テレス・アリスト。そしてアストラガロス。
プラテニウスより、鬼業より、知明より、アトムより。
誰より強い、本物の地球最強プレイヤー。
テレス・アリスト。シルエットは、アストラガロス。
勝たなければ、未来は無い。あるいは、自分達は生かされるかも知れない。それでも、イデアは再利用行きだろう。
そんな事はさせない。私とアトムが、絶対にやらせない!
勝つ!!!
開始!
大層なやる気だ。
アヴリオからも、容易に見て取れる気迫。
だが、本気になったからと勝てるものでもない。そこまで、私は甘くない。
あなたのデータは有り難く頂戴しましょう。それで、終わり。大丈夫、人間は我らが導きましょう。
全ては、ロボットが決めてあげます。幸せに満ちた新世界を、お楽しみ下さい。
アストラガロスの主武装は、カノン。それを手動で動かし、一瞬千撃を実行する。
通常、シルエットの武装は、オートで動く。常人に、大筒や弓の撃ち方は分からない。だから、そこら辺は自動で処理出来るよう設定してある。何より、オーバーコートへの転用を考えた際、宇宙空間で手動は、理に適わない。完全オートでなければ、無為。
ここまで言った上で、テレスのカノンは、全てが手動。トリガーを引く、狙いを付ける、そう言った常識的な動作だけではなく、カノンの全部品の動作がマニュアル。簡略化されたシルエットのカノンのパーツ総数は、わずか68。その68部品を、分解する恐れを取り除きつつ、超加速し、発射。ゆえに、テレスの武装には、待機時間が発生しない。オートではない、それ即ち、リアディウム側が設定した法則が存在しない。
分かりやすい話、スナイパーライフルの威力を、通常の遠距離火器の「重さ」で実現出来るわけだな。
そう。手動化の真の利点は、重みを消す事。高火力遠距離武装を用いる際、必ず生じる待機時間。それを無くし、連発可能にした。
知明などの現実でも強いタイプのプレイヤーの接近速度は、遠距離火器の攻撃チャンスを徹底的に削る。それへの対策だ。
そして結果的に、これは拠辺無交との相性が良かった。1秒に千回の砲撃を可能とした、普通の試合では強過ぎて使いにくいレベルの技にまで成長した。
完全ヴィジョン特化のシルエット。そして、ブラツォと同じく、オーバーコートとの連携を前提としたユニット。そのため、実験的な武装が豊富に用意されている。
問題点は、たった1つしかない。目の前の敵に、一切通用していない事だけだ。
アトムが教えてくれたアヴリオの弱点。
攻撃性が薄く、装甲強度もそこまで高くない。もし装甲が常識外れの堅さなら、アヴリオならわざと受けるはず。
アヴリオには、速攻で決めるつもりは全く無いのだから。
こちらを観察している。テレスは、そう判断した。
その代わり、食らわない防御性能は宇宙1だろうがな。
それでも、私が決める。私とアストラガロスなら、何とか出来る。
まず、撃たない。生半可な攻撃は、通じない。カノン・総流でさえ捉えきれないのだ。アストラガロスの通常、必殺問わず、攻撃は効きはしない。
ゆえに、アレを使う。
・・・勝手に使うと、怒られるかな?
高火力型シルエットにも関わらず、全武装を軽くしているので、動作自体は軽快だ。流石に、格闘タイプや軽火器タイプには敵わないが。
拠辺無交を使わず、接近。既に見せてしまっているか否かに関わらず、アヴリオの前では、フェイントにすらならないのだから、これで良い。
まだ、見える。これは、アヴリオの迷彩ではない、本物だ。消えれば、もう見えない。
見えている内に、がっちりと掴み、可能な限りの速度で仕留める。
フ
大慌てでドタドタした足取りで、格好悪くアヴリオを捕まえに行く。しかし、簡単に躱される。
オ!
狙いは、この超至近距離に位置する事!この間合いなら、外さない!
これは・・・・。
アヴリオは、驚いていた。
200ポイントダメージ、更に全身に1回の判定。今大会、初めてダメージを食らう。
鬼業も、少し目を見張った。特に何も言わなかったが。
ちい。
効いた。が、決めきれなかった。
決着。
テレスは、アヴリオに攻撃を加えた直後、決定的なダメージを食らい、負けた。慣れない攻撃だったので、1撃入れるので精一杯になってしまった。
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
泣くテレスと、清清しい笑顔のアヴリオ。
アヴリオは、この時点で優勝を決めたつもりでいた。その認識は、わけを知っている人間なら、まず正しいと思うだろう。
テレスは、アトムに慰められつつ、涙した。プラテニウスは、心に重いものを抱えながらも、全員をねぎらった。が。
「まだ準決勝の終わりだぞ。己業の試合が残っている」
鬼業と知明だけは、諦めていなかった。
「まあ、見ててよ。真歩が勝つからさ」
ハッタリだ。勝つ見込みは薄い。それでも、楽しくワクワク試合を待った方がマシだ。
知明の冷静な部分は、1億回戦っても、己業チームがアヴリオチームに勝利する可能性は無いと断じている。
だが、鬼業の判断では、五分五分。
リアディウム最強クラスの知明の意見と、己業の父親である鬼業の意見。
さて。未来を知らぬ我々は、待つより他は無い。
ゆえにここで、己業チームの準決勝を振り返ってみよう。
決勝戦を占うに、これが最善だろう。




