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3.帰ってきます!

コボルト村に来て2か月が経った。


モーやバッハ達の成長記録、牧草や食料の在庫記録そして付近のお店やたまにくる商人の価格表を作り切ったので個人的には満足していた。


「これで少しは恩返しになるだろうか」

アリスさんにはただで住むところを貸してもらえるだけでなく食事まで用意してくれた。


もちろん住むところといっても同じ屋根の下ではなく、牧場の小屋に仮住まいとしてお借りしていた。


「コガネさんおはようございます」

「アリスさんおはようございます」

朝起きてアリスさんと挨拶することから始まる1日がとても楽しみになっていた。


「別に急がなくてもお父さんが帰ってきたからでも遅くはないのに」


「そうなんですけど出来ることは早めにやっておかないと何が起きるかわかりませんから」


「そんなこと言ってこの前も徹夜してましたよね?」


そんな事もあったな。

動物たちの世話が楽しすぎていつの間にか徹夜になっていたら、アリスさんにめっちゃ怒られました。

泣きそうな顔でもうしないでくださいと言われたのでそれから気を付けている。


「まぁ徹夜はなれてますから大丈夫ですよ!」


「そんなこと言ってはだめです」

「コガネさんは私がついてないとすぐ無理をするので心配です」


ありがたいことにアリスさんは雇用主なのに仕事を手伝ってくれたり、料理をふるまってくれたりととてもやさしい。

私がやっときますから気にしないでいいですよと言っても何かと気をかけてくれていて、アリスさんは天使なのではないだろうか。

昔の職場では基本的に他人のことに気を使っている時間はなかったからな。


「気を付けます」

「朝ごはんですよね? 食べましょう!」

アリスさんのご飯は最高だからな。

今日も一日頑張りますか。


「「いただきます」」


「でも本当に出て行かれるのですか?」

「お父さんに頼んでこれからも働いてもらうようにお願いしますよ?」


「さすがにそこまでしてもらうわけにもいきませんよ」

「それに……お金もかかってしまいますので」


こんな優遇条件なのに出ていこうとするのには理由がある。

アリスさんの家は決して裕福ではない。

私自身も給料という形でお金をもらっているし、今食べているご飯だってタダではない。

牧場での売上高と各動物たちの食費も考えると経費は結構かかっている。

それに私の給料を含めて計算してもトントンかむしろマイナスという結果になっていると試算ができた。

お父様が稼いでいるのかもしれないが牧場を経営しながらというとこれ以上の負担になるべきではない。


ガチャ


「ただいま」


「お父さんおかえりなさい」


「おぉアリスただいま……? 君はだれかね?」


「初めましてしばらくの間働かせていただいておりますコガネと申します」

キランとスマイルで対応する。

第一印象が大事だからな。


「勝手にごめんなさいお父さん」

「コガネさんは仕事を探していたようなのでしばらくお手伝いをしてもらっていたの」


「そうだったのか。確かに力仕事も多いしな」

「コガネ君だったかありがとう助かったよ」


「こちらこそアリスさんには大変よくしていただきました」

「お父様も戻ってこられたようなので今日中には出立しようと思っております」


「ふむそうなのかね?まぁ急ぎでもないのなら今日はゆっくりしていってくれ」


「ありがとうございます」

ここともお別れかさらばホワイト企業。


自分の部屋に戻って荷物整理を行う。

ほとんど終わっていたので最後だと動物たちの世話にいそしむ。


「おーいコガネ君ちょっといいかね?」


「はい? どうかしましたか」


「これは君がやったと聞いたのだが本当かね?」

アリスさんのお父様が持っていたのは私が作った資料たちだった。


「今後の参考になればと思い勝手に作ってしまいましたが駄目でしたかね?」


「いや素晴らしいここまでの資料が出来ていると助かるよ」

「なるほどあそこのお客さんにはこの金額で買い物が出来て露店のほうが安いものもあるのか……」

ブツブツと一人考え事をしだした。

「いやすまない私は文字を書くのが苦手でね。 こういったものがあると非常に助かるよありがとう」


「いえお役に立てたなら光栄です」

「多分王都につながる道ですので人の往来はあります、そういった人にふるまえる料理があるとさらに儲かると思います」


「なるほど」

「いやいろいろといない間の話を聞いて一通り回ってみたがとても丁寧に作業されていたよ本当にありがとう」


「住むところまで提供していただいたので、その恩に報いることができたのであればよかったです」


「コガネさーんおとうさーんご飯できたよー」


「おっと呼ばれているようだね行こうかコガネ君」


三人でご飯を食べる。やはり料理がおいしい。

「コガネ君アリスも言っていたのだがうちでこのまま働く気はないのかね?」


「え? ありがたいのですが王都で仕事を探そうと思いますので」


「非常に残念だよとても仕事が出来てすばらしい人だとアリスが言うもので……どうだアリスの婿にこないか?」


「!?」


「ちょっとお父さんなんてこというのよ」


「いや帰ってきてからコガネ君の話しかしないではないか、もしかして好きになったのではないかと思ってね」

「アリスは真面目でやさしい人が好きだと前言っていたではないか」


「言ったけどそんなここで言わなくても」


アリスさんが耳まで真っ赤にしてうつむいている。

えっそうだったのか?やばいうれしい。


「とてもありがたい話なんですけどまだあって一ヵ月もたってませんしそういうわけには」


「そうかね? 私としてもそうしてくれたほうが楽ができるし将来も安心なのだが」

「もしかしてアリスのことは嫌いかね?」


「いやそんなことあるわけないじゃないですか! こんな美人で料理も上手で家庭的な人とか理想的過ぎて私にはもったいないです!」


…………やっちまった

思わず身を乗り出して叫んでしまったが相当恥ずかしいことを言ったのではないだろうか?

恐る恐るアリスさんのほうを見ると目が潤んでいる。


「よく言った! さすがはコガネ君だね初対面から気に入っていたんだよ私も」

「さあアリスも何か言ってやりなさい」


「お父さんの……お父さんのバカーーーー」

聞いたことのないボリュームでアリスさんが出て行ってしまった。

おいおいなんてこと言うんだこのお父様は……


どうすりゃいいのよこの展開!

どうする!!!




お読みいただきありがとうございました。


今回切るところがわからず長文になってしまいました。


感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます!!


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