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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
52/89

鬼業の提案。

 己業達は専用オーバーコートの調整に入っていた。


 12月とは言え、グレートアトランティスの気候は穏やかだった。冬を再現したエリアもあるはずだが、通常エリアは、ずっと春や秋のような過ごしやすさ。


 まあ、今の己業には関係無い。ずっと実験エリアで生活しているから。ここに来てから、1週間。雪尽も含めて、全員が宇宙空間での戦闘、生活を勉強していた。


 敵母艦は、この地球を容易く消す。そして無数のロボット兵は、1機1機が鬼業以上の実力。


 戦いたい。が、それは思い上がり。鬼業にさえ1度も勝てていない自分がやり合える相手ではない。


「もちろん、皆さんの役割は、最前線での戦闘ではありません。頭数になって下さい。鬼業さん達のお手伝いだけで構いません」




 鬼業のライキ・アゴラの管理コンピュータは語る。


「地球時間に於いて、3週間と6日後。我々は、ついにアトランティス星に到着しました。しかし、隕石としての自由落下は断念。警戒が張られていました。ですので、鬼業さんがオーバーコートのみで突入。我らは待機していました。そして、色々な事が起こりました」


 管理コンピュータが解析した映像および戦闘データ。更に、アトランティス星での攻防。


 それは、まさに三つ巴の様相。





「順調この上ないな」


「はい。敵船と接近遭遇する機会が今まで無かったのは、本当に僥倖と言えましょう」


「自ら乗り込んだおれが真っ先にリタイアでは、面目が立たん。頼むぞ」


 ソクラノ・プラテニウスは、順調にトレーニングを積み重ねて来た。オーバーコート、斬里殺での特攻を。


 アトランティス星から逃げ延びた己が、決める。


 かつて。ロボットに知性を与えたのは、アトランティス王室の使っていた研究者。この不始末の原因は、我らにある。優しく強く、己を守ってくれた姉は、地球で夫を得、幸せに生きている。


 守ってもらったおれが、今度はやってみせる。


 そうして、無事にアトランティス星の存在する銀河に到着。もう24時間以内に着くだろう。


 だが。少々、様子がオカシイ。


 トップルームに映し出される映像には、戦場の光が見える。


「誰だ?」


「連絡が来ました。鬼業さんの船です。鬼業さんは、単独で星に入ったそうです」


「流石は、姉上の選んだ男。仕事が早い」


 プラテニウスも、斬里殺に搭乗。鬼業を追いかける。


「別ルートを出してくれ。別個の方向から突入した方が良かろう」


「了解致しました」


 一瞬でモニターに映し出される新ルート。


 そして斬里殺が、ライキ・アゴラから出ようとした時。


「お待ち下さい・・・。異星人が、異星のロボットが居ます」


 地上戦を繰り広げているのは、鬼業の明王だけではなかった。明らかに別星系の技術を用いた機体。岩塊のような何か。


「登録情報が有ります。呼称、アンディヴィオティカ。こちらのデータベースによれば、最高ランクの危険性とされる、アトランティス人の天敵です」


「アンディヴィオティカ・・・?・・・・・・いや、聞き覚えが、有る。確か、イデアに聞いた。警戒すべき敵、だったか」




 アンディヴィオティカ。それが、アトランティス星が無数のロボット兵器を持ち合わせるに至った理由。戦わねばならない敵。


 かつてのアトランティス星は、全宇宙、全銀河に覇を唱えられるだけの超強大惑星だった。新たな宇宙進出に対し、人間が危険を冒す必要のないロボットワーカーを開発出来た事により、アトランティス星人の支配領域は爆発的に広まって行った。


 そして、有人無人に限らず、銀河と言う銀河、宇宙と言う宇宙を制圧支配し続けて行った。資源調達も惑星開発も、技術進化も支配領域の管理も、全て、ロボットがやってくれた。アトランティス人は、旨味うまみを味わうだけで良かった。


 時に敵対する他星人が居たとしても、穏やかに、あるいは強引に、押し通して行った。その道のりに、障害など無かった。


 そんなある日。


 アトランティス星人が支配した地域の抵抗勢力・・・と言う名の落ち武者達が、反抗の狼煙を上げた。


 無論、アトランティス星人は、黙殺した。当時の宇宙戦艦でも、銀河を破壊するくらいの事は容易くやってのける実力。あまり目に付くようなら、拠点ごと消せば良い。


 そして。


 結果として、支配領域はドンドン減って行った。ロボットは落とされても落とされても健気に戦ったが、戦略を練る人間だけは居なかった。


 攻撃が効かない、防御が無効化される敵に対して、アトランティス星人は、何の学習も反省も出来ず、ただ負け続けた。


 とうとうアトランティス星の在るアトランティス銀河以外を失って、それからやっとロボットの性能向上に成功した。


 即ち、ロボットの知性の限りない進化。


 そのロボット達は、従来の大型攻撃艦に乗り込める、小型ロボット兵を開発した。大型艦は、敵になすすべも無く食われる。ならば、小型兵器にて、敵人類をピンポイントで狙えば良いのだ。ロボット兵を多数用意、そして拡散。


