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バレた結果…… 6

 僕たちの会話を聞いていた竜也は「嘘だろ?」という表情を浮かべていた。


「待て。襲える状況ってなんだよ。いつそんな状況が起きたんだよ! そんなの今までの会話の流れで出てこなかったじゃんかよ!」


 竜也の言う通り、明日美は『配信のこと』については話したけれど、その時のことは何一つ話していない。

 そもそも接点が配信のことを持ちかけただけで止まっているため、それ以上のことを話す必要がないからだ。

 しかし、ここまで聞かれては話さないわけにはいかないのだろう。


「分かったよ。そこは僕が話すよ。落ち込んだ内容までは聞かないでね。話したくないから」


 正直、話したくなかったが、内容は伏せることにして励ましてもらったことを伝える。それが理由で縁ができ、こうやって配信を手伝うことになった流れも。

 落ち込んでいたことは竜也も知っていたが、そこまで思いつめていたとは思わなったらしく、聞いた後はちょっとだけヘコんでいた。


「気付いていたけど、なんか力になれなくて悪かったな。俺、もうちょっと気を使うよ」


 そして、なぜか反省し始めてしまう。

 別にそこまで望んでいなかったのたで僕としては普通に接してくれるだけでも良かったため、ちょっとだけ悪かったなっと思ってしまった。


「もう過ぎたことだし大丈夫だよ。だから気にしないで」

「おう。次からは気をつけるわ」

「それだけでも嬉しいよ」


 僕はそうやって励ましの言葉を送るだけで精一杯だった。

 そこでようやく明日美が口を開く。


「そういうわけだから平気なんだよ。二人っきりなっても、状況に陥ったことないしね」


 完全に信頼されている言葉だった。

 それはそれでどうなんだろう。

 やっぱり僕はその件に関して、疑問が残る。

 今までは僕が襲えるという心境じゃなかったというだけで、もし心境がそうじゃなかったら襲っている可能性は十分にある。その時はどういう対応をするんだろう。

 純粋な疑問だった。


「でもさ、透だって男なわけじゃん? 完全にないとは言い切れないじゃん。襲われたとき、どうするんの?」


 僕の口からは聞きにくかったことを竜也は迷うことなく、明日美へと質問する。

 同じことを気になっていただけに、僕は心の中で竜也にグッジョブを送った。

 「んー」と天井を向き、右手の人差し指を顎に置くようにして考え込む明日美。

 どうやら、反応的にそのことについて考えたことがなかったらしい。


「その時はその時なんじゃないかな? 確かに私の口からは『安全』とタカを括って話してるわけだけど、滝本くんだって男の子だもんね。そういう感情がないとは言いきれないのは分かってる。けど、それは私が一方的に抱いてる信用問題だから、たぶんそうなったとしても滝本くんのせいにはしないと思う。それは私が『勝手に信用して、安全だと思い込んだ罰』だと思い込んで受け入れるしかないのかも……」


 明日美から出された回答は割とあっさりとしたものだった。

 しかし、僕はその回答に背筋がゾクッと震え、思わず身震いをしてしまう。

 言い方としては『自分のせいだから仕方ない』とは言い切っているものの、それを聞いてしまった僕はまるで忠告を受けているような気がしてしまったからだ。

 きっと僕を除いた明日美と竜也だけならば、良い回答だったのだろうが……。


「うっわ……こんだけ信用されてたら襲うとか無理じゃん。頑張れよ、透」


 竜也も僕と同じ気持ちになってしまったらしく、僕に応援の言葉を送ってきた。

 それに乗っかるように明日美も笑顔で、


「うん。信用してるからね。大丈夫だよ、しなきゃいいんだし。襲ったとしても責任は取ってもらうだけの話だから」


 再度、僕に忠告まがいの言葉を送ってくる。

 駄目押しと言わんばかりだった。

 僕はその二人の応援に「うん」と小声で頷くことが精一杯だった。

 さすがにその様子を見た明日美は満面の笑みを浮かべたまま、竜也へと視線を変える。


「そういうわけだから池波くんの家には行けないかな? 池波くんの提案に乗っかったとして、私が自分のせいだとは思えないし、行く時点でダメでしょ?」

「そうだな。俺の家はダメだ。うん、なしにしよう」

「うんうん。それがいいよ。もし、襲われたとして私がすることはただ一つだし」

「……試しに聞いて良い? 俺が襲った場合、何するの?」

「簡単だよ。社会的に抹殺するだけだよ。裁判とか起こして」

「…………」


 それを聞いた竜也は青ざめていた。

 竜也からすれば、それが冗談には取れなかったのだろう。

 いや、僕もそれが冗談には聞き取れなかった。

 それぐらい据わった目で、その言葉を準備していたかのようにあっさりと言い切ったからだ。

 何も言えない竜也の代わりに僕が口を開く。


「そういうわけだ。素直に諦めた方がいいよ。さすがに社会的に抹殺はされたくないだろうしさ。僕も社会的に抹殺を受けた奴と友達で居たくないし」

「うん、私もかな〜」

「言った本人がなんでそれ言うの?」

「しなきゃいい話だよ?」

「ごもっともです」

「そうだよね」


 もともと何も出来なかった僕はなおさら何も出来なくなった。

 フォローする言葉すら思いつかない。

 きっとフォローしたとしても明日美がそれを潰してくる発言をすることが容易に想像出来るから。

 ごめんな、あとは頑張れ。

 心の中で竜也に謝りつつ、僕はこれ以上、この話題が広がらないことを祈るばかりだった。

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