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桃から生まれた〇〇太郎

作者: ペペペン

「」が付いている分だけこっちの方が高尚

大阪 ファミレス

男A、B


A「小説を書いてみようと思うんだ」


B「どうした? 急に」


A「年収8000万欲しい」


B「無理だわ」


A「無理か。いいアイデアだと思ったんだが」


B「小説で年収8000万稼ぐのもだが、そもそも小説を書ことがまず難しいんじゃないか?」


A「そう思ってな、まずは先人に学ぼうと思ってシェークスピアを読んでみたんだ」


B「そりゃまた凄いビッグネームを持ち出してきたな。いい考えだと思うけど」


A「で、ちょっとこれを見てくれよ」


-----


ローマ、街なか

護民官のフレイヴィアス、マララス、その他、市民数人。


フレイヴィアス 行け! 帰れ、この怠け者、家へ帰るのだ。今日は休みか?なに!知らないのか、職人のくせに、ふらふら出歩く奴があるか、平日だというのに仕事着も着ないで? お前の仕事はなんだ?

第一の市民 その、はい、大工で。

マララス それなら皮前垂れと物差しはどこへ置いてきたのだ? どういうつもりなのだ、一張羅の晴着など着こんで? お前は、おい、お前の仕事は?


(新潮文庫「ジュリアス・シーザー」 より)


-----


A「情景描写も心理描写も、それどころか改行すらもいらない。全部セリフだけ。こんなのなら俺だって書けるんじゃないかと思うんだ」


B「謝れ。シェイクスピアに謝れ」


A「で、ラノベのテーマなんだがやはり異世界転生モノが主流なんだろう?」


B「もう異世界転生は散々やりつくされている気がするけどな」


A「売れてる異世界転生ものを書きたい。でも、やはり書くからには新しいものを書きたい」


B「そうは言っても、新しいものってそう簡単に作れるものじゃないだろう」


A「こないだ読んだビジネス書で”アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ”という話を読みまして」


B「なるほど?」


A「異世界転生と日本昔話、例えば桃太郎を組み合わせたら新しいんじゃないかと」


B「それももう出てる気はするけどなぁ。うん、”異世界 桃太郎”で検索したら色々出てくるわ」


A「なんと。ではさらにちょっとそこからズラしてみる」


B「ズラす?」


A「異世界転生もののお約束と言えば「死んだら神様にチート能力を貰って転生して俺ツエーしてハーレム」がテンプレだよな?」


B「うん、そういう小説は山ほどあるな」


A「で、例えばそれを「チート能力を貰えなかった」とか「転生前からチートだった」とか「能力持ってたけど役立たずでした」とか、ちょっとズラしてみるだけでも新しいアイデアになる」


B「確かに」


A「そこで、さっきのアイデアをちょっとズラして『桃太郎』ではなく『桃太郎のお供の動物』に転生してみる」


B「なるほど、それは確かに誰も書いてないかもしれない」


A「だんごがキーアイテムになっていて、それを食べたものは転生者の能力を得るんだ」


B「おばあさんが実は女神で、異世界転生者を桃太郎のお供にとか? うん、ちょっと空想が広がりそうだな!」


A「鬼を退治せんとする勇者のために、そのお供にと異世界から3人の魂を呼び寄せる女神様」


B「おお、ちょっとこれまでになかった桃太郎っぽい」


A「魂を団子に加工する女神様」


B「やばい」


A「でも、やさしい桃太郎はその団子を飢えた動物に分け与えてしまう。動物に転生してしまった3人の運命やいかに!?」


B「4人で協力して鬼が島を目指す物語だな」


A「いや、桃太郎たちは協力できないよ?」


B「え、なんで?」


A「動物が喋れるわけないじゃん。会話できないよ」


B「そりゃそうだけどさぁ、もうちょっとほら、そこはファンタジーなんだから」


A「ダメダメ。今どきのなろう小説界隈って、中世ヨーロッパっぽい世界観にジャガイモが出てきただけで『その時代にジャガイモは無いはず!』ってクレームがつくんだぞ。動物が喋ったら炎上するに違いない」


B「転生してるのはいいのか」


A「というわけで、動物は喋れません」


B「しかし、それじゃ物語が進まないぞ」


A「それもそうか」


B「だろ? せめてチート能力とかテレパシーとかで会話ができるようにしておかないと」


A「よし。動物3匹は転生者だから、文字を書くことなら問題なくできるはず」


B「まさかの筆談」


A「時代的にペンや紙は無いだろうけど、地面を引っ搔くことで会話」


B「時間がかかりそうだが、なんとか4人で会話ができるな」


A「いや、桃太郎は無理」


B「なんでだよ。一人だけ仲間外れかよ。可哀そうだろ」


A「『昔』話だぞ?識字率はそう高くない。桃太郎だって文字が読めたかどうか怪しいな」


B「そりゃそうだけど」


A「よし、これでタイトルが決まった」


B「急にどうした」


A「桃から生まれた文盲(もんもう)太郎」


B「やめなさい」

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