0日目
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この物語は、高校2年生の安房祐輔が色々な意味でスペシャルな「極めて重要な三連休」をどう過ごすのかを書いたものです。
詳しくはエピローグをお読みください。
今回は短いです。
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ええっと、さっきのって夢なんだろうか?だけど、夢にしては覚えてるし、何より恐怖が襲ってくる。
こういう時は一呼吸__ちょっと手が震えてるが、大丈夫だろう。
整理しよう。今の時間を時計で確認すると、18時。
一応新作映画は見に行かないといけない。なぜって僕が誘ったからだ。その上、一回現実逃避がしたい。
あと一時間半の間にできることを考える。いや、実行すると言った方が正しいかもしれない。
まず、検索機械のところに行って、「異世界」と打って検索結果を見る。結構あることに驚く。みんなそんなに異世界が好きなのか。
次に、そういうジャンルに疎い僕はワクワクしながら本棚に向かう。
いざ棚を見てみると絶景である。初めだけ読んでみて、なるほど面白いと感心する。
20分で10種類の異世界ファンタジーを読んでわかったこと;
だいたい筋が同じだ。いやどんなジャンルでもそうか。
一種類だけ頑張って60分で結構読み進めたが、ふむふむなるほど心の準備が必要らしい。
あとは貸してもらえる最大数5冊を借りて、映画館へと歩みを進めていく。
映画館の前で待っていたところ、後ろから肩を叩かれる。はっ、と振り向くと父の姿があった。
「よう息子、なにか怯えているのか?」
「いやなんでもない。ちょっと悪い夢を見ちゃって...」
嘘だ。
「何かあったら言うんだぞ」
父は嘘だと見抜いたのだろうか。
「ともかく、今日の映画館はすごいんだぞ。ドルビーシネマと言ってスピーカーがたくさんついているんだぞ。全国に両手で数えられる数しかないんだ。」
「へえ。」
緊張がいい感じに引いてきた気がする。
映画館定番のポップコーン、ジュースを買って、椅子に腰をかける。
二時間後、映画が終わった時、僕はもう異世界のことは頭になかった。
怪獣の唸り声に圧倒されたのだ。
「元気になったようでよかった。久しぶりにお前と映画を見れて楽しかったぜ。」
「僕も。一緒に帰ろう。」
よし、帰って夜食食べて、明日に備えて寝るか。何か妙な安堵感があった。
父がいてくれてよかった。心からそう思う。
おやすみ、と家族みんなにいい、さっき読んだ本を数ページ読み、僕は深い眠りについた。
スペシャル「極めて重要な三日間」は明日から始まる。まだ始まってさえいないのだ。
一日目に続く...