Method37:END OF DOGMA2
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
エレベーターは小さな音をたてて第1層へ到着した。
そこは短い通路になっていて、壁に2つ扉がある。
奥の方の扉からざわざわと人の声が漏れ聞こえていた。
躊躇すること無く円が奥の扉を開ける。
中は何層か吹き抜けになった大ホールだった。
3人は中へ入り、大勢の科学者達に紛れ込む。
「見ろ、クリスが壇上に立つぞ」
「奴が……ユニオンの代表……クリスか……」
神崎の声に円と由香は中央にそびえる演説台を見上げた。
クリスと呼ばれた男が演説台に向かい、壇上から集まったユニオンメンバーを見下ろす。
彼は50歳過ぎの片眼鏡が印象的な男性だった。
白衣ではなく、グレーのスーツに紫色のショート丈のケープを羽織っている。
科学者集団ユニオンの代表というだけあって、片眼鏡を付けたその目はただ者ならぬ光を放っていた。
クリスはマイクの位置を調整して口を開いた。
「私はかつて、この世界を資本家たちの手から解放すべく気象兵器ラグナロクを起動させた。
あれから15年。残された人類の主権は、完全に我々科学者……ユニオンの手に渡った。では、次に我々のとるべき行動は何か? それは地上世界の再生である!」
あちらこちらで科学者達がざわめく。
「ラグナロクはただ、地上の文明社会を巻き上げ破壊するだけの巨大な扇風機などではない。
私は独自の研究と改良を重ね、ラグナロクの運動エネルギーをコントロールすること成功した。
つまり、15年前発動させた時のまったく逆の運動エネルギーを衝突させることによって相殺し、現在一年中吹き荒れている砂嵐を止めることが可能なのだ!」
「まさか……本当に? あの厄災が収束する……?」
「我々は……再び地上に戻れる日が来るのか……!」
さんざめく科学者達の中で円が神崎に視線を投げる。
「神崎、どう思う? どこまで奴の話は本物だ?」
「……ラグナロクの機能改修は本当だろうな。ただ、目的は違うように感じる。
このタイミングで響の能力を欲しがっているのがその証拠だ」
「確かにな」
「ゆえに私はこれから……」
再びクリスが話し始めた途端、いきなりホールが真っ暗になった。
「きゃっ! 一体何なの?」
あちらこちらで驚きの声が上がる中、由香が円にしがみつく。
「停電か。神崎、お前なにか仕掛けたのか?」
「いや、俺は何もしていない。……これはただの停電ではないな。タイミングが良すぎる。何者かの意図を感じる」
「いずれにせよ私達にはチャンスだ。非常灯に切り替わる前に、混乱に乗じて下層エリアに侵入するぞっ」
「よし、作戦通りにやる。
まずは電源コントロール室に向かい貨物用エレベーターのロックを外す。
途中にある暗証番号入力式の扉は、響の力があれば全て開けれるはずだ。あとは俺達の持ってるアクセスキーで開く扉のルートを計算しつつ通気用ダクトも利用して、ラグナロクのある最下層まで辿り着く! 行くぞ!」
「う、うん」
3人は来た扉とは別の、ホールの奥にある出入り口から外へと飛び出した。




