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バレた結果…… 2

 そんなしょげてる僕を見て、


「結局は色々とバレちゃってるわけか〜」


 明日美は色々と吹っ切れたかのように軽く頭を撫でながら、息を吐く。

 まるで観念したかのように。


「待ってよ! 別に配信してるとかはバレてるわけじゃないからね? バレたのは僕の家に来てるってこと」

「来てるってバレてるだけでも結構問題だと思うけど?」

「……下手したら大問題かもしれない」

「下手どころか大問題でしょ。流れ的にはどう考えても配信してることを伝えなきやいけないんじゃないの?」

「そう……なるよね……」


 僕は項垂れる。

 下手な噂を流されるよりも、こうやって配信をしていることが噂になる方がまだマシなのかもしれない。

 でも、結局は僕の家に来ていることがバレるわけで。

 それが変な流れになれば、親や教育委員会とかにも伝わって……交際してるとかになって……。

 僕の頭は悪い方へ思考が流れ、脳内に「ああああああああ」という声が響き渡った結果、混乱した。

 混乱した流れで、ベッドに飛び乗ると明日美がいるにも関わらず、枕に何度も頭を打ち付け始める。

 さすがにその行動を見た明日美が、


「ちょっと! 落ち着いてよ! 錯乱しないで!」


 椅子がガタンと音を立てるほどの勢いで立ち上がり、そっと僕の頭に触れる。

 それで僕は意識を取り戻した。

 お客さんがいるのに何してるんだ⁉︎

 そこまで混乱してたことに僕自身が驚きを隠せなかった。

 同時にこんな姿を明日美に見せてしまった恥ずかしさから、顔を上げることが出来ず、枕に顔を埋めた状態で固まる。


「なんていうか‎小さい子供みたいなことしないでよ。色々考えすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃになったのは分かるけど」


 明日美の声は先ほどと比べて優しいものへとなっていた。

 どうやら僕のこんな情けない言動を見て、呆れてしまったらしい。

 実際のところ分からないが、僕はそう思ってしまった。


「なんかごめん。いろいろと巻き込んで、いろいろと迷惑かけて。あの屋上の時にこんなことになってなかったらーー」

「はい、ストップ。ネガティブにならない。あの屋上の時は私のお節介。配信の件は私のワガママ。今回の件はお互い様。私も透も注意しきれてなかったんだから、誰かが悪いってことはないよ。少なくとも透が悪いとしたら、あの帰り道の件だけ。……実際、あれも悪気はないし、あれから家に帰って冷静に考えてみれば、透の気持ちも分からなくはなかったし……」


 後半は耳には入ってくるが、聞き取るのがやっとなほど小さくなる明日美の声。

 その発言に対し、僕はどんな返事をしようかと考えていると、


「ともかく! 起きちゃったことはどうしようもないんだから、これからについて急いで考えよ。じゃないと池波くんが来ちゃうでしょ? ほら、顔上げて! っていうか、私が見たくないなら私が奥に座るから前に来て」


 なんて再び意味の分からないことを明日美は言い出す。

 逆らうことも出来ず、僕は言われるままに明日美を奥に座らせるように壁際に隙間を空ける。

 その隙間に明日美が移動し、何を思ったのか僕の頭の近くに足を持ってきた。

 そして、ポンポンとどこかを叩く音が耳に入ってくる。


「はい、ここに頭を乗せて。文句言える立場じゃないよね?」

「……へ?」

「早く!」


 急かすように明日美はポンポンと自分の膝を叩く。

 つまりはそこに『頭を乗せろ』と言っているのだ。

 正直、恥ずかしい。

 しかし、明日美の言うようになぜか逆らえる立場ではなくなっているので、しょうがなく……いや、心の中でちょっとだけ嬉しい気持ちで膝に頭を乗せる。

 少し柔らかくて暖かった。

 膝の上に頭を乗せるというだけの行為なのだが、なぜか心が癒されるようなそんな気分になってしまった。

 同時に頭の中では「リア充爆ぜろ」という誰かの声も聞こえてきたが、気にしないでおく。

 きっとどこかのネットの住民がそのタイミングで言ってるだけと思うことにして。


「なんだかんだ僕に甘くない?」


 思わず僕はそう明日美に尋ねる。

 明日美の顔は見ないように外側へ向けているため、どんな表情をしているか分からないけれど、


「甘いと思うよ。というより弱ってる人に甘いと思う」


 そう少しだけ恥ずかしそうな声でそう言った。


「弱ってる人にはそうなるって母性本能強いってことだと思うから、きっといいお母さんになるね」

「ありがとう。っていうか、まずその前に彼氏見つけて、選別して、旦那さんにしないとね」

「選別は笑う」

「変な意味じゃないからね? あくまで一般的な人だったらいいってことだよ。下手な男に捕まって、DVとかされたくないもん」

「そっちの意味か。『私にふさわしい男性』って意味かと思った」

「ふさわしいってなんのことって私は思うけど? ちなみに透は私にはどんな人がふさわしいと思うの?」

「高収入でイケメンで優しい人?」


 ありきたりな人を答える。

 っていうか、美人で優しい人にふさわしい人なんて、きっと誰でもこんな人物しかいない。


「それは私に独身でいろって言ってるの? 今の世の中、そんな人存在しないでしょ」


 その回答に明日美はちょっとだけ呆れた感じでそう言ってくる。


「いるんじゃないの? お金持ちにもそんな人はいると思う」

「最後はお金で解決されそうだから嫌。貧乏がいいってわけじゃないけどね。少なくとも私はそんなに理想を追求してないし、平凡な家庭しか求めてないよ。心が幸せになれるなら、相手もそれに答えてくれるように頑張ってくれるなら、私はそれだけでいいの」

「それはそれで難しそう」

「はいはい、こういう路線から外れた会話は別の機会でいいの! さっさと打ち合わせしとかないと!」

「そうだそうだ。そっちの方が大事だ」


 明日美の言葉を受けて、僕はそのことに気付く。

 意識せずに下手に会話を広げる癖をなんとかしないと。

 そう思いつつ、僕たちは竜也に話す上で気を付けることを話し合った。

 正直、僕は呼び方だけ気を付けていれば問題ないと思っていたが、話し合っていく上で何個が浮上し、その点に気付いたのは明日美。

 さすがだと優等生であると思ったのは言うまでもない。

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