走れメロス〜フィロストラトス〜
これは学校で書いたものをリメイクしたものです!
楽しんで頂けるとうれしいです!
走れメロスを読んだ方は必ず思うことがあるだろう。
フィロストラトスって誰やねんと。メロスがラストスパートをかけ、沈む太陽の10倍の速度で走っていると、どこからとなく並走していた人がフィロストラトスである。
謎に包まれているフイロストラトス目線で走れメロスのssを書いてみたいと思う。
___________________________
私の名前はフィロストラトス。フィロストラトス・オルタである。年齢は確か13歳ほどである。シラクスの町で生まれたが、4歳頃に親に捨てられ、セリヌンティウス様に拾われ、弟子となった。今となっては私はセリヌンティウス様の一番弟子である。セリヌンティウス様の16人の弟子の中で最もセリヌンティウス様と距離が近いと言っても過言ではないだろう。なぜなら私たちは付き合っているからである。あれは
忘れはしない。去年の事だ。いつものように石を砕き、作品を作っていると突然後ろから抱きしめられ
「好きだ!付き合ってくれ」
と言われ、その場の勢いで付き合ってしまい、今に至る。
何を隠そうと、セリヌンティウス様はロリコンだったのだ。
いつものように、他の弟子が寝静まり、セリヌンティウスに会いに行くと珍しく来客があった。名はメロスと言ったか。決して盗み聞きをしようと言う訳ではなかったのだが、すぐ近くにあった柱の陰に隠れて会話を見守っていると
「なあ、セリヌンティウスよ。僕のために城へ来てくれ」
「ああ、分かった。いいだろう」
という会話が。セリヌンティウス様とメロスは抱きしめ合い夜の街へ消えていってしまった。私はその事実に気づくまでに少し時間がかかった。これは浮気ではないのか?そうだ浮気だ。「私のためにこの世に生まれた」「好きだ」「一生、一緒に生きていこう」とまで言っていたセリヌンティウスが浮気などするか?いいやしない。だがこれは事実である。
頭が冷え、思考が落ち着くと段々と怒りが湧き目の前が真っ赤になった。なぜ男であるメロスに着いて行こうとする?訳が分からない。今までのセリヌンティウスへの愛はセリヌンティウス様への殺意へと変わった。背が小さく、胸も無いし
童顔である私をかわいいと言ってくれた、あのセリヌンティウスへの愛はどこを探しても無い。もう憎しみへと変わっていた。
そこまで考えると私は夜の街へ消えていってしまったセリヌンティウスとメロスを追った。すると本当に城へ行っていた。王の部屋に消えていったので、扉に耳をつけこっそりと話を聞くと、
「3日目の日没までに帰らなければセリヌンティウスを殺すぞ」
という王の声が。すると扉が開き、メロスとセリヌンティウスが出てきて深く抱きしめ合い、メロスが走って出ていった。私はこの時気づいたのだ。セリヌンティウスはロリコンではない、ゲイであったと。
私はメロスの邪魔をして3日目の日没までに帰ることをできなくすれば、セリヌンティウスを自分が手を染めずに殺すことが出来るということに気づいたのだ。早速どんな邪魔をするか考えた。するといつの間にか眠っていた。
私はメロスが通るであろう道が分からなかった。なので、メロスの足跡を辿って歩いていくと、小さな村に辿り着いた。
その道中に橋と山賊がいた。帰り、まず橋を壊した。こうすればメロスは渡れまい。そして行きに見かけた山賊をお金で雇い、襲わせることにした。これでメロスは帰って来れない、完璧だと思うと自然と歩む足が軽くなった。
3日目の運命の朝、早く起き、メロスの無様な姿を見届ける為に川へ向かった。すると、突然雨が降り始めた。かなりの大雨だ。これはかなり川の水が増すのではないか?と期待しながら川にたどり着くと、やはりかなり増水してた。これでメロスは渡れまい。近くにあった木に登り、メロスが来るまで待機することにした。30分くらいしたか?メロスがやって来た。するとメロスは荒れに荒れている川を見て暫く茫然と立ちすくんだ。すると突然ゼウスに助けを乞い始めた。それを見ていた私は笑いを堪えそうになかった。助けを乞うのを止めたと思うと川に入り渡ろうとした。すると、荒れくれた波がメロスを襲い流されそうになっていた。ちょっと同情してしまうくらい。もう彼には渡れないだろうと思い帰ろうとした瞬間だった。なんと渡り切ったのだ!ありえない。でも、私にはまだ山賊がいる。私は山賊が待っているところまで走って行った。少しするとメロスが来た。私は慌てて近くの茂みに身を潜みて事を見守った。山賊はメロスのことを袋叩きをしていた。これは勝ったなと確信した刹那、メロスは山賊の棍棒を奪い取り、山賊を倒してしまった。しかし、かなり疲れている様だった。倒して少し経ったあと走って去った。後ろを着けていると突然倒れ、何かよく分からないことをほざき、気を失った。近づき頬を5回ほど拳で殴ったが起きなかったので、優雅に歩いくことにした。3里ほど歩いたところで、日が傾き始めた。これで私の勝ちだと思い、ほくほくしたような気持ちに浸りながら歩を進めていると突如ありえないスピードでメロスらしき人物が私を抜き去った。これには私も驚愕した。その事実のヤバさに気づいた私は追いかけた。しかし、沈む太陽の10倍の速さで走るメロスには追いつける訳がなく、先回りしてメロスを待つことにした。シクラスの塔楼で待っているとメロスがやってきて
「お戻りください!もうお友達をお助けになる事はできません!あなたのお命が大切です!」
と言ったがメロスには通じず
「愛と誠の力を知るがよいのだ!」
と言い残し、走り去った。むしろスピードが上がった気がした。私はもう、メロスを止めることが出来ないと思ってしまった。アイツが今日の日暮れまでに帰らなければ私の勝ちなのに。アイツが乗り越えられなければ勝ちだったのに。なのにメロスは愛と誠の偉大な力で乗り越えやがった。私の努力は無駄だった。そう思うと目の前が霞んでいった。もう限界に近い足に鞭を振るい、なんとかシラクスの街にたどり着いた。すると、全裸のメロスとセリヌンティウスが深く抱きしめ合い、横には王が涙を流していた。
「もう訳が分からないよ」
私はそう呟きだんだんと意識が遠のいていった。