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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
74/89

決戦、開始。

 全宇宙リアディウム大会。


 宇宙の支配権を獲り合った決戦。


 それも、残す所あと1戦。



 その状況で、己業チームは観衆に向けてアピールしていた。・・選挙ではないぞ。



「この試合!どちらが勝とうと君達に、メリットは無い!!」


 おいおい。


「だから!!!楽しんで行け!!!!!」


 それでも、見物客は歓声を返してくれる。もう、自分達のチャレンジは終わった。せめて楽しまなければ損だ。




 これは、己業のパフォーマンスのようだが、違う。



 喋っているのは、滴だ。観客の煽り方など、己業は知りはしないのだから。基本的に物静かな真歩も不向き。雪尽は完全に専門外。


 うたうはこの場で唯一のプロフェッショナル、大動滴。



 滴は滴なりに、自分の能力の底上げをしたかった。


 だが、若手に練習期間を譲るのは自然。


 それゆえ、演説で舞台を自分の戦場に染めた。


 この大舞台。私がもらう。





 アヴリオは順番変更を行わない。もしアヴリオが1番手に出ればそれだけで試合が終わるかも知れないのに。


 まさか。


 そんな事をすれば、まるでロボットが慌てているようではないか。


 我らは人間を超えた存在。


 人特有の焦りや迷いなど、無い。



 それは、その思考は、あたかも人間が自分に言い聞かせているかのようであったが。さて。




「己業、行け!!」


 ・・・・・滴、頑張れ・・・・・・



 クレミジ星人からの声援。老兵も見守ってくれている。


 そして、ドマタ星人もテレパシーで応援してくれている。ちょっとびっくり。あまりにも圧力の強い超能力はロボットから制止が入るから、危険なものではないだろうが。


 アルニ星人、モスハリ星人、その他今回参加者全員が見ている。


 これが、大会。


 当然ながら、鬼業らも観戦に回っている。





 初戦。何雪雪尽、対、アヴリオタイプ。これは先の準決勝と同じ様相を呈するか。



 開始!



 決着!



 もっと早かった。最速の攻撃速度で、雪尽が重ね光を命中させる。


 ウォーミングアップは十分。




 次が、最初の壁。鬼業と相討ちになった最強ロボット。



 開始!



 待つと、負ける。相手の戦闘能力は、人類最強の以無鬼業を遥かに超えているのだ。組み合えば、雪尽では万が一の勝機も無い。


 ゆえに、雪尽は全速力で飛び出した。


 が。


ヂャ


 相討ち。


 光速に近い速度で距離を取ったはずの雪尽から1メートルの距離に、敵は居た。


 レーザーが絶対に当たる位置から、敵の攻撃。


 雪尽には、そこからの回避は間に合わなかった。



 だから、重ね光を、やはり最速で撃つ。少しでも相手の攻撃の威力を削ぎたい。


 しかし、気休めにもならなかった。敵右腕、右足のレーザーが直撃。800ポイントダメージ。重ね光の出力では、敵レーザーを1パーセント消耗させる事も出来なかった。



 だが、時間は稼いだ。敵はレーザーを撃ってしまった。追白姫の近距離で。




パリン




 薄凍。その効果範囲内は、全ての存在が存在を許されない。


 600ポイントを与える。



 決着。



 雪尽は、ロボットを薄凍に1回巻き込むので精一杯だった。次の手を講じる事も、逃げる事も許されず、追撃のレーザーで終わらせられた。




「任せて下さい」


「お願いします」


 滴と交代。雪尽より少しだけ背が高いはずの滴が、今はもうちょっと大きい。


 己業に腰を抱かれ、ねぎらわれる雪尽。真歩、イデアからも声をかけられる。




 2番手、滴。


 相手は鬼業さんと同等。イデアに見せてもらった映像でも、どうしようもない化け物に見えた。


 だが、リアディウムなら、話は違う。テレスも、アトムも、あれより強い。


 私だって。




 開始!


 まず、逃げる。こちらの攻撃速度では、相手を捉えきれない。準備が要る。


 が、すぐに追い込まれる。


 しかも、巧い。こちらの逃走経路になりうるルートを攻撃可能にしている。レーザーの射口が、そちらを向いているのだ。


 これが、鬼業さんを追い詰めた実力。




 それでも。私よりは弱い。



パア


 防御、プラス盆水。敵レーザーを防ぎつつ、こちらからの攻撃は命中。


 盆水の攻撃範囲は、全周囲。ダメージはそんなでもない、100ポイントに過ぎないが、盆水には発動限界数は存在しない。このまま削れば、勝てる。


 そして防御。「流水」。


 滴のシルエット、穿始は武器を持たない特殊シルエット。格闘タイプですらないので、シルエット本体の攻撃力は、ほぼ存在しない。


 だが、水を使える。副武装扱いで、かつ攻撃力は無い。しかし、物理判定はある。


 自由自在に操れる水の流れ。それで、レーザーをガードした・・・・のではない。


 最強ロボットのレーザーは、星ごとブチ抜く。たかがリットル単位の水ではどうにもならない。


 だから、敵をどうにも出来ないのなら、自分を何とかするしかない。


 奇しくも、鬼業の、気で自身を弾いた動きと同じ。レーザーの奔流に、身を任せる。ただし、水流をはさむ事でダメージを負わないようにしつつ。



 そして、穿始は、敵の居ない領域から盆水を放つ。鉄砲水は当たらない。例え拠辺無交を使おうと、相手の速度はこちらより上。更に言えば、体術も上なのだ。絶対に当たらない。


