クリスマス短編集 いつものクリスマス
いつものクリスマス
僕は光。
愛の証。
僕が僕として生まれる前の。
僕が選んだ家庭はごく普通の家庭で。出会いは友達の紹介でごく普通のもてない女と、ごく普通のゲーム好きの男。
なんで選んだかって?
それはね。
僕が幸せにしたいから。
何でもない。ごく普通の家庭。
そこに僕。
なんてささやかなんだろう。
きっと幸せにするから。
僕が生まれれば二人の人生はきっと今以上に間違っていなかったとそう確信するから。
今よりもっと。
そして僕はその夫婦めがけて飛んでいく。
やがて僕の今までの記憶は溶けて。
やがて二人を見ていた時の記憶も薄れて。
そのもてない女のおなかにこっそりと宿る。
今日はクリスマス。