表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
67/89

以無鬼業。

 強い。1体目でも思いはした。強い。


 だが、こいつは、強過ぎる。



パン!


 全力で敵右手を弾き、距離を取ろうとする。明王が、以無鬼業が、敵との接近を嫌がる。


 それは、見る者が見れば、絶望的な光景であった。



 敵ロボットは、遠距離でも全く隙が無いが、近距離はそれ以上だった。


 鬼業の拳を受け付けぬ硬度。明王の全開の速度に、当然のように反応する身体能力。


 離れれば、星を1発で破壊するレーザーが飛んでくるが、それでも、まだマシだった。



 現在、600ポイントダメージをもらい、全身に2回ずつの判定を食らっている。正直、勝ち目が無い。




 参ったな。


 誇張抜きに、ガキの頃のおれと親父並みに違うじゃねえか。




 楽しいな。




 鬼業は、ここまで実力差のある相手に、成人してから初めて出会った。敵が、仮にそれが、「国」と言う単位であっても、死ぬまでに首都の1つや2つ落とす自信は有った。その程度の戦力である自負が有った。


 ヴィジョンならともかく。自分とロボットの現実での戦力差も、このままだろう。



 やばい。







 明王は、イデアが組んだ鬼業専用オーバーコート。シルエットも同じだ。そこに、イデアはある種のギミックを仕込んでおいた。


 鬼業の精神が完全に振り切った時に発動する、鬼業を生還させるための形態。明王のパワー、出力を全て移動速度に割り振る、つまり、明王最速の姿。


 もちろん、ムミョウユキテラシと合わせた。




 金言きんげん明王。明王の意匠と、実戦アドバイザーとしての鬼業に期待しての命名。


 銀光のユキテラシと対になる、黄金の軌跡。




オ!




 なんだか分からんが、早くなった。すげえ。


 鬼業の意識としては、そんなものだった。



 だが、面白い事になった。


 それに。



 あの頃のおれには無かったものが、今は有る。


 もう、ただの子供じゃない。


 3人の子供と、半身である妻を得た、家長。




 父親なんでな。家族を害するかも知れないものは、消すぜ。




 明王には、貫吼は積んでいない。必殺技と呼べるものは、一切無い。


 だから、近寄るしかない。この金言明王でも、敵の速度には追い付いていない、が。


 先程は、間違い無く逃げた相手に、近付く。



 それでも、恐怖を感じない。ここで、こいつらを倒し、宇宙の平穏を作るべきだと、考えもせず動ける。


 この体は、動いてくれる。鍛えた甲斐があったな。




オ!!



 敵から逃げて、数秒。金言となって、数秒の間、攻撃を食らっていない。大した進歩だ。


 じゃ、次は攻撃だな。




オ!!!



 こちらの拳は、50ポイントダメージしか与えられていない。胴体部に1度きり。


 例え、決着量をそれで削りきったとして、それは勝利では有り得ない。システム上の結末に用は無い。ゆえに。






 以無を、教えてやろう。






 一瞬で構わない。ノーダメージで敵に密着出来たなら。そこからは、おれがやる。


 だから。あそこまで、お前の足が要る。明王。短い付き合いだが、お前と遊べて、面白かったぜ。


 お前にも、初めてだったな。この技は。それとも、己業のやるのを見てたか?



 破砕奥義、貫通城。



 こう使うのだ。




オ!!!!




 最大速度を以って、ゆるりと見せる歩法を以って、敵攻撃を完全回避しつつ、動かさずおいた右拳を出す。


 殴るのではない、開いた手。五指を折り曲げ、何かを掴んでいるかのような形。



 敵右手のレーザーを全力回避。同時に来る左手のレーザーも。これで、敵の残り攻撃は、たったの4回。空に飛び出した位置取りの関係で、脚部レーザーは来ない。後は頭部レーザーと背部レーザーを躱せれば、攻撃に移れる。


 その時には、相手は腕部レーザーを撃てるようになっているのだが。だから、鬼業は接近を嫌っていた。攻撃の隙間が無い。



 それでも行く。プラテニウスも、そうだった。九分九厘勝てぬ、そう分かっていても、立ち向かった。


 おれも、続く。






 急激な静止。空中で身のこなしのみでレーザーを躱した明王は、敵眼前に着地して、完全に動きを止めた。


 ここでレーザーによる集中攻撃を選択すれば、それはロボットの隙になった。鬼業なら十分攻撃可能な、大チャンスだっただろう。


 しかし、ロボットは格闘を選ぶ。これなら、格闘を回避した相手を、追撃のレーザーで狙える。


 戦闘ロボットの長は、伊達ではない。




 たった1つの盲点を除けば。




 鬼業は、避けない。回し蹴りをモロに食らう。


 その感触に、戦闘ロボットは、違和感を覚えた。


 右蹴り足から伝わる感触が柔らかい。これは、受けの技術?



