表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

冒険者ギルドの長

ゼノス、レイ、ライン、ルシア、リュートのの五人はそれぞれ1時間という時間を有効?に活用して一階のクエストカウンター辺り集合し始めていた。


まず初めに一階に戻ってきたのは----レイだ。


「どうやら僕が最初のようだね」


レイは自分の周りをキョロキョロとして見慣れた顔を探すが見つかることは無かった。


「······一人だと暇なんだよな」


独り言を言いながらレイは受付カウンターの方へと歩いていく。


「あのすいません、僕はリュートさんの知り合いなのですが、ギルド長はまだ到着していませんか?」


レイは欠伸をして目をこすっていた、気だるそうな受付嬢にギルド長のことについて尋ねた。


「リュートさんの? ギルド長······あ、その件ですね。確認してくるので少しお待ちください」


レイに尋ねられた受付嬢はスイッチを入れたのだろう、目をシャキッとさせ、確認のためにカウンターの奥へと消えていった。


ものの数十秒で受付嬢はレイの元へと帰ってきた。


「もう少しで到着されるそうです」


「そうですか、ありがとうございます」


レイはニコリとしながら受付嬢に感謝の意を伝えて

受付カウンターを離れた。


この時、レイの笑顔を受けて受付嬢が少しだけ頬を朱色に染めていたのだが、それに気づくことが出来たのは彼女自身だけだった。




レイが待ち合わせの場所に戻ってくると、ルシアが立っていた。


ルシアの方もレイに気づき、レイにおーいと手を振っていた。


周りに人がいるため恥ずかしさもあったがレイもルシアの方に手を振り返した。


「ルシア、手を振るなとは言わないが········周りの人の視線が痛いから場所を選んでくれ」


「え? あ」


レイに指摘されたルシアは自身の周りをぐるりと見て自分に視線が集まっていることに気づいた。


「気を····つけ··ます」


ルシアは居心地が悪そうな顔を見せたあと顔を下へと向けてしまった。


ルシアが黙り込んでしまい沈黙の時間が流れていく。


「おーい、ルシアどうしたんだ?なんか暗いな」


するとそこへ、沈黙を破るひとつの声が届いた。


ルシアはゼノスの声を聞いた瞬間、下げていた顔を

ばっと上げてゼノスの方へと顔を向ける。


「あ、ゼノスさん」


「おお、いつものルシアに戻ったな」


普段通りのルシアの表情に安心した様子のゼノス

そしてその後ろからはラインとリュートも歩いてきていた。


「お、レイ兄さん。なんかすげーかっこいい武器持ってるね」


レイの新しい武器を目ざとく見つけたラインがレイに早速話しかける。


「あぁ、これは今まで使ってきた中でも最高の人振りだよ。早く使ってみたい。ていうかそういうラインもなんか買ったみたいだね」


レイはラインの持っている大きな袋を指さして説明を求める。


「フッフッフッこれは俺の新しい防具だ!

