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【コミカライズ企画進行中】ヤンデレ最強魔法使いと国外追放された悪役令嬢の幸せな新婚(監禁)生活〜元婚約者達は勝手に破滅したようですが、わたくしは知りませんから!〜  作者: やきいもほくほく
二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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わたくしの意思は……?という質問は今はしない方がいいだろう。


いつもと違い、饒舌なベンジャミンはマティルダの手のひらに花を積み上げて遊んでいる。

子供のように無邪気な行動を取る彼を目で追いかけていた。

マティルダは愕然としつつも、崖から落ちた時に言っていた時の言葉が冗談ではないことを悟る。

しかしマティルダは命を捨てようとした訳ではない。

突風のせいで足がもつれて体が傾いてしまっただけだ。

しかし彼がいなければ間違いなく命を落としていただろう。


(まずはわたくしが崖から飛び降りた訳ではないことを説明するところからよね!?婚約を解消したところからかしら……でもベンジャミン様はさっき元婚約者って言っていたから、あの会場にいたということ?)


マティルダの頭の中は大混乱である。

にっこりと笑っているベンジャミンの様子を伺いながら唇を開いた。



「ベンジャミン様、わたくしは城に……っ!」


「もしかして……あの場所に戻るなんて言わないよね?」


「…………ッ!?!?」



ベンジャミンがグッとこちらに近づいてくる。

仄暗い瞳とあまりにも凄まじい圧力にマティルダはゴクリと喉を鳴らした。

顔がいいだけに迫力がある。

それと同時に、周りにあった花がベンジャミンの感情に合わせて一気に枯れていく。

しおしおになった花は一瞬にして色をなくした。



「アイツらはマティルダを傷つける悪い奴らだ」


「ひえ……」


「僕はマティルダを傷つけたりしない。笑顔にしてみせる……だからマティルダはあそこに戻るなんて言わないよね?」


「は、はひ……!」


「マティルダはここにいたほうがいい」


「も、もちろんです!」



ベンジャミンの有無を言わせない圧に、マティルダは首がもげてしまいそうなほど縦に振っていた。


ガルボルグ公爵邸で見ていたベンジャミンのイメージからはかけ離れた行動にどうしたらいいかわからずに体を固くする。

ベンジャミンの表情が見えるようになったからかもしれないが、本当に同一人物かと疑ってしまうレベルだ。


(まるで別人だわ……!)


ベンジャミンは納得したのか、にこやかに笑みを浮かべながら「よかった」と呟いた。

まだ状況は把握しきれていないが、どうやらブルカリック王国に戻ろうとすると怒るようだ。



「折角、マティルダのために用意した花が枯れちゃったね」


「……はい」



ベンジャミンは寂しそうな顔しながらパチンと指を鳴らして枯れた花を片付けた。


マティルダに背を向けてカチャカチャと食器を並べていく。

次第に紅茶の甘い香りと、香ばしい匂いがこちらまで漂ってくる。

残った花びらを払いながら部屋の中を見渡していると、サイドテーブルに置かれるパンと紅茶はとても美味しそうだ。



「どうぞ。お腹が空いているだろう?」


「あっ……はい。いただきます」



マティルダは手を伸ばしてカップの取っ手を掴んだ。

熱々の紅茶を口に含むと花の香りがブワッと広がって、ホッと息を吐き出した。

程よい甘さに驚いているとベンジャミンは「マティルダは砂糖を二つだろう?」と当然のように答えた。

ベンジャミンの言葉に頷きつつも戸惑っていた。


(どうしよう……仮面を取ったベンジャミン様の距離感が掴めない)


仮面を取ったベンジャミンは意外にも積極的である。

そんな時、美味しそうな匂いにお腹がぐるぐると音を立てた。

マティルダはニコニコと微笑んでいるベンジャミンの様子を見ながらパンを手に取り口元に運んだ。


サクリという心地よい食感と、じんわりと優しい甘さが口内に広がった。

「ん~」と笑みを浮かべながら頬を押さえた。

ベンジャミンに「もっと食べる?」と言われてマティルダは素直に頷いた。

どんどんとお腹が満たされていき、おかわりの紅茶をもらい、一息つきながら考えていたことがあった。


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