クトゥルフ神話TRPG「人間って、なんですか」
スランプを抱えた作家である探索者は、1000年後の未来の子孫に呼び出され、精神をタイムスリップさせる。廃れ行く世界の果てで、探索者はこの世界のただ一人の生き残りである青年(少女):カオル(NPC)と遭遇する。カオルはこの世界で起きた神話戦争によって絶滅した人類の生き残りであり『世界に起きたすべての出来事を記録する』という使命を課されていた。
しかし、彼の課されていた使命は、実際にはプログラム上のものである。カオルの正体は絶滅した人類によって作られた人工生命であり、見た目も振る舞いも声も、何一つとして人間とは変わらない存在でありながら、使命以外に課されたことを成すことができない。
カオルは探索者に言う。
「僕は、将来作家になりたいんだ。世界の全てを書ききる本物の作家になりたい」
読者のいない世界で世界を書き続ける彼は、自らのそれが単なる「記録」であるとも知らず、膨大な量の小説を書いたと言い続ける。
「僕のご先祖様は、あなたが世界で一番の作家だった、って言ってたよ。だから教えて、僕の小説は、どんな小説か。小説を書くって、どんなことなんですか」
「ねえ、先生、生きるって、何ですか?」
「ねえ、先生、人間って、何ですか?」
-これは、人間になりたかった誰かの物語。
本作品集は「存在しないクトゥルフ神話TRPGの背景設定」であり、「存在」しないことが前提です。したがって、本設定を元に新たにシナリオを作成したりなどはしないでいただけますと大変助かります。なお、同設定に基づいて制作されたTRPGシナリオ等を観測した時点で、本設定集はすべて削除されます。シナリオの具体的内容に関する著作権は、すべて本設定集の著作者に帰属します。