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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
70/89

デモネア・アトム。

 ああ言いはしたが。


 とりあえず、勝てない。アヴリオとの練習中、アトムは全く手加減せず戦っていた。それで、1勝も出来ていない。


 だから、削る。テレスにつなぐ事だけを考え、捨て身で挑む。そう言った戦術は、今まで見せていない。通じる、はずだ。



 世界ランク2位、デモネア・アトム。シルエットは、ブラツォ。強火力で装甲の薄い、分かりやすい高火力型シルエット。カノンを必要とせず、シルエット本体から砲撃を加えるタイプ。


 ただし、その技の数々は、全てがアトム専用。これは、シルエットのセッティングのゆえではない。アトムにしか、撃てない技だからだ。



 開始!



キィ、オ


 アヴリオの居る場所を中心に、3メートル範囲が消し飛んだ。


 技名は真核崩壊しんかくほうかい。存在の全てを、現実からイゼア(想念)の世界へと導く、一撃必殺の超火力技。ちなみに、オーバーコートでも、全く同じ事が可能だ。


 しかし、アヴリオには当たっていない。




 だが、見た。


 アトムは、倒すために撃ったのではない。知明の言った、拠辺無交ではない何かを認識するために、初っ端最強技を放ったのだ。



 成功した。敵正体は、イデアと同じ。高度情報処理体。


 シルエットのアヴリオは、全身が情報体なのだ。1個の細胞が、スーパーコンピューター数億台分の情報処理が可能な回路で出来ている。


 イデアと、同じだ。



 その情報処理能力を以って、拠辺無交よりも更に早く思考を加速する。稼動する回路が、「動いていない像」をも見せ、「触れた感触」すら与えたのだ。



 アヴリオの能力は、伝達。本物の強者である知明の感覚すら、だました。




 アトムも、素の視力、観察眼のみで見極めたのではない。イデアを知っていたからこそ、当たりを付けて見れた。


 ただ。ここからの展望は無い。イデアと同じなら、こちらの攻撃は当たりもしないし、効きもしない。



 ヴィジョンでは、自分の思った通りにシルエットは動く。


 その思いを、人間の何兆倍の質と量で実現されれば、人間では絶対に勝てない。


 イデアは、自分とテレスを同時に相手取ってさえ勝つのだ。




 ・・・・・・・・。


 親離れの時期、かな?




 イデアと同レベルのアヴリオを倒し。イデアにも勝ち。


 イデアに、楽をさせてあげよう。



 本日を以って、自分デモネア・アトムと、姉テレス・アリストが宇宙の支配者となる。イデアには、支配者の親として、悠々と暮らしてもらう。




・・・・


 音も無くフィールドに響く振動。


 ブラツォ以外の舞台に存在する事象は、破壊された。


 時性際滅じしょうさいめつ。宇宙に存在する、時の流れに身を置く全てを抹消する破滅の奥義。判定を時間経過で行っているので、全宇宙の全存在を消せる。ちょっと厄介な技だ。星だろうが、銀河だろうが、未宇宙だろうが問題ではない。




