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超級

美味しい食事に舌鼓を打った4人は上機嫌で酒場を後にした。


「美味しかったな〜あんな美味しいもの初めて食べた!」


ゼノスは満面の笑顔でレイ、ライン、ルシアにそう話しかける。


「またみんなで行きましょうね」


ゼノスの笑顔にルシアもついつい笑顔で答えた。


「で、ゼノス、僕たちはこのあとギルドに寄ってクエストの報告をしてくるけど

・・・・冒険者登録するかい?」


まるで空気をリセットするかのようにレイは唐突に真面目な話を切り出した。


そんなレイの問いかけにゼノスも顔を真剣なものにして考え込み、答えた。


「・・・・クエストってなんだ?」


ゼノスの一言で一気に場の空気が弛緩し、ラインはゼノスの後方で勝手にずっこけ勝手に手を擦りむき、涙目で細かく手をフーフーしていた。


「は〜、ゼノスさんはいつでもゼノスさんですね・・・・」


「まったくだよ・・・・いいかいゼノス、クエストっていうのは冒険者がギルドから受けるもので

簡単なものは植物採集、難しいものはレベル100以上の魔物の討伐など、それぞれクエストの難易度に応じて報酬が違うそんなものなんだよ」


「面白そうだな」


「そりゃまあ、クエストをしっかり達成できた時はいつも嬉しいさ・・・・けど僕たちはクエストに常に自分の命を懸けて挑んでる。それはつまりいつ命を落としてもおかしくないってことなんだ。そう考えるとたくさんの報酬も少なく思えて来ないかい?」


「・・・・・・確かにな」


ゼノスの脳裏にレイたちの仲間の死体がよぎる。そしてレイ、ライン、ルシアも同じようになることを想像してしまい、ゾッとした。


そんなことにはさせない! ゼノスの強い気持ちは自然と言葉を作り出していた。


「俺がお前たちを絶対に死なせたりさせない」


「「「!!!!」」」


ゼノスの言葉を受けて3人はウルっときていた。


「うう、ゼノスさーーーーーー」


「すごい自信だね、迷宮主くん」


ルシアがゼノスに抱き着こうとしたその時、どこからかそんな声が聞こえてきた。


瞬時にゼノスはレイ、ライン、ルシアの3人と自分自身それぞれに《障壁》を展開し、周囲を警戒する。


ガキン!


障壁を展開したコンマ数秒後、ゼノスの障壁に金属が当たった音がゼノスの耳に入ってきた。

そしてゼノスが反撃に出ようと《武器錬成》を使いかけたとき、バッとゼノスの目の前に1つの

人影が現れた。


「完全な不意打ちだった筈なんだけど・・・・凄いね」


その人物は顔に若干驚愕の表情を浮かべた少年だった。


見間違いではない、リュート・エイタスだ。


「お前、さっきの超級冒険者だな。どういうつもりだ? なぜ俺の正体を知っている?」


ゼノスは鋭い目つきでリュートを睨みつけるがリュートは動揺することなくゼノスの問いかけに答える。


「僕はただ《鑑定》で君を見たとき、君の情報に 迷宮主 ってかいてあったからどんなものかと確かめてみたくなっただけさ」


自分の情報を見られたことに驚いたゼノスはお返しとばかりにリュートの情報を確認する。


ーリュート・エイタスー


レベル110 称号;鑑定王


(称号持ちか納得だな)


称号とは何か1つのことに長けた者にのみ突然つく特別なもので称号持ちは非常に珍しい。


「お前、称号持ちなんだな」


「さすが迷宮主、他人の情報を覗くなんてことは余裕みたいだね」


そんな2人のやりとりをレイたちは呆然と見つめていた。


「で、話は変わるけど迷宮主君はそっちの人が言ってたようにこのあとどうするの?」


リュートはレイを指でさしながらそう言った。


「・・・・・・・・特に決めてない」


「じゃあそこの3人と一緒にこれからギルドに行って冒険者登録をしよう」


その言葉にレイがすかさずまったをかけた。


「待ってくださいリュートさん、ギルドに行くとしても身分証を発行することができないのではないですか?」


「安心して、レイ君。僕は超級冒険者だ、上層部に頼み込むことくらい余裕だよ」


その言葉にレイたちはああと、納得した。その後なぜ自分の名前を知っているのかものすごくビックリしていた。






いつもの4人にリュートを加えた集団は高くそびえる建物の前に立っていた。


「ここがギルドか!」


高さ40mはある建物の屋根を見上げながらゼノスは呟いた。


「1階はクエスト関係、2階以降はお店がたくさんあるんだよ」


リュートが少し説明を加えた。


「じゃあ入ろうか」


リュートがギルドへ入っていくのを4人は追っていく


中に入るとそこは酒場以上の騒々しさがあったが、

酒場のように魔力オーラで相手を威嚇するようなことは無かった。


広いフロアの中、リュートについて行った4人はやがてギルドの受付に着いた。


「すいませーん」


リュートが抑揚のない声で受付人を呼ぶと、まもなく

若い女性が出てきた。


「わぁ! リュートさん! 今日はどういった要件でしょうか?」


受付嬢はリュートを見るなり興奮しながら要件を聞き始めた。


「突然で悪いんだけどギルド長を呼んできてくれないかな?」


「え、ギルド長ですか? わかりました。少々お待ち下さい」


リュートのお願いをうけ、受付嬢はギルド長に連絡を取るため受付カウンターの奥にある分厚いカーテンの中へと消えていった。





数分の時間が経ち、受付嬢がカーテンを開けてゼノス達のもとへと戻ってきた。


「お待たせいたしました。ギルド長は1時間程でこちらへ到着するそうです」


「分かった、ありがとう」


受付嬢へお礼を言ったリュートはゼノスの方を向き、

小声で一つの提案をした。


「聞いてたと思うけどこれから1時間ほど暇になるみたいなんだ。その間僕がここを案内しようと思うんだけど、どう?」


「いいのか!? ぜひ頼む!」


思いもよらぬ提案にゼノスは驚きながら楽しみが抑えきれずに体をソワソワさせていた。


「あの、リュートさん?僕達はこれからクエスト報告しに行かなければならないので別行動とります」


「······分かった、行こう、迷宮主君」


ここでゼノスはピクっと眉を動かし、顔を顰めた。


「ちょっと待ってくれ、その 迷宮主君 ってやつやめてくれよ。俺はゼノスだ」


「ごめんね、ゼノス。さぁ行こう」


「おう、じゃあ皆行ってくる。またあとでな」


レイ達に手を振りながらゼノスは笑顔でそう言った。


「ゼノスさん、行ってらっしゃ〜い」


3人も笑顔で手を振り、ゼノスと別れた。


そしてそれぞれ別々の方向へと歩き出した。


このときゼノスは誰かに見られているような気がして

周囲に目を向けたが見つけられないうちに視線は消えてしまったので、何かあったら対処しようと、あまり気にせず今を楽しむことに集中するのだった。


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