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親友との真面目な話 4

 そこで竜也が勢いよく起き上がり、真面目な顔で僕を見る。


「それでさ、この流れでいきなりなるんだけどさ」

「うん」

「俺の言ってることが絶対とは言えないって言っとくぞ? 告白してみる気ってのはあるの?」

「告白……ねぇ……」


 もし、竜也が言っていることが本当であるならば、勝率があるため、誰でも動くだろう。それは間違いなく僕にも反映される。

 しかし、それとは別の問題がある。

 それは明日美との二人だけの秘密の件についてだ。

 こればかりは絶対に口外出来ないことなので、相談することも出来ない。


 ただ、この状況下で相談としたとして竜也が言ってきそうな言葉も予想が付く。

 間違いなく、『当たって碎けろ。骨ぐらいは拾ってやる』という言葉だろう。

 僕もきっと同じことを言うから、ほぼ確定に違いない。

 けれど、自分がまさか身分差の恋愛について考えるとは思っていなかったため、あまりいい答えは出ない。あくまで、よくあるドラマにあるグッドエンディングの夢のような結末しか……。


 ドラマのように甘く出来ていないのが現実なのも事実。

 だからこそ、いくら竜也の予想が当たっているとしても、それが障害となっている以上、僕は踏み出すことが出来ない。

 つまり、答えは自ずと決まりーー。


「まだ現状維持になるのかな……」


 これになってしまう。

 僕の出した答えに竜也は情けなく思ったのか、深いため息を溢す。


「まぁ、いいけどさ。少なくとも後悔だけはするなよ。この関係がずっと続くわけじゃないんだからな」

「分かってるよ。一ヶ月か二ヶ月でこの関係に終わりが来ることぐらい」

「……え? 期間限定なの?」

「言ってなかったっけ?」

「聞いてないけど」

「あ、ごめん。じゃあ、少なくとも卒業ぐらいには辞めることになると思う。ほら、僕が就職する関係上、一人暮らしの準備とか始めるから」

「あ、やっぱり一人暮らしするの?」

「予定では、ね……。まだ母さんは渋ってる様子だけど、完全にダメって言ってるわけじゃないし」

「そっか……。まぁ、母子家庭だもんな」

「まぁね」


 シミジミと言う竜也。

 僕の立場を少しは分かろうとしてくれているらしい。

 しかし、僕は母さんほど寂しいという気持ちを抱いてない。

 父親に関しては僕が幼い頃に交通事故で亡くなってしまい、そこから母さんと二人っきりで過ごしている。小学生までは夜勤の時は祖父母が泊まりに来て面倒を見てくれていたのだが、中学生に上がる頃に亡くなり、一人でご飯を取ることが多くなった。だから、普段から一人で時間を潰すことに慣れている僕にとって、そんなに変わらない。

 少なくとも『一人でいて寂しい』という感情に関して、もう鈍ってしまっているのだ。


「一人暮らしするんだったら、たまには遊びに行ってもいいよな?」


 不意に提案される竜也の来訪。

 別にそれについては異論はないため、


「別にいいけど……ダメな時は断るからね? それでいいなら」


 と仕事の関係もあるため、そう言っておく。


「分かってるよ。俺は進学だけど、透は就職か……。明日美さんは?」

「進学らしいよ」

「結局はみんな、バラバラか……。っていうかさ、一人暮らしするなら明日美さんも配信しに来るんじゃないの? 今みたいにさ」

「さすがにパソコン買うでしょ。大学に行ってまでは縛られないんじゃない? その時間があるかどうかまでは知らないけど」

「そっか。やっぱり寂しさを感じるよなー」


 竜也はどうにかしてこの関係を繋げたいらしい。

 ぶっちゃけ僕も同じ気持ちではある。

 現状、この状況が苦しいけれど楽しいと思えるのは間違いない事実だから。


「そうだね。でも、いつかはそうなるんだし、時期が早いか遅いかだと思うけどね」

「つーわけで、告白するつもりなら早くしとけよ。後悔しないうちに」

「……考えとく」

「後悔しないなら、それでもいいと思うぜ」


 どうやら僕の返事に対して、定番の『考えておく=しない』と取ったらしく、そう言ってきた。

 けれど、少しだけ僕は告白してみようかなという気持ちにはなっているので、その考えは間違いなのだ。それを口に出して言うつもりはないが。


「そんなことより、竜也は明日どうする? 来る?」


 僕はこの話をそろそろ切り上げたくて、当初の質問であった明日の県について尋ねる。

 そのことを忘れていたらしく、竜也は「あ……!」と思い出したような声を上げた。

 どんだけ僕のことに夢中になってたのさ。

 気持ちは嬉しいけれど、その件について忘れていた竜也に思わず苦笑いしてしまう。


「予定次第ってことにしとく。だから、ギリギリや遅れてもいいよな?」


 竜也の答えは気まぐれという答えだった。

 竜也らしいと言えば、竜也らしいと思える返答。


「分かった。なるべくは早くお願いね」

「おけまる。つーわけでマリカのリベンジだ。次は俺が一位取るから!」


 そう言って、今まで放置していたコントローラーを手に取り、竜也ば僕を指差す。

 指差してきた手を、僕は手で叩き、


「今日はかなり運が悪いみたいだし、無理じゃない? 運が良かったとしても、一位の座を譲るつもりはないけど」


 そう宣戦布告。

 こうして二回戦が始まる。

 本来であれば、今回の件で竜也にお世話になったので勝ちを譲ってあげたい気持ちもあったが、勝負の世界は非常。圧倒的実力差で僕はこの二回戦も一位で終わったのは言うまでもないことだった。


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