ちなみにこの防具、ゼノスとリュートさんが選んだ最高の防具だぜ!」


鼻息を荒くしながら話をするライン、その話を聞いたルシアは驚きの顔をしてラインに詰め寄った。


「ほ、本当にゼノスさんとリュートさんが選んだ防具何ですかっ! いいな〜、私も欲しいです〜」


興奮してグイグイくるルシアに対してラインは本日2度目の引き攣り笑いをして引いていた。


「なんだ? ルシアも防具欲しいなら買ってきた方がいいと思うが····」


ルシアの気持ちがいまいち理解出来ていないゼノスは頭の上にはてなマークを浮かべながら呟いた。


ゼノスの呟きが聞こえていたリュートはまるで母親が子に諭すような感じでゼノスにルシアの言葉の意味を教える。


「違うよゼノス、いいかい? ルシアは僕とゼノスが選んだ防具が欲しいんだよ」


「····何で?」


「戦闘経験豊富でどんな防具がいいものなのか見極められるからじゃない?」


「なるほど」


この1時間をずっと一緒に行動していたゼノスとリュートは最初の出会いからは考えられないほどとても

仲良くなっていた。


そんな二人の方に顔を向けながらルシアがなおも防具についてのことを訴える


「ライン兄さんいいな〜。私もゼノスさんとリュートさんが選んだ防具欲しいな〜」


明らかにゼノスとリュートの二人に聞こえるように

ルシアがそんなことを言っているので流石に無視は出来なかったゼノスが折れた。


「あ〜分かった、分かった。今度俺とリュートでルシアの防具選んでやるから」


「え、ゼノス僕も巻き込むの?」


「わ〜い、やった〜。 二人ともありがとうございます! ふふ、楽しみだな〜」


満面の笑顔をしているルシアに対して

ゼノスとリュートは苦笑いだった。


「あの〜ゼノス、リュートさん、だったら僕のも選んで欲しいな〜なんて」


流れにのってレイも防具選びをお願いした。


ゼノスとリュートは真顔で顔を見合わせたあと、

レイの方に顔を向き直す。


「別にひとつ選ぶのもふたつ選ぶのも変わらないからいいぞ」


レイは期待していた返事が帰ってきたことで顔を

ぱぁと明るくした。


「ありがとう!」


そんな笑顔の溢れているポカポカ空間にギルドの職員がやってきた。


「お話中に失礼します。ギルド長がご到着されたので案内いたします。こちらへどうぞ」


たった一言でその場にはピリッとした空気が生まれる


「分かりました」


レイが返事をして職員について行くのを皮切りに、

ほかの四人も動き始めた。


「なぁ、ギルド長ってどんな奴なんだ?」


一番ギルド長と繋がりがありそうなリュートにゼノスが聞く。


「うーん、変な人だけど切り替えがとても早いよ」


「変な人ってなんだ?」


「······会えばわかるよ」


その後は特に会話もなくレイ、ライン、ルシアの三人はかなり緊張しているようだった。


「ここです」


ギルド職員が足を止めた目の前にはほかのドアとは

違い、さまざまな色の石や彫刻で装飾が施されていた。


「この先にギルド長がいるんですね······」


ルシアは緊張のあまり少し顔色が悪くなっている。


「では皆さんドアを開けますね」


ギルド職員がそう言って心の準備をさせてから

ドアをコンコンとノックする。


「······入りたまえ」


中からは覇気のある男の声が聞こえて来る。


「失礼します」


職員も緊張の表情を浮かべてゆっくりとドアを開ける


人ひとりが入れるスペースまでドアが開いたのでリュートを先頭に五人はぞろぞろと部屋の中へと入っていく。


部屋に入った五人の前には、白髪頭の筋骨隆々とした

強い目力を持つ初老の男性が椅子に座っていた。


「一体いつぶりだ? リュート」


「····覚えてないよ」


その男性は睨むようにリュートを見ると短い会話を交わす。


「········そっちの四人は初めて見る顔だな。自己紹介しておこうか。私はアストル·ゼート、この冒険者ギルドのギルド長を務めている」


いきなりギルド長に話しかけられレイ、ライン、

ルシアはびくっと肩を震わせた。


「ぼ、僕はレイ·カルロスです。こっちの二人は

ライン·カルロスとルシア·カルロスです」


レイに自分の名前を言われた二人はギルド長に向かって直角ではないかと言うほどにお辞儀をしている。


「君たちは家族なのか」


「は、はい!」


レイ達三人は一様にかなりの緊張をしているようで目がキョロキョロしたり少し汗をかいたりしている。


しかし、それとは対照的な存在が三人の隣にはいた。


もちろんゼノスだ。


「おーい、俺も自己紹介したいんだけどいいか?」


ギルド長にタメ口を使ったゼノスにレイ、ライン、

ルシアはぎょっとしている。


「····そうだな。君の名はなんという?」


「おう、俺の名はゼノ-----」


「ちょっと待ってギルド長」


急に割って入ってきたリュートにゼノスは悲しい顔をしながら、えぇーと言葉を漏らしている。


「なんだね? リュート」


「今日の大事な話は彼のことなんだ」


リュートは指だけをゼノス方に向けてギルド長と話を進める。


「ほう、で、そのリュートが大事な話に関係していると言っているそいつはどんな奴なんだ?」


ギルド長はゼノスの正体が気になっているのか、

僅かに貧乏揺すりをしながら目でリュートに早くしろと訴える。


「まず彼の名前だけど、ゼノスっていうんだ。

そしてここからが本題、落ち着いて聞いて欲しいんだけど、このゼノスは······」


少しのためを作ったリュートは意を決して言葉を口にする。


「迷宮主なんだ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