5.旅立ちます!
次の日の朝
ゆっくり寝れたし天気もいい最高の冒険日和だな!
二ヵ月間という短い時間だったが充実していたな。
ここまで規則正しい生活をできたのもいつぶりだろうか。
「コガネさんおはようございます」
「うぇあっアリスさんおはようございます」
突然声かけられらので変な声が出てしまった。
どうしたんだろうか?
「今日出発されるんですよね? 最後にご飯を食べて行けとお父さんが言ってます」
アリスさんのご飯を食べられるのも最後になるな。
「もちろん私も腕を振るったので食べてほしいです」
にこっと微笑んでくれる……美人すぎる。
断れないだろこんなの。
アリスさんの家に着くとすでにお父様がお茶を飲んで待っていた。
「おぉ来たかね待ちくたびれたよ」
ご飯を食べながら雑談をする。
こんな優雅な朝があっていいのだろうか。
「ほんとに行ってしまうのかね?」
「はい いつまでもお世話になるわけにもいきませんし」
「といっても道がわからないのですが道をまっすぐ進めば付きますよね?」
「道なりに行けば半日ほど歩けばつく距離だから大丈夫だよ」
「なら大丈夫そうですね」
半日って結構遠いよな? この世界では多分普通なんだろう。
アリスさんも隣で聞いているんだけどやっぱり無理して笑っているのがわかる。
「アリスさんにはほんとにお世話になりました」
「……」
「おいアリス呼ばれているぞ?」
「えっ? すみませんぼーっとしてて」
「大丈夫か? 言いたいことがあるなら言わないと後悔するぞ」
「父さんは一人でも大丈夫だからついていきたいならついて行ってもいいんだぞ?」
ここは黙っているべきだろう。
「お父さん一人じゃ家事全然できないじゃない」
「それに私がいないと何もできないんだから」
「ふっふっふそんなことはないぞコガネ君が作ってくれたマニュアルというものがあればな」
得意そうに俺の作ったマニュアルを開いている。
昨日めっちゃいろいろと聞いてきて一緒にやったもんな。
とりあえずほかの人にも伝わっているようなのでつくってよかったな。
「えっどういうこと?」
「これはすごいぞ1日のやるべきことと手順が朝から晩までしかもとてもわかりやすいんだ」
「私も昨日この通りやってみたのだがいつもはできなかったこともできてしまってね」
「えっ昨日掃除と料理の下ごしらえができていたのもしかしてお父さんがやってくれていたの?」
「てっきりコガネさんがやってくれていたのだと思っていたのに」
「そうともやればできるのさ」
「お父さんがどうとかそんなのは関係ない、もうアリスは大人になったのだから好きなように生きなさい」
「お父さん……」
「わがまま言ってもいいの?」
「いいとも子供は親に甘えるものだ。今まで我慢しすぎたのだからその分取り返すくらいの勢いが必要だな!」
「コガネさん」
「はい?」
突然の呼びかけにびっくりする。
「コガネさんにも迷惑をかけてしまうかもしれませんよ?」
「私にできることであればなんでもどうぞ」
アリスさんはこの世界に来た私にとっては命の恩人だ。
どんなものがあっても受け入れるつもりだった。
「お父さん……私も王都に行きたい」
「王都に行って勉強をしたいの」
「そうか。では少し待っていなさい」
そういってお父様は出て行ってしまった。
「コガネさん私もついて行っていいでしょうか?」
そんなの答えは決まっている。
「もちろんです。道がわからないのでついてきてくれるとむしろありがたいです」
まじかよ!ラッキー!アリスさんとお別れすると思っていたのですごくうれしい。
「ふふっそうでしたね。コガネさんみたいに計算もできるようになりたいので教えてほしいんです」
なるほど迷惑をかけるということはそういうことだったのか。
「もちろんです。私でよければお教えしますよ」
「待たせたね」
「これを持っていきなさい。向こうでもお金が必要だろう」
「えっこんなのもらえないよ。私もお金は持っているし向こうで働くから」
「気にするな。これはアリスが旅に出るときのために貯めていたものだから使いなさい」
「わかった。ありがとうお父さん」
「コガネ君娘を頼むよ」
お父様がこっちに頭を下げる
「私にできることがあれば必ず力になりますし、アリスさんは命に代えても守ります」
あれ?ちょっと違う意味にも聞こえるか。
まぁいつも手を抜くな全力で死ぬまで働けと言われてきたし命ぐらいかけても問題ないだろ。
「コガネさん……」
アリスさんが目を潤ませてこっちを見ている。
「よく言った!絶対に幸せにしてくれよ」
「はい!」
なんか話がおかしな方向に行っている気もするがまぁ何とかなるだろう。
「コガネさんこれからもよろしくお願いしますね」
アリスさんもうれしそうだしいいか。
支度があるとのことでアリスさんは部屋に戻った。
モーやバッハ達ともお別れになるので掃除や牧草を与えながら待つことにした
「お前たち元気にしてろよ」
あっ牧草が減っていたから倉庫から出してそういえば今日は村に出店が来るから買い物をして牛乳を売らないと……
「コガネさん?どこ行くんですか?」
アリスさんが荷物を持ってやってきた。
普段の汚れてもいいような服ではなく白のワンピースを着ていた。
「……」
「コガネさん?」
いかん。あまりの美しさに言葉が出なかった。
「いえ倉庫に牧草を出して出店が来るので買い物をして牛乳を売らないとと思ってました」
「コガネさん出発しないといけないんですからもうお仕事はおしまいです」
「ふふっ相変わらずですね」
「あっそうか出発しないとですね」
「荷物とってきます」
仕事モードに完全に入るところだった。
恐るべし職業病。
支度はしてあるので小屋から荷物をとってきた。
家の前でお父様が立っていた。
「じゃあアリス気をつけてな。コガネ君も元気で」
「うん。いってきますお父さん」
「ありがとうございます。お世話になりました」
ありがとう。ほんとにコボルト村にはおせわになった。
「またいつでも帰ってきなさい」
「「いってきます」」
さぁここから新たな冒険の旅?いや王都での就職活動が始まる。
コガネとアリスの未来はどうなるのか!!!
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