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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
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帰還。

 地球に帰還した己業は、勉学の遅れを取り戻すのに必死だった。


 2年生にはなれた。だが、このままでは卒業出来るか怪しい。



「で、どうだった?」


「グレートアトランティスでは、やはりドレスの試着を?」


「あー・・・」


 久しぶりの技四王高校リアディウム部。そこで野牛と戦草寺の興味津々の質問を受けた。


 とりあえず、己業はお土産(帰還後購入した)を渡し、どう答えるか悩む。


 ちょっと宇宙に行ってきました。と言われても、おれでも信じない。冗談として流すだろう。正直に言ってはいけないのではなく、正直に言っても意味が薄い。


 まあ、己業が本気で言えば、この2人は信じてくれるかもだが。



「あまり大声では言えないか」


 野牛は、秘密なのかと想像する。


「うーん、と。まあ、色々ありましたよ」



 戦草寺がお茶を入れてくれている間に、土産の菓子を広げ、本格的に己業の話を聞く事に。


 今日は、春休みの部室に集まったのだが、練習は後回しだな。



 遠不真歩との再会。雲技知明と知己を得た。大動滴の実力。テレス・アリスト、デモネア・アトムとの出会い。そして、新技の開発。



「やっぱり知明さんは怪物でしたね。テレスさんもアトムさんも」


「おおおお」


「へえええ」


 2人共に感嘆の溜め息を漏らす。


 リアディウムプレイヤーなら間違いなく知っているビッグネーム。良いなあ。


「んで、知明さんとは恋人になりました」


「・・」


「へえ・・」


 不機嫌、ではない。覚めた目で見られた。


 このリアクション、己業は想像していなかったので、たじろいだ。嫉妬されれば、野牛も戦草寺も可愛いよと慰めるつもりだったのだ。



 2人にとって、想定の中の出来事でしかなかった。流石に、それがあの雲技知明とは思っていなかったが。


 3ヶ月もあって、恋人の1人も作らないわけがない。この気の多い男が。




 地球に帰った己業。鬼業より一足早く帰ったので、家族に鬼業は無事で居るが、もう少しかかる事を伝えねばならなかった。


 真歩とは近く、知明とは何時かの再会を約し、お別れ。


 そうして、己業とメサヴリオは以無の家に帰った。



「大丈夫か?」


「はい」



 なぜか人生を共にする事になった。



 本当は、優勝の祝いに何が欲しいと問われ、アヴリオと答えたのだ。そうしたら、アヴリオはしばらく一緒に行けないからと、メサヴリオが付いて来た。


 良いけど、良いのか?



 己業に不満はない。アヴリオクラスの怪物。是非にも仲良くなりたい。しかし、これはメサヴリオの意思なのか。命令されて、嫌々異郷の地に来るのは、辛かろうが。



「私には修行が必要です。あなた方、地球人との生活も雑学にはなるでしょう」


「ほほう」


 褒められたのかどうなのか。己業には分からないが。


「じゃあ、まあ。よろしく!」


「はい」



 しかし。


 この口調はなんとかならんか。肩がこる。


「なあ。もっと、普通に話せないか?」


「私は、標準言語を用いているはずですが」


 だから、以無己業も応答出来ているのだろう。



 ・・そーいうことではない・・。



 ま。


「慣れれば、何とかなるか」


「はい」


 ほんとかよ。



 己業は、この時、実はメサヴリオはテキトーな奴なのではないかと疑念を抱いた。



 本当に、メサヴリオは、何でも良かった。己業の感想は、間違ってなかったわけだ。


 見聞を広めたいメサヴリオは、それが己の足しになるのであれば、あらゆる事を学びたいと思っていた。




 イデアとアヴリオの勝敗を分けた原因。それは、見識の広さではないか。メサヴリオは、そう仮定した。


 イデアにあって、アヴリオになかったもの。


 能力ではない。ボディの性能ではない。


 恐らくは。触れ合った経験の多さ。


 アヴリオの居たのは、完全管理されたアトランティス星。それに比べ、イデアは、不潔不衛生不完全な地球。そこで、イデアは、非効率な世界で生き抜く術を学んだのでは。つまり、アヴリオをも越える環境適応能力を身に付けたのではないか。そう結論付けた。


 その結果が、リアディウムでの結末なのだな。



 アヴリオが自己を練磨し終えるまで。メサヴリオには自由時間がある。何をする。どうする。




「ただいまー!」


「ただいま」


 いきなりただいまと言ってのけるメサヴリオの適応能力にびびる己業であった。お邪魔します、じゃないのか、こんな時って。



 久々の始業、威業、エカト。そして、母の食事。


「それで。プラテニウスも元気だったのね?」


「うん。これから忙しくなるって。それで、もっとちゃんと整ったら、姉上もご案内したいって」


 龍実は、鬼業の心配をしていなかった。己業の事は心配でたまらなかったが。


 鬼業は、必ず自分の元に帰ってくる。だから、何も心配していなかった。


 ただ、プラテニウスの提案は。


 自分があそこに戻ったなら。自分は、龍実ではなくなってしまう。そう、恐れていた。鬼業からもらった名前、龍実。


 しかし、それを知っているプラテニウスが言ってくる、鬼業も止めない。なら、大丈夫なのか。




 故郷。あえて思い出さないようにしていた場所。


 父母を失い、多くの友と家臣が消された忌まわしい記憶。



 今の私は、母になった。母のように、私も。


 ・・・・子供に、故郷を見せるぐらい。出来ても良い、か。




 そして。


 イデア、プラテニウス、鬼業も帰還した。己業らに遅れる事、1ヶ月。もう、4月も半ばだ。


 半年、地球を留守にしていた。



「ちくしょう・・。もちも鍋も皿鉢も食い損ねた。みかん、文旦、干し芋、干し柿、おでん」


 地球に帰って来た鬼業がまずした事は、季節ものを食べる機会を失った恨み節であった。


「グレートアトランティスなら、年がら年中食べれるぞ」


「むう・・・・」


 それは、すごいが。おもむきが、なあ。




 アトランティス星での基本的な政治思考を決定した後、アヴリオのプランをチェック。問題になりそうな点を1つ1つ修正し、やっと妥協点を見出した。


 アヴリオは、相変わらず優秀過ぎるため、例えそれがプラテニウスに取ってマイナスに思えても、説得は骨が折れた。毎回イデアに意見を求めねばならない程。これでも、プラテニウスは一個の都市をまとめられる政治家なのだが。




 そして、更に1週間が経過した。




 時に、2015年4月24日。


 この日から、宇宙の歴史が塗り変わる。




 イデア、反逆。

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