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問題解決? 6

 なぜか竜也は青ざめた表情をしていた。

 まるで、僕たちが今話した内容が信じられないというような雰囲気を出しながら。

 その時点で察することが出来たが、改めて僕はそのことを口に出して竜也へと尋ねる。


「ねぇ、竜也。青ざめてるけど大丈夫? そのお気に入りの配信者さんに迷惑なことしてないよね?」

「ははは……するわけないじゃん」

「棒読みだけど?」

「気のせい気のせい」

「本当に?」

「やめろ。これ以上追い詰めるのはやめろ」


 急に真面目な声になって、僕を牽制し始める竜也。

 思った通り、図星らしい。


「竜也くん、何してるの?」


 さすがに明日美も軽蔑の目で見つめながら、信じられないとでも言うかのような口調で尋ねる。

 僕と明日美に自分のしてしまった行動がバレてしまった竜也は、シュンとしょげてしまう。そして、その言い訳を言い始めた。


「だってさぁ、しょうがないじゃん? 実際、前に会えることだってあったんだし。それはゲームのオフ会だから別だけど……。だからきっかけとしてワンチャンありかなーって考えても仕方ないじゃん」

「意味が分からないんだけど? 配信者をしてる私の立場からすると、そのワンチャンが」

「ほらさ、恋愛に繋がるかどうか別としても会って、遊びたいって気持ちにはなるだろ? その気落ち、透には分からないか?」


 そこでいきなり僕に話を振ってくる竜也。

 完全に気持ちを同意して欲しいような感じですがってきた。

 僕は一旦視線を逸らし、後頭部を掻きながらため息を吐く。


「気持ちとしては分かるよ? 竜也のその『有名人と会いたい』っていう衝動に関しては。けど、僕としてはそれを実際望んでるわけじゃないし。そもそもツイートに関してだってリプを返すぐらいはするけど、DMなんて何かのきっかけがないと送らないからなぁ……。だから分かるのは分かるけど、それに対してのフォローなんて出来ないよ」


 僕の過去の行動からの本音に対し、竜也は複雑そうな表情を浮かべていた。

 きっと、その気持ちを分かってくれたのは嬉しいけれど、自分の行動との差に対して少しショックを受けたようだった。


「ちなみに、そのDMを送るきっかけって何なの?」


 明日美からの先ほどの説明に対しての質問がやってくる。


「配信内である画像の話になって、それを探して送るとか? あとはあるネタを送ったり? あとは……ツイートで落ち込んでる時に送ったりとか? 落ち込んでる時のはツイートされてから時間が経ってるから、そのせいでリプよりもDMの方がいいかなって判断した時ぐらいだけど」

「ふんふん。本当に必要最低限って感じなんだ」

「それこそ勘違いされて、変な風に話題にされても困るからね。配信だって楽しむために見てるんだから、僕が原因で配信を休止したり、辞めたりされたら嫌じゃん」


 その発言を聞いた竜也が、


「え⁉︎ そんなことで配信って辞めたりすんの?」


 とかなり驚いた様子で僕に尋ねてくる。


「それも人次第だけど。辞めるっていうか転生かな? Twitterのアカウント変えて、名前も変えて、違うアカウントで始めるんじゃない? 一回、承認欲求で満たされたら、もう一回満たされたいって思うものだから」

「じゃあ、もう一回見つけたらいいわけか」

「それこそ迷惑だから辞めなよ。それよりブロックされる可能性高いから、転生はよっぽどじゃないとしないんじゃないかな?」

「……マジかよ、ブロックされる可能性あるのか」

「 そりゃするでしょ。迷惑なリスナーこそ、配信者にとっていらないんだから。むしろまだされてないことに感謝するべきなんじゃないかな?」

「俺ってまだ救いのチャンスがあるって感じ?」

「あるのかな? 明日美はどう思う?」


 ここは配信者である明日美に、そのことを聞いてみるために話を振ってみる。

 始めたばかりではあるが、配信者という立場上では僕より許容範囲というものを理解していると思っているからだ。

 いきなり話を振られると思っていなったらしく、明日美は「え?」と一瞬間抜けな声を上げる。しかし、急いで考えをまとめてくれた。


「いきなり振らないでよ。でも、まぁ……まだその配信者さんが竜也くんに対して怒ったり、配信中に不満を言ってなかったら、まだセーフなのかもしれないよ? ただ、結構我慢してるとは思うけど」

「だそうです。だから、とりあえずDMの返事を読み返して、それに対しての謝罪ぐらいしとけばいいんじゃない? もちろん『ダメならブロックしてもいいから』とか余計なことは書かずに」

「確かにね〜。そんなこと書かれたら、私ならブロックしちゃうかも。一応、本人の許可をもらってるわけだし」

「そういう考え方もあるけど、構ってちゃんにも見えるから、普通に謝罪した方がいいと思うからってだけだけどね。僕の考え方としては」

「あ、そっちね! 言われてみれば、その通りかも」


 僕たちがこんな風なアドバイスをしてる間に、竜也はすでにスマホを取り出し、操作していた。

 DMの内容を確認しているらしい。

 よほど嫌われたくないのが分かる。

 でも、もう遅い気もするけどなぁ……。

 どれくらいの頻度で出会い厨のようなこうどうをしているのか分からないけれど、一度付いた嫌悪はなかなか抜けない。だからこそ、やり直せる可能性は低い。せめて、それを挽回出来る何かがなければ。

 けれど、僕はそのことを口にするつもりはなかった。

 竜也も十分に反省していると思うからこそ、これ以上追い詰める必要はないと思うからだ。


「やっぱ、俺ダメっぽいわ。言われた通り、謝罪のDM送ることにする。あとは様子見で大人しくする」


 今までの履歴を確認し終わった竜也は消沈した様子でそう言った。

 もちろん、その間もずっとスマホを操作していることから、謝罪文を書いているらしい。


「長文より、簡潔に自分のした悪いことを上げて、それに対する謝罪を書くといいよ。長すぎると読む気なくすから。あとは様子見でいいと思う」


 そうアドバイスを送る明日美。

 同じ立場を味わってる者として、それぐらいがいいのだと思ったのだろう。

 竜也は、それに対して頷きながらも操作し続けていた。


「よし、これで大丈夫だと思う。送った」


 そう言って、ため息を溢す竜也。

 完全に落ち込んでいる様子だった。

 僕としては送る前に、その内容を確認したいところであったが、プライバシーの関係もあるため、それは言わず我慢しておくことにする。

 そこで鳴るスマホの通知音。

 この速さからすると返信が来たのかと思って、竜也を見るが首を横に振り、違うことを示す。

 え、じゃあ……?

 そこで僕が見るのは明日美のスマホ。

 なぜだろうか、僕はそこでなぜか嫌な予感がし始めていたのは。

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