「おう。蹴られる瞬間に、後ろに飛んだ。基本中の基本で、格闘技に限った技じゃあねえ。人間が、動物が、災いを避けるための技法よ」



 ロボットのほんの少しの機微から戸惑いを感じ取った鬼業は、うっかり説明していた。聞こえていなくとも、父だからな。


 鬼業の言った通り、これは接近戦の法ではない。生物の逃走術だ。普通、後退してからの攻撃は、銃器などの飛び道具が無ければ、どうにもならない。そして、明王にはそんなものは、無い。だから、攻撃を仕掛けてくると想定していた鬼業の動きに、多少動揺した。ただ逃げるだけ?



 いや、また全力で飛び込んできた!!


 だが、それでは対応される。間を置けば、ロボットは完璧に・・・。



 学習、するんだよな?




 そして、レーザーの放射を避けつつ、静止。ロボットは、学習した通り、蹴ってしまう。受けられたとは言え、多少なりダメージは入っているのだ。それで確実に行けるなら、合理の極みである機械は、そうする。


 だが、鬼業の仕掛けは、ここから!!



ゴ!!


 真っ直ぐ突っ込む!!!!


 的になりにきたか!!!!



 否!


 倒しにきた!!!



 

 カウンター気味に襲い来るレーザーを、弾く。通常、絶対不可能な動きだ。レーザーの貫通能力は、惑星規模。いかな鬼業であろうと、道理が通らぬ。


 だが、今の鬼業は、明王。生身よりは、マシだ。


 そして、レーザーを「殴る」。




 有り得ん。が、現実に起きている。


 気は、防御膜。鬼業は、戦闘が始まって以来、絶やした事は無い。


 そして、全身を巡らせていた気を、左拳に収束。その膨大な気を叩き付け、弾く。


 いや、弾かせる。己を。




 そして、空で体勢を整え、敵左脇を突く。


 右手の準備は十全。



 貫通城。






「最高でした!!!後は任せて下さい!お父さん!」


「お?おお。頼む」


 知明と交代。



 決着は、相討ち。両者決着量を満たし、共に果てた。



 レーザーを殴り、己が身を弾かせ、敵直前に滑り込む。そして、貫通城を打つ。その瞬間、立ち止まっている明王目掛けて来る攻撃は、学習通り、蹴り。


 鬼業より速く鋭い蹴りだが、相討ちなら構わない。上等だ。


 鬼業は、戦闘開始直後に、このロボットを格上と認識していた。


 それも、歯向かえるレベルでない領域の。



 ゆえに、たった1回のまぐれ勝ちを、起こさせてもらう。実力でなくて良い。勝てなくて良い。



 それでも、何とかする。



 蹴りを、膝で受ける。この時点で残り決着量は200。受けに失敗すれば、終わる。だが、問題無い。同じ攻撃なら、完全に受ける自信がある。


 敵脚部は見た。レーザーの射口も。そこを突く。そこは、格闘判定が為されない。膝蹴りで、自分より早い相手の攻撃部位をピンポイントで狙い、打ち抜く。


 敵戦闘ロボットは、強かった。地球最強を自負する以無鬼業を、遥かに超えた化け物だ。


 だが、教えていなかったな。


 以無は、数億年の戦闘を積み重ねてきた。人類種が源の術ではないのだ。アトランティス星人がどれだけ戦って来たのか知らんが。人間規模に留まる限り、以無には勝てぬ。


 こいつは、以無鬼業より強くとも。アトランティスの戦いの歴史は、以無を超えてはいない。



 瞬。瞬きより短い、零瞬ときのはじまるまえ


 貫通城を5本の指から、5撃同時に発動。己業は、片手で1撃がギリギリだが、慣れればこんなものだ。


 一点に全力を込めた貫通城の貫通能力は、惑星如きではない。宇宙のあらゆるものを貫く。


 それで、敵身体を切り裂く。万物を貫く、絶対の牙にて、食い破る。



 まこと残念ながら、貫通城を決着量を満たすだけ食らわせていると、レーザーをもらった。


 そして、同時終了。




 上出来としておくか。今のおれより強い奴が、宇宙にはゴロゴロ居る。知りたくなかった現実だが。


 久しぶりに、ハラハラした。


 ・・楽しかったなあ。



 この試合はイデアによって記録されているはず。子供達に、貫通城の使い方を実戦レベルで教えられる。




 良い戦いだった。



 次は知明。実戦能力とリアディウムでの最高クラスの能力を兼ね備えた、あるいは人類種最強の男。


 敵が鬼業より上の化け物だろうと、一矢報いずに破れるわけ無し。




 試合終了と同時に流れ始める編集映像によって、観客も熱を帯びていた。圧倒的な、絶対的なロボットに立ち向かう人間の姿。


 イデアのアイデアを採用したアヴリオが、下位ロボットに命じて映像を加工させていたのだ。ショーとして成り立つように。それは、人間を支配しやすくする道具だと、イデアの説得が効いた結果。



 人類とロボット。両者の思惑も相まって、大会の熱気は増していた。


 他星人が、完全に観戦に回ったのもある。ヤケクソであっても、楽しむ気になった。



 リアディウムのプロは、その観客の雰囲気に気付いている。知明、滴、テレス、アトム。


 次の試合。その知明は、どんな試合を見せてくれる?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