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大人の恋の終わり方  作者: 久世 かやの
偽りの花嫁
2/9

「偽りの花嫁」 2

「あ、いいよ、行って来て」


「え〜…」


鳴海は何とも言えない声を出すと、改めてウエディングドレスの美女…九条 綾子を見た。


「…今、ここで答えないとダメですか?綾子さん」


「あったり前でしょう?!何のために、これ着てると思ってんのよ…で、どっちなの?!私と結婚するの?しないの?!」


綾子はつかんでいた鳴海のむなぐらを放すと、たずねた。


「えーっと…」


鳴海は一つ天井を見上げて周りを見渡すと、午後の一時を過ごすために来ていた、喫茶店の常連客が固唾を飲んで見守っている事に気づいた。


「自分は綾子さんと結婚しま…」


とまで言いかけて、鳴海は言葉を止めると苦笑して…


「すみません、綾子さん…結婚は出来ません」


と言って頭を深く下げた。


「…そう…やっぱり女がいたのね…あなたが、そう?!」


「え?」


綾子にキッとにらまれた千歳は、激しく首を横にふると否定した。


「ね〜ちゃん、その子はこの店のマスターだよぉ」


常連客の加藤が、見かねて口をはさんだ。

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