Method3:教会2
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
恐る恐る銃を手にした“はかな”は見た目より重いそれをまじまじと見た。
「どうしてこんな物がここに……」
黒ずくめの男は“はかな”が逃げ込んだ物置の前で口の端を釣り上げて笑った。
「逃げても無駄だと言ったはずだ」
男が物置のドアを開けるのと、“はかな”が銃を構えるのと同時だった。
「こ、こないで! それ以上近づくと撃ちます!」
「ふん、撃ったこともないくせに。手が震えているぞ」
“はかな”は安全装置を解除していないことに気づき、慌てて撃鉄を引いた。
丸腰の男と対峙しながら、“はかな”が一歩、また一歩と距離を詰める。
男は笑いながらも後退りして距離を取る。
“はかな”と男が一進一退を繰り返していると、ふいに教会の窓ガラスが派手な音を立てて割れた。
ガシャーンッ。
そこからくすんだ灰色のツーピース姿の少女が飛び込んでくる。
「伏せろ!!」
とっさに床に伏せた“はかな”の近くでハンドガンの発砲音がした。
パン、パンッ。
「ぐわああああっ!」
黒ずくめの男が足を撃たれてその場に膝をつく。
「きゃああああーーーっ!!!」
床に広がる血溜まりにギョッとした“はかな”は銃を取り落とし、悲鳴を上げて座り込んだ。
「大丈夫かっ」
長い黒髪を揺らせてツーピースの少女が駆け寄ってくる。
「お前が二階堂“はかな”か?」
「……誰? あなたは……?」
少女はかがんで“はかな”を落ち着かせようと手を差し伸べた。
「私は円。残念だが今は話をしている時間がない。黒服の連中がこの教会の外を包囲し始めている。逃げ道を完全に塞がれる前に脱出するぞ」
「なぜ、あなたは私を助けてくれるの……?」
円に支えられながら立ち上がった“はかな”が訊く。
「この教会に縁ある者だからな」
そういう円は“はかな”よりかなり背が高い。
ハンドガンで正確に敵を倒す腕前はかなりのもので、怯える“はかな”とは対象的だ。