 アトムは全く油断せず、拠辺無交を発動する色気も出さず、最速で時性際滅を撃った。



 それで、当たっていない。ダメージが、入っていない。



 嫌になるな。




 強い。


 アヴリオは、表情1つ変えず、しかし静かに驚愕していた。


 今のは、不味い。このボディでなければ、負けていた。


 侮れない。地球人。




 砕け散った舞台。そこは、ちりも漂わぬ、無の世界となった。




 在りし世に、何かをもたらすのは、我らロボット。


 良い機会だ。




 アヴリオは、少し本気を出す。





 ブラツォの足に、踏み締める大地の感触が現れた。アトムの皮膚感覚には、風が吹き抜ける。


 有り得ない。風の起こる要因は、全て世界から消したはず。大地、舞台、気流のエネルギーすらも。




 だから、創った。アヴリオは、一瞬よりも早い時間で天地を創造してみせた。



 もちろん、アヴリオと言えど、ヴィジョンユニットに干渉してしまっては反則だ。だから、見せかけに過ぎない。


 アヴリオは、アトランティス星が得たあらゆるデータを自由に閲覧出来る。これは、アトランティス星の景勝地、カフェニオンを模した大地だ。


 それを、アトムの視界に映し、感覚に触れさせた。簡単な事だ。




 突然だが、世界について語ろう。


 人間の目の前にあるのは、人間の現実の世界ではあるが、それは宇宙の本当の姿を意味しない。


 早い話、視覚障害者と健常者では、見えている世界が違う。


 では、どちらが世界の正しい姿なのか。


 答え。正しい姿などと、そんなものは、ない。


 付け足すなら、犬や虫とも見えている世界は違うのだ。まさか、全生物中、人間1種族の視界が「正しい」わけも無し。



 宇宙の見え方は複数有り、より有効な視力を持ったモノが生き残った。ゆえに、現存しているあらゆる見方が正しいとも言えるか。


 その見え方に、アヴリオは干渉した。



 アトムの視覚機能は人類を遥かに超え、意識的に望みさえすれば、温度、暗視、構成物質、気流の流れまで見える。


 その全情報を、アヴリオは複製した。アトムに見えている景色は、何となく想像は付く。ただ、不完全かも知れないが。




 眼球のカメラに、曇りが生じている・・?・・・違う、これはヴィジョン。生身ではないんだ。目に不都合など、起こりえない。



 アヴリオとて、アトムの完全なスペックは知らない。その立ち居振る舞いからの推測だ。何が見えていて、何が見えていないのか。


 アトムは、地球上から肉眼で月の小石の数を数えるくらいは出来る。それは、アトムがアトランティス星付近の衛星を見ていた事を確認しているので、想像出来た。ちなみに、昼間の話だ。



 ゆえに、多少のズレが生じた。アヴリオも、全知全能とは行かない。


 絶対無敵ではないのだ。例え、人類が、数十億人かかっても、勝てずとも。




 アトムの視界には、相変わらずアヴリオが居ない。


 先の真核崩壊を避けられた時から、アヴリオの位置が分からない。だから、全周囲攻撃である時性際滅を撃った。



 目への影響から考えて、これは迷彩。どうやってか、隠れている。


 ・・それが分かっても、結局攻撃が当たらないのでは、仕方無いのだが。


 最高速でも、全周囲でもダメだった。なら、知明のようにゼロ距離を狙う?


 そのためには、接触する必要があるな。




 アトムは、舞台上の重力反応を探り始めた。視覚のように簡単には見えないが、時間をかければ、この50メートル範囲の世界なら2秒ほど、それで不自然なモノを知覚出来る。


 居た。正直、見付けられるとは思っていなかったので、ちょっとびっくり。


 罠?いや、そんな手間をかける必要は無い。何時でも、狙撃出来たはずだ。




 これは、先の試合と同じだ。知明の戦法を知りたがったように、アトムの全力を知りたいと言う、アヴリオの欲求。


 ゆえに、多少のヒントを残して、隠密している。


 アヴリオは、地球人を完全に分析するつもりでいるのだ。





 拠辺無交を用いつつ、じわりと距離を詰める。逃がさない。


 アヴリオが回避するために必要なスペースを潰しつつ、真核崩壊を溜める。今度は、拠辺無交で連発する。




 その危険な感覚に、アヴリオは気付いている。だが、反応しない。


 教えてもらおう。あなたの能力を。




ギ、オ


 ヴィジョンユニットは、かなり余裕を持たせて設計されている。それこそ、イデア級の情報処理能力を用いても、問題無い程度には。


 それが、少しばかり排熱に力を入れた。



 一瞬千撃。真核崩壊のエネルギーは、その瞬間、銀河の4つほどを消滅させて尚余りあった。


 それでも。




 ダメだ。


 ゴーグルには、アヴリオのダメージの情報が入ってこない。




「良い情報でしたよ。感謝します」




 決着。



 アヴリオは、真核崩壊を撃ち終って無力を噛み締めているアトムに、常識的な速度での連撃を入れ、普通に打ち倒した。



 アトムは、相手に倒される前に、敗北を認めてしまっていた。



「ありがとうございました!」


「ありがとうございました」


 それでも、礼はちゃんと。イデアに言われた通り。



 落ち込んで帰ってきたアトムをねぎらい、地球人最強のテレスが行く。


 ヒントはアトムがくれた。


 何とかしてみせる。

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