 かと言って、通常の全周囲攻撃も効かない。拠辺無交は、それを躱すための技なのだから。


 だが、この敵は、盆水を知らない。正確には自分で食らった事が無い。記録映像でこちらの技は知っていようが、それだけだ。



ぱん


 相手は、音速を遥かに超えた速度で動き回っている。レーザーを正確に穿始に撃ち込んでいるが、ダメージは決して入らない。本体に当たる前に、体が弾かれる。その代償として滴の視界はメチャクチャに振り回されているが。問題無い。


 滴には、自分が今どこに居て、どちらを向いているのか、分かっている。



 舞台には、いつの間にか、霧が立ち込めていた。


 それは、穿始の流水によるものか。レーザーの干渉による効果か。




 知明は笑んだ。これが、穿始だ。テレス、アトムも、いつもの滴の戦術を見て、少し安心した。




 ラスト。最後の盆水で、決着。


 雪尽が削ってくれていたため、思ったより簡単だった。




 アヴリオは、情報の見直しをするべきか考えていた。


 戦闘ロボットにはあらゆる戦技の知識が蓄えられているはずだが、あの技は?




 広範囲落下型多判定攻撃。盆水。


 空中の見えざる風船からあふれ出すそれは、フィールド中にあまねく広がる。だが、通常の全周囲攻撃と違って嫌らしいのは、体感触を味わわせない事だ。


 かつて己業が食らった盆水もそうだが、感触は、無い。だが、それでいて、判定回数は多い。数秒間のヒット猶予があるにも関わらず、対戦相手には知覚不可能。ほんのわずかだが、時間差攻撃を可能とする必殺技だ。その特殊性能のゆえ、穿始には武装が無いのだが。



 本来、戦闘ロボットには、標準であらゆる知覚機能が搭載されている。人間を見逃さないために、人間を守護するために。


 もしこれが現実なら、ロボットは盆水を避けられる。どうやっても、「見える」からだ。もっとも、実戦なら常時発動しているプロテクションにより、未然に防がれるだろうが。


 しかし、この場は、リアディウム。


 設定上見えないのであれば、本当にデータ上にも姿形は存在しない。ただ、攻撃判定の設定があるだけだ。




 もし。アヴリオが、こちらのデータをのぞいていれば、盆水を避けるのは不可能ではない。最強ロボットの速度なら、十分に可能だったろう。データの受け渡しにも時間はかからない。


 アトランティス星、リアディウム運営委員はアヴリオタイプが任ぜられている。そこからのデータの閲覧は、運営側ももちろんルール違反。


 アヴリオは、本当にフェアに勝負に挑んでいる。



 さて。この態度は正しいか。


 アトランティス星を守るためなら、いかなる卑怯な手も使うべきではないのか?それとも、きっちり仁義を通した方が後々効いてくるのか。




 イデアは、そのアヴリオの態度も見ている。




 順調。次の竜の身体操作は、お世辞にもレベルが高いとは言えない。恐らく、勝てる。速度も、速過ぎはしない。精々、テレスやアトムレベル。


 ・・・ダメな気がしてきた。



 開始!



 炎の吐息が、フィールドを包む。太陽熱を遥かに上回る炎熱は、盆水すらをも蒸発させてしまうだろう。


 だが。



 ふん。素人め。




 拠辺無交。


 炎の広がり方、放出速度は、既に見た。何の工夫もせず撃って、当たるものか。


 そして炎の途切れた瞬間に、盆水。


 確実にダメージを与え、勝・・・。



 400ポイントダメージ。


 光速の尻尾を、滴は見極められなかった。映像で見て、避ける覚悟は出来ていたが。実物は、見えなかった。




 これは、不味い。


 相手から十分な距離を取っていたはず。竜の尾の旋回半径は一見で簡単に分かる。そこから更に余裕を持たせて対峙していたのに。


 竜が攻撃に移った、移動を始めた瞬間から、滴の知覚限界を超えられていた。防御も回避も、不可能。レーザーなら、その勢いでシルエットごと吹き飛ばしてくれるが、打撃は衝撃がその場に残るのだ。流水を用いても、その水ごと潰される。



 全力で退避した、が。


 更なるダメージを食らってから、追撃を受けた事に気付いた。




 決着。


 2度の盆水で、手一杯。300ポイントダメージを与えはしたが、作戦通りとまではいかない。




「申し訳ない」


「いいえ。ちゃんとやってくれましたよ」


 イデアはそう言ってくれるが。


 自分が、知明並みの実力者であれば、竜を倒せた。そうでないから、倒せなかった。滴は、さらりとした表情ながらも、忸怩じくじたる思いであった。


 やはり、自分では及ばない。



 タッチして交代した己業の手は、力強かった。


 イデアがアドバイスをしないと言う事は、己業はそのまま勝てる?



 悔しい。


 人前で大人を演じる程度には大人の滴だが、今まで自分より格下だった者に簡単に己の上を行かれて動じないほどプレイヤーをやめていない。


 見せてもらおう。


 雪尽と並び立ち、今までその雪尽とべったりしていた男の動きを見詰める。




 己業、立つ。敵は、雲技知明が打ち伏せた剛の竜。


 相手にとって不足無し。




 この宇宙の命運、確かに気になる。


 だが、今は、お前だけ。



 おれと、お前の仕合だ。



 楽しもう!

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