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一般生徒Aの俺が学園のお嬢様達から好かれている。何で?  作者:


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第14話 竹之内さんの逆鱗

「あ、それと戸松君、昨日はごめんなさい」


 太田さんは俺を睨むのを止めて思い出したかのように昨日の話を出して謝ってきた。


「太田さん、昨日のことはもう良いって」


「そっちではなく、私友達になろうって言ってくれたのに逃げちゃって……」


 ああ、そっちの事か。いや、あれこそ俺が急に言いだしたから困らせてしまっただけだけなので俺が悪いと思うんだが。


「わ、私も戸松君とお友達になりたいです……」


「ほ、本当!?よろしくな」


 俺は太田さんに握手を求めて手を伸ばした。彼女は一瞬ビクっとしたが俺の握手に答えた。


「ふふっ、昨日何が会ったか知りませんが、太田さんも仲良くなれて良かったです」


「……」


 おーい、溝口、俺に友達が増えたんだから喜んでくれよ。いや、喜ばなくてもいいから俺を睨むな。てかそうか、昨日の話、竹之内さんがいない所でやったんだから知らなくて当然か。


「……、美帆様昨日私は戸松君に大変失礼を……」


「太田さん、それは良いよ……」


 太田さんが竹之内さんに昨日の謝罪をしようというのが分かったので話を止める。もう済んだ話だし彼女が竹之内さんと揉める所は見たくない。


「太田さん?戸松君に何をしたのですか?」


 竹之内さんが真顔のまま太田さんの顔にぐいっと近付いた。これはまずい。溝口も俺と同じで動けずにいるようだ。


「は、はひっ、戸松君に竹之内さんに近付かないで欲しいと」


「はい?」


 俺にも分かる。竹之内さんが顔には出さずともブチ切れていることに。だって圧が凄いもん。何故か俺まで息苦しくなってきている。


「もうすでに謝罪は受けて解決しているんだ!!だから太田さんには」


「戸松君、ごめんなさい。少し黙っていただけますか?」


 これは俺が抑えられるものじゃないのか。太田さんは恐怖のあまり固まってしまっている。


「何故、そんな事をしたのか。聞いても?」


「……、美帆様が一人の男子と仲良くしていることに……、し、嫉妬してしまって」


「それで勝手に私の友達に脅しを?自分が何をやっているのか分かってるんですか?それで友達になろうだなどと宣ったのですか?」


「そ、それは違う!!」


 俺の声は思ったより大きくなってしまう。確かに彼女は良くないことをしたし怒られてしまっても仕方がないと思う。だけど。


「彼女は自分のやったことを反省していた。だから俺から友達になって欲しいと頼んだんだ」


「……、それは本当ですか?」


「は、はい」


「それは確かだよ。私も見てた」


 太田さんと溝口が肯定の為に頷いた。溝口も怒られている様が気の毒に思って助け舟を出したのだろう。ナイスだ溝口。


「はあ、戸松君が許してくれているのだったらこれ以上は言いません。ただ……」


「次は無いと思いなさい」


「は、はい……」


 彼女のそんな冷酷な目は初めて見た。これが日本の頂点に立つ竹之内グループの社長令嬢。やはり只者ではないということか。だが、昨日は泣いてしまった太田さんだが良く耐えた。いや、よく見たら涙目だけど。


「まあ、お二人の間で済んでいるのだったら私からはこれ以上言いません。重い雰囲気にしてしまいすみませんでした」


「い、いや、俺達はねえ、太田さん?」


「はい」


 余談だが竹之内さんがブチギレていた様はクラスメイトの殆どが見ていたのですっかり意気消沈していた。まあ、竹之内さんはそれにも気付いてクラス全員に対して謝ろうとしていたのでみんなで必死に止めた。


 その後、丁度朝礼が始まったのでナイスタイミングだった。それから俺はクラスメイト達から露骨に睨まれる事が減った。太田さんの様子を見て俺に何かしたら竹之内さんを怒らせるかもしれないと考えた為だろう。


「結局、このクラスは竹之内さんが回しているという事か」


「そりゃそうでしょ。しかも今日のブチ切れで只のお姫様から女王様にランクアップだよ」


 それは褒めているのか?普通に考えれば姫様から女王だから格は上がっているような気がするけど。俺達は朝礼終わり、そんな話をする。そうして竹之内さんの席の方を見ると。


「竹之内様、俺を罵ってください!!」


「すみません、気持ち悪いので止めてくださいますか?」


「は、はひっ、ありがたき幸せ!!」


 何だよ。あの地獄絵図は。クラスの一部の男子が竹之内さんに罵倒されたいが為に本人に頼んでる。あそこで竹之内さんが切れたら切れたで嬉しいって無敵の人かよ。


「すみません、今までの様に男子を遠ざける事はしませんがそういったセクハラは止めてください」


 竹之内さんお守り隊(俺が勝手に呼んでる)の太田さんが注意をしだした。そりゃそうだ。あんなの相手にしていたら日が暮れる。太田さんに言われて一部の男子達は肩をがっくり落として自分の席に戻っていった。笑える、ゾンビかよ。


「戸松君、笑ってないで助けてくださいよ」


「え?」


 そんな事を思っていたら太田さんが俺の席にまでやってきた。やば、さっきの光景を見て面白がっていたのがバレた。こりゃ怒られるかと思った。


「と、友達なんだから助けてくれても良いじゃないですか」


 何故か太田さんは照れていた。

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