Method2:教会1
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
壁に蔦の這う教会の中で、シスター姿の“はかな”は正面の祭壇に向かいひざまずいた。
「ああ、主よ。今日も一日私を暖かく見守ってくださり有難うございます」
16歳になったばかりの“はかな”は胸に両手を置き目を伏せる。
「今日でやっと父が帰ってくる。牢屋に入ってもう3年も経った……」
彼女は眉根をひそめて胸の手をぎゅっと握りしめた。
「神に仕える身である父が銃で人を撃つはずなんて無い。きっと誰かが罪をなすりつけたんだわ」
“はかな”はゆっくり立ち上がり、教会の正面入り口へと歩く。
長年待った父を迎え入れるためだ。
時刻は16時を回っている。
いよいよ父との再会が待っていた。
“はかな”は勢いよく正面のドアを開けようとした。
が。
「あれ? 開かない? 鍵なんかかけた覚えはないんだけど……」
ドアノブをガキャガチャと回しても、やはりドアは開かない。
「何か引っかかっているのかな? 裏口から出よう……」
ドアに背を向けた“はかな”が2、3歩歩いた時、押し殺した息遣いに気付いた。
「……誰!?」
鋭い声にサングラスに黒ずくめの男が並んだ椅子の間からゆらりと立ち上がる。
「二階堂“はかな”だな? アレはどこだ!」
「『アレ』とは何のことですか……!?」
“はかな”の言葉を無視して男が飛びかかった。
「きゃああああーーっ!!」
すんでのところで身を避けた“はかな”は、長い教会内の廊下を走った。
「ふん、逃げても無駄だ」
余裕をかました男がずんずんと“はかな”に近づいてくる。
窮地に追い込まれた“はかな”は、咄嗟に祭壇の奥にある物置に逃げ込んだ。
「な、何か武器はないの! モップは駄目、ほうきも駄目……」
慌ててガサガサと探していると、埃を被った小さな三段の引き出しを見つけた。
「ナイフでもハサミでもいい、何か、何か……!」
乱暴に引き出しを開いてゆくと、一番下の引き出しに黒く光る鉄の塊が見えた。
「これは……銃……?」