忠誠の祈誓
ドルーとジャネットに連れ来られて、廊下を数分歩いたら扉に着いた。ドルーが扉を開け、三人が、広い部屋に入った。前の部屋と廊下に比べるとだいぶ明るい。光がステンドグラスを通して、部屋中を紫色に染まっていた。
「新人持ってきたぞ!」
ドルーは到着の宣言をし、部屋の中の五、六人が彼の方向に一瞥して、それぞれ仕事に戻った。二人以外は。
「おう、ジャネット様とぉ、ドルーじゃないですかぁ。それに彼は?」
話しかけてきた人はレオより少し背が高く、黄色の双眸がメガネに隠され、茸形の銀色の髪の青年だ。彼の後ろに隠れている少女は彼の半分ぐらいの身長、ロングストレート銀髪少女。そして目が、青年と同じ黄色だ。騎士と法具じゃないということ。
「こいつはレオだ。つい先入団して、忠誠の祈誓はこれからだ」
「そうですかぁ。ってあれ? 祈誓がまだなのに手錠がかけていない? ドルーそれは規定違反ですよぉ。まぁ、ドルーなら大丈夫か」
本当に大丈夫か? とレオは思ったが、肩の痛みで彼の実力に思い出させた。青年はレオの方に向いて握手のために手を伸ばした。
「はじめましてぇ、僕はデイブと言います。そして後ろに隠れているのは妹のアンジェリカです。私の役目はすべての各騎士団の連携と管理です。つまりぃ、神使の命令の時に、私がレオくんの支援役と政府との繋がりです。でもぉ、命令がない時は私がボスです。だからよろしくお願いしますねぇ」
「よろしく」
まともな人そうでよかった。全員がドルーのような人だったら、レオは命の女神、トキアの愛を試して、脱出を試みたかもしれない。
「アンジェリカちゃ~ん!」
ジャネットはドルーの後ろから走り出して、アンジェリカに抱きついていった。
「もう久しぶりすぎ~相変わらず可愛いい! 胸大きくなった? なんちゃって、なるわけないよね! ドルー、アンジェリカと遊んで来る、祈誓続けてもいいよ!」
「うぅ~」
ドルーとディブが会話を始め、アンジェリカは涙目で唸りながらジャネットに引っ張れて去っていった。自分の神使の性格があんな風だったら嫌だ。そもそも殺されなかったっけ? 神使は不死身なのか? 掴まれた前、彼女の首が飛んでいたのに、何もないように歩いている。ま、どうせ自分も法具を貰えば説明受けるだろう。レオは二人の会話に突っ込んで行った。
「話途中に悪いが、さっさと祈誓を始めないか」
「おう、そうだな、じゃぁ始まるとするか」
忠誠の祈誓のためにドルーはレオに法具の短剣を渡した。
「ではレオ、部屋の真ん中に背筋を伸ばせ」
レオはドルーの言う通りにした。いろんな動きをして、少しずつ周りの騎士がレオの周りに集まった。忠誠の祈誓は珍しいのか? ドアが開けられ、前の部屋にいた短髪少女、サムだっけ、が白い服から着替えて来た。そしてレオを見てから、少し頬を赤らめて哀れな視線を送った。
「うわぁ、まだ新人をいじめていたんだ」
「よし、忠誠の祈誓を始めるぞ」
「待って? 先までは何だったんだ?」
「ストレッチだ」
ストレッチだと!? よく周りをみたら、サム以外の人は大抵ニヤニヤしている。レオは赤面して、顔をしかめた。あのクソおっさん!
「ふざけるな! とっとと祈誓のやり方を教えろ!」
「まぁまぁ焦るな、今教える。まず短剣の棟を胸に当たって、こう言え【我が剣は我が身なり、その身はまた神の剣になります。我が身を捨ててでも仕える正義の神、アヴェグ、その意向に導かれ、背いた時に万死を辞さない、と誓います】って」
レオはすべての元凶の短剣を眺めていた。騎士団なんざ入りたくない。でもこうしないと革命軍との結末が見届けない。復讐しないと死ねない。レオは覚悟を決めて勢いよく空気を吸って、祈誓を始める。
「我が剣は我が身なり、その身はまた神の剣になります。我が身を捨ててでも仕える正義の神、アヴェグ、その意向に導かれ、背いた時に万死を辞さない、と……誓います!」
祈誓を唱えて短剣から水色の光が部屋中を照らした。持っている短剣の感触が金属から皮膚となっていく。光のせいでレオは何も見えず、ただ皮膚を離さず掴んでいた。それとなぜか、その肌はとても温かくて懐かしく感じた。眩しすぎる光が徐々に消えて、レオの前に現れたのは、亡き姉にそっくり女性だった。