちょっと話題として出しただけで無理に聞くつもりはないんだ」
竹之内さんは大丈夫ですと苦笑いをしている。会話のチョイスをミスってしまった。ここから遊びに行くのに嫌な雰囲気にしたくない。
「竹之内さんは何か趣味とあるの?」
「趣味ですか?小説を読むのは好きですよ」
困った時は趣味を聞く大作戦だ。これで嫌な雰囲気になることはないだろうと踏んだんだが行けそうだ。
「へ〜、どういった本読むの?」
「え〜と、ミステリー小説ですかね」
へ〜、ミステリー小説が好きなんだ。そこら辺はちょっと門外漢だが、それはそれで話す方法はある。
「そうなんだ。そこまで詳しくないから何から読めば良いんだろう?」
「気になった作品を読んでいくのが良いと思いますけど、まずはアガサ・クリスティから読んでみると良いですよ。今のミステリー小説の元になった部分が多くて楽しめるかと思います」
確か、世界的に人気がある『ミステリーの女王』だ。その多くが大ベストセラーとなっている。彼女が言うのだから本当に面白いのだろう。
「逆に戸松君は普段、何をしているんですか?」
「俺?う〜ん、漫画とかゲームかな。普通だよ」
言ってて思ったが俺って趣味までThe一般人って感じだな。俺がそう答えると竹之内さんが途端に目を光らせた。
「私、そういうの詳しくなくて親に言っても買ってもらえなかったんです」
家がかなり厳しいというのは聞いていたが、そういうのを禁じられた家だったのか。そういう遊びを極端に制限するのは何だか可哀想だなと感じる。俺は少し暗い気持ちになった。
「どういったものが面白いのでしょう?」
僕の反応とは反対に竹之内さんは興味津々といった感じでワクワクしている。よほど興味があるのだろう。
「う〜ん、女子がどういうの好きかとか分からないんだよね。そうだ、今度溝口にでも聞いてみるといいよ」
「溝口さんですか。女子同士で是非教えてもらいたいです。ですが私が知りたいのは戸松君がどんなものを好きなのかという事が気になるんですよ?」
「そ、そうなんだ」
俺が好きなものって男性向けの漫画とかゲームだよな。まあ、今少年誌って女性にも人気だしそういうのをすすめてもいいのかもしれない。
「お嬢様、そろそろ目的地に着きます」
前からスピーカー越しに声が届く。運転手の人からだろうか、話している内に目的地に着くようだ。
「あら、残念。ではその話は後で」
「で目的地って何処かはまだ教えてくれないの?」
「ふふ、ヒントは海です」
え、海?まだ四月だから泳ぐには早すぎるだろうし全く分からない。それか海の近くのお店で何かをするということだろうか。考えている内に車が止まった。竹之内さんは時間切れですねと言いながら車外へ出た。俺もつられて外に出ると目の前には大きなクルーザーが停まっていた。
「え、竹之内さんこれって?」
「はい。うちで所有しているクルーザーです。ここで二人だけの立食パーティーをしましょう!!」
金持ちの考える事は俺には理解できないようだ。
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