15.
中央停車場から少し歩くと、町の中央広場へと出る。
大きな噴水は、妖精職人が作った物で、時間や季節で、水の色や吹き上がる形などが変化するんだそうだ。残念なことに、今はどこにでもある普通の噴水にしか見えない。
「さて、と。僕とカルムは、鍛冶師のところに直接行くんだけれど、二人はどうするの」
ウェインは噴水の前で足を止めると、後ろを歩いていた私達を振り返る。
まだ日の高い時間、広場にはたくさんの人がいた。親子連れや、荷物を抱えた商人らしき人。学院の関係者なのか、ローブを着た人たちもいた。私達と同い年ぐらいの女の子が屋台でなにか買っていたり、木陰で本を読む少年や遅めのお昼を食べている人もいた。
「あ、うん。私はノア通りの方に用事があるんだけど、トレイシーは」
「えっ、わた、私っ!? ……私も、ノア通りに……」
盛大に驚いた後、トレイシーの声が尻つぼみに小さくなっていく。いろいろ言いたいことをぐっと飲み込んで、助けを求めるようにウェインを見ると、彼は頑張れとでも言わんばかりに、右拳を胸の前で握りしめて見せた。
だよね。
カルムもそこそこ問題児というか、目を離すと暴走するタイプだもんね。
入学してすぐ、態度が気に入らないとかでルドヴィにくってかかって、フェルズと一触即発だったとか、アンドリューとやり合ってすでに三回も反省文を提出させられているとか、いろいろ聞いたことがある。
よく外出許可が下りたなぁ。多分、ウェインと一緒ならって、ことなんだろうけど。
ちなみにアンドリューは、この二ヶ月間で四回町に無許可で行こうとして、今期いっぱいの外出禁止令が出ているらしい。メグが辺境伯に報告するって、かなりお怒りの様子だった。
「じゃあ、それぞれに用事を済ませて、夕方の鐘までに、ここに集合ってことでいい?」
ウェインの言葉に頷くと、二人は片手を上げて北の職人通りの方へと歩いて行く。とりあえず、動き出さないことには、と私はトレイシーに
「私達も行こうか」
「うっ……ええ」
トレイシーの顔は、今にも泣き出しそうだった。
いや、いろんな意味で泣きたいのは、こっちだからね。本当に。
私は、こっそりとため息をついた。




