RE:帰り道 3
僕たちは手を繋いだまま、前に別れた場所へと辿り着く。
ここでお別れ。
それは前々回の送って行った時にそういうことになっているから。
だから、僕からゆっくりと手の力を抜く。
明日美も僕の意図が伝わってから、手を離してくれた。
「なんか早く着いちゃったね」
本当に思っているのか、それとも冗談なのか分からない雰囲気でそんなことを言った。
さすがに何度も騙される訳にもいかない僕は負けじと、
「そう思うなら、家まで送って行こうか?」
と提案を出す。
正直、僕は家まで送っても構わないのだから。
でも、結局は断ると思っている。
だって、それは明日美が前々回の時に嫌がっていたはずだから。
しかし、回答は予想に反したものだった。
「それもいいかな……。なんとなく話し足りない感はあるしね」
「……その冗談はキツいって」
「本当だよ?」
「嘘はやめよう」
「本当だって」
「マジで?」
「うん。いいけど?」
明日美の心境の変化が全く分からず、僕はやはり戸惑ってしまう。
どうしたらいいんだよ……ッ!
結局、僕が困る羽目になってしまう。
冗談で言ったことを間に受け止められるとは思っていなかったから。
瞬間、明日美がクスクスと笑い出す。
「私をからかうなんて早すぎるってことだね」
「か、からかわれた⁉︎」
「先にその話を振ってきたのは透でしょ?」
「そうだけどさ!」
「じゃあ、自分のせいじゃない?」
「そういう雰囲気出してたじゃん!」
「気が変わったの」
「早すぎるよ!」
「女心は秋模様ともいうからね」
「秋空より早いって!」
「そんなことないよ〜」
「あるよ!」
「ないってば」
「ある!」
「ない」
「あるから!」
「ないから!」
ここまでやり取りをした後、僕たちはなぜかおかしくなって笑った。
もちろん、大声ではなく、クスクスレベルで。
なんとなくこんなやりとりをずっと続けていたかった。
けど、時間はどんどん過ぎていく。
名残惜しいけれど、別れの言葉を告げること僕はした。
「じゃあ、ここでバイバイだね」
「うん、バイバイ」
「あのさ、もしその冗談が本当だったら、今度は最後まで送るよ。明日美の気持ち次第だけどさ」
「……そうだね。その時がいつかは来ると思うから楽しみにしてて」
「どれぐらい先になることやら」
「さあ? それは私にも分からないけどね。じゃあ、また明日ね!」
明日美はそう言って僕に手を振ると、そのまま歩き始める。
「また明日」
僕もその背中に向かって手を振った後、振り返り元来た道を戻る。
今日は明日美のことを気になり、振り返ることはしなかった。
そんな気分ではなかったから。
ただ振り返りついでに言えるのは、今日という日は普段よりとても疲れた一日ということだけだった。




