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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
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思い、上がれ。

オ、オオオオオオオ!!!!!!!!!!!


 見えない。少なくとも、一般異星人の目からは消える両名。


 だが、足音だけは響く。息吹の如き両者の移動音が木霊こだまする。




 真歩の目には、はっきりと映る両者の動き。


 ロボットはレーザーを撃つ機会を伺っている。ムミョウが止まらないので、まだ様子見をしているのだろう。


 対する己業は、幾度も攻撃の手を繰り出しているのだが、当てられていない。


 己業が全力で殴りかかって、当たらない。



 最低でも一殺宝仕レベル。



 面白い。が、それは5ヶ月前のおれ達だ。おれも真歩も、もうその先に居る。


ぽん


 軽く気を投げる。敵に接近する動きの中で、突然に。敵はそれを素直に回避しようとして、こちらの攻撃範囲に誘い込まれる。



 掴まえた。ら、折る!敵左手首を握り締め、まず下に引き、ひじを伸ばした状態を作る。そして、全力で押し上げる。動きに付いてこれない肩関節を破壊する。リアディウムでは、1回の攻撃判定に過ぎないが。



 流石に、食らうか。


 一瞬で動作を起こし、へし折ったにも関わらず、ロボットのレーザーを反撃にもらった。身体反応も上がっている。流石にやる。


 一応、関節技が効くかどうかの確認も兼ねての攻撃だったが、わざわざ食らうつもりは毛頭無かった。当てられたのは、相手の業のゆえ。


 ムミョウ800ポイントダメージ、全身に判定。ロボット、100ポイントダメージ、左腕部に判定。


 圧倒的な差だが。



 優勢であろうと、アヴリオにも見て取れた。


 性能を戻したロボットより早く攻撃を仕掛けた。それも、人間の腕力では傷一つ付かないはずのボディを、力づくで破壊した。戦闘用ロボットのフレームは、基本的に数十トン単位の圧力に耐えられるよう設計してある。プロテクション非使用時でさえ、人間がどうこう出来る装甲ではない。


 ・・・・人類では、以無鬼業と雲技知明のみが異常個体と判断していたが。間違っていたか?この、以無己業と言う個体も、オカシイのか。




 さて。面白い事になってきた、が。


 大ピンチだな。・・どうしよう。



 己業は、何も考えていなかった。


 ただ。


 この強敵を、大歓迎していた。




 ・・・親父なら、どう戦う?実際に、この星に到着した時、戦って数体を屠ったらしいが。生身で、こいつらを倒した・・・・。


 本当に、おれと同じ人間かよ。おれなんか、ついさっきレーザーを食って「死んだ」ぞ。ヴィジョン内、ムミョウ状態で。



 まあ、おれも同じ以無。


 無理ではないはずさ。




 歩む。進む。前に出る。


 次、食らえば敗北。


 それでも、逃げた先にもやはり勝利は無い。



 なら行く。勝ちに行かせてもらおう!



オ・・


 レーザーを避け切れないはずの距離にて、全力回避。避けられないのは、反撃の態勢を維持し続けるからだ。最初から逃げるつもりなら、至近距離でもない限り、何とかなる。


 見せていない行動ゆえ、予想も出来なかっただろうが。やはり、人間なら何となく分かるものだ。


 ここら辺のロボットの融通の利かなさは、可愛げでもあるな。



 全力回避の後は、体をひねり、遠心力を発生。止まらず、次の場所に移る。


 思いっきり左に飛んで動き続けられないはずの身体を左足を軸に回転、右足を伸ばし、敵を蹴るかのようにしてその勢いで更に飛ぶ。このこなしに、ラグは無い。


 戦い始めから、遠慮無く動いているが、体は全くきしまない。ここが現実ではない事を実感する。鍛え上げた肉体であろうと、全力で動き続けているのだ。生身なら、息も切れるし、どれだけやる気があろうと体が言う事を聞かなくなる。



 こんな柔らかい優しい戦場で、おれは苦戦しているのか。


 今まで、こんな情けない以無が居たか?




 どうやっても、絶対に死なんのだ。


 もうちょっと頑張れ、おれ!




 レーザーの攻撃速度は、光速。理屈の上では避けられない。ゆえに、今までは射線から消える事で、回避を実行してきたが。



 本当に、おれより早いのか?


 たかが、光が。まぶしいだけのモノが。




 有り得ん。





 なら、おれはもっと早い。






 物理、理路、理屈。そのような御託を理解する脳みそは持っていない。そして、この身で体験しようが、なお知らん。


 この星まで乗って来たライキ・アゴラの速度を、さっくりと否定するような事を思いつつ。



 現実を叩き壊す。


 現実を受け入れるだけなら、貫通城などと言う技は、要らんのだ。


 今を打ち破り、砕く。その門の向こうに、おれが行く。


 ゆえに。




 お前より、おれが強い。


 おれが、そう思っている以上。






 その踏み込みには、音が無かった。いや。



ゴ!!!!


 ムミョウが地面を蹴り付けた6秒後に音が発生した。



 素で光速移動を実現した瞬間である。




 本当に、光なんぞが、おれより早いのか。そう本気で疑念を感じた己業の肉体は、シルエットは、光に追いつき、追い越した。


 馬鹿の一念が、全てを超えた。


 死なない、その事実が己業を思い上がらせた。何でも出来るな。何しても、失う物が無いんだから。


 限り無く肥大する野心。羽ばたく欲望。全身に満ち満ちる増長。



 おれが、1番強い。




 レーザーが、ゆっくりと伸びている。それが、目で追える。遅い。じっくりと、雪尽の搾り出すクッキーの元のように。


 なんだ。レーザーとは、料理か。


 それなら。



 雪尽。雪尽。


 雪尽。



 雪尽を想う己業は、レーザーを射出するロボットの腰を抱いて優しく放り投げた。敵射口がこちらを向く前に、気を10発打ち込み、最後に貫吼で決めた。光速を超える己業の動きに、ロボットは付いて来れていなかった。



 その光景、ヴィジョンに入っていない雪尽には視認出来ていないが、もし見えていれば、嫉妬しただろう。まるで、恋人を抱くかのような手付きだったから。



 決着。


 イデアは見抜いた。が、何も言わず、次の試合の応援を始める。



 4人目。アヴリオは強さの引き上げをしない。なぜなら、戦闘用ロボットのシルエットでは、今のムミョウには勝てない。限界まで上げても、だ。


 かなり、強い。それがヴィジョン限定であろうと、アヴリオは認識を改めた。彼にも、本気で当たる必要がある。それでも、テレスやアトム、いや雪尽にも勝てない程度の能力だろうが。




 開始!



 なぜか知らんが。おれの動きが早くなってる気がする。


 この時、光速を超える速度が間違い無く実現出来る自信は、まだ己業には無い。


 ただ、今の自分の活躍を見て、雪尽は、おれに惚れ直しただろうか。会場の人々は、おれに惚れただろうか?そんな疑問だけを思っていた。



 おれは、かっこいいだろうか?



 それが、今の己業の最大の疑問である。



 この超不純物。宇宙に地球の恥をさらしにきた男。これが、宇宙のバランスに関わっているのかと思うと、地球も宇宙も、理不尽の度合いは変わりないのだなと分かる。



 残りの2名を容赦無く叩き潰す。この戦いで、己業は新たな己に出会った。

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