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第1話 現実煤色ユートピア
ドグラマグラ太郎
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ドグラマグラ太郎はおちんちんである。
ドグラマグラ太郎は一つの異世界の地名である。
その地点を求むるならばそれはいまやここから遠い遠いところである。
誰かが熱心に耕していた田んぼから遠くにある。
学校横の教育用の畑からはさらに遠い遠いところにあると考えられる。
そこでは、あらゆる事が都合の良い難易度が与えられる。
人は一瞬にして死ぬ。
冬に北に旅すれば寒さで死ぬ事もある。
赤い花と語り続けることで社会的に死ぬこともできる。
罪やかなしみでさえそこでは聖くきれいにかがやいている。
このドグラマグラ太郎は実に人の心の一部である。
それはアドレナリン中毒期の始め頃からセロトニン中毒期の終わり頃の声だ。
聞こえない声を読める一つの文章としての形式をとっている。
この見地からドグラマグラ太郎の特色を数えるならば次の三点に帰する。