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相談した結果 1

「なんでこうなったんだろう……」


 翌日の朝、僕はフラフラする身体を壁に持たれさせる形で、自分の身体を支えながらそうぼやく。

 熱を計らなくても分かるほど、僕の体調不良は顕著(けんちょ)のものだった。

 思いっきり風邪を引いていた。

 原因なんて昨日の昼休み、屋上で竜也に相談を持ちかけた件以外、何も思いつかない。


「なんで僕が風邪を引いてしまうのか……」


 この状況を望んでいたのは間違いなく竜也だ。

 だから本来であれば、竜也が風邪を引かなければならないはずなのに、望んでいないはずの僕が風邪を引いてしまう理由が全く分からない。

 本当に神は残酷だと思った。

 とりあえず僕は学校を休むことを連絡しないといけないと思い、無理矢理身体を動かす。同時にズキッとした痛みが頭に走った。どうやらまだ悪化する余地があることを知り、ちょっとだけ絶望する。


「頭痛まで来るとかやばすぎでしょ……」


 身体の軋む痛み、頭痛を堪えながら、僕はスマホを手に取った。そして、ノロノロと動き、また壁に持たれかかる体勢になる。スマホを見る(まぶた)を重く感じながら、操作しアドレス帳を開いて、学校へ電話した。

 頭痛のせいかコール音が長く感じてしまう。

 これがサボりと本当の体調不良の時間のラグか……。

 なんて無駄なことを考えていると電話に出たのは偶然にも担任の野田(のだ)だった。


『はい、もしもし』


 野田の野太い声が受話器から聞こえてくる。

 体調不良のせいか、その声がなんとなく不安感と不快感を誘ってくる。

 それは前回サボってからの体調不良の期間が短いせいなのかもしれない。

 つまり、前回か今回が仮病だと悟られるかもしれないという恐怖感のせいだった。

 でも、そんなことを考えている時間が惜しいため、僕は用件を素早く済ませることにする。怒られるとか怒られないとか、今は考える余裕なんてないのだから。


「あ、もしもし滝本です」

『おー、滝本か。どうした?』


 声だけで僕だと認識したようで野田は、普段学校で僕に接するように少しだけフレンドリーな感じで返してきた。


「すみません。熱と頭痛で学校行けそうにないので休ませてください」

『風邪か?』

「たぶん」

『インフルエンザの可能性もあるから、病院は行けよ』

「はい」

『欠席にしとくから安静にしとけ。病院以外の目的で出歩くなよ』

「はい、失礼します」


 僕はそれだけ言い残し、即座に電話を切る。

 割と短い内容で済んだのは幸だった。

 そして、僕はそのまま壁から枕側へ頭を下ろすような形で寝転がり、目を閉じる。

 何もしたくない。

 これが本音だった。

 手に持っていたスマホもそのまま投げ出す。


「インフルか……」


 もうそろそろその時期が近くなっていることを痛感した。

 正直、インフルエンザにかかってくれていた方が僕としては嬉しい流れ。

 前回のサボりの件もただの熱とインフルエンザではまた別物だから、バレることなんて絶対にないからだ。

 しかし、ここで問題が一つ起きていた。

 すでに母さんが出勤していることだ。


 昨日の夜、晩御飯を食べている時に「明日は早めに出るから、戸締りよろしくね」と言われていた。ということは現在、母親はいない。つまり、病院に連れて行ってはもらえない。

 じゃあ、どうするか?

 少なくとも今日一日はこのまま寝て、過ごすしかないということだ。

 きっと一階にある薬箱を見れば、風邪薬ぐらいはあるだろう。

 けれどそれを探す体力もない。

 何よりインフルの時に風邪薬はダメだと聞いた記憶もある。

 結果、僕に出来るのは本当に安静にしておくしかないということだ。


「間の悪いというか……タイミングが悪いというか……」


 ちょっとだけ意識が遠のきかけてくる。

 身体が睡眠を要求し始めたことが理解出来た。

 だから僕はこのまま睡眠に入ろうと思い始めた矢先、あることに気付く。

 それは母さんの発言の戸締りの件だった。

 もしかしたら、母さんは僕が学校に行くと思い、戸締りをしなかった。つまり、鍵を閉めていない可能性があるということだった。

 これはマズくない?

 そう思うもゆっくりと目を開け、身体を起こそうと試みる。

 頭痛、関節の痛みに僕の心は一瞬にして折れた。


「もう寝てからでいいや」


 それが僕の結論。

 体調不良のため、そんな長時間は寝れないだろうという予想から来るものだった。

 今現在、食欲もないが、喉の乾きもそこまでない。だから何も口にしていない現在(いま)、間違いなくそれを取らないといけないタイミングが来る。

 その時でいいと思ってしまったのだ。

 だから、僕は再び目を閉じ、身体を脱力さ、そのまま僕は身体が求めることに従う。


 この時、意識は少しだけ起きていて『竜也は休んだんだろうか?』とか考えてもいたが、瞬時にそれも分からなくなる。

 それぐらい僕は音速で眠りに就いた。

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