 反撃は、成った。アトランティス星人は、何とか敵対勢力を押し返す事に成功。


 そして、またかつての栄華を取り戻すかと思いきや。今度は、その味方ロボットに支配され、プラテニウスらは脱出したのだ。




 その、敵対勢力。アトランティス星人に滅ぼされた星星の集合体。それが、アンディヴィオティカ。


 蘇ったか。


「これは・・。どう、動くべきだ?」


 管理コンピュータに聞くでもなく、独り言を呟く。アトランティス星のロボット兵器が戦力を減少させる事態は歓迎出来る。だが、より強大な敵が現れるのでは、無意味。


 先行した鬼業は、何を狙っている。何の考えも無しに動くわけがない。こうなれば、協調して動くのが得策。


「鬼業さんは、混乱に乗じて一気に攻め込むつもりです」


「ふむ・・・」


 つまり、鬼業はアトランティスを落とすのを最優先したのか。何もせずとも、ロボット達はアンディヴィオティカを迎撃する。その内に、キーを差し込むと。


「ならば、当初の予定通り、おれも行く。ただ、鬼業と同じルートで歩調を合わせる。そのルートが、最も安全なはず」


 鬼業の戦才を信じる。


「それなら、私達も安心出来ます。どうか、ご無事で」


「もしもの時は、イデアによろしくな。では、行って来る!」


 斬里殺発進!


 数個の惑星をすり抜け、プラテニウスの侵入は成功。ついに、数十年振りの帰郷を果たす。


「故郷よ。今、取り戻す」


 ロボット達と敵対行動を取らないよう、ぶつからぬように回避行動をメインにして移動。鬼業のルートは、鬼業の乗って来たライキ・アゴラが教えてくれた。それをなぞり、順調に進む。


 やはりな。鬼業の進行路の左右では、敵同士の討ち合いになっている。我々は、その間隙を突けるわけだ。


 アトランティス星、管理センター前に到着。そこには、鬼業のオーバーコートが脱ぎ捨てられている。


 バカめ。敵地で生身で動いているのか。


 ならば、おれも行こう。


 プラテニウスは、超越者ではない。生身で軍団とやり合えるような怪物ではない。


 だが、男なのだ。味方援軍、それも自分が頼みとした男が体を張ってくれているのに、己は安全に待つなど、出来ん!


 鬼業の囮にくらいなれるだろう。行け!プラテニウス!





「すまん・・」


「良いけど。頑張ってよね、おじさん」


「口が悪くてすみません。ですが、本当に気を付けて下さい」


 勢い込んで突入したプラテニウスは、当然のように捕まった。死なずに済んだのは予定通りではあるが、幸運だった。


 そして、同時に到着していたテレスとアトムに救出された。


 2人共、オーバーコートを捨てて、管理センターに侵入。ちょうど、捕縛され、連行されかけていたプラテニウスを救出したのだ。


「鬼業さんを追いかけるよ!」


「うん!」


「応!」


 最も遅い、と言うか常人のプラテニウスは、テレスに背負われる。


「す、すまん。置いて行ってくれ」


「取り戻すのもメンドイし。このままで大丈夫だよ」


「テレスは、無駄にパワーは有りますから。遠慮しないで下さい」


「無駄じゃない!」


 明るく、じゃれ合いながら疾走する女子2人。一方は成人男性を背負っているのに。


 鬼業に、ああ言いはしたが。娘らの健やかな成長を感じられ、プラテニウスは、胸にジンと来るものが有った。


 良く、大きくなった。無事に育ったものだ。


 プラテニウスの感慨は、しかし長くは続かなかった。


ガア!!


「鬼業か!!」


 進行ルート前方にて、巨大な音が発生。何かが戦っている!


「行くよ!」


「うん!」


 頷こうとしたプラテニウスの上体を置き去りにする勢いでテレスは走り出した。屋内通路だと言うのに、時速200キロは出ているか。壁が矢のように通り過ぎる。


 そして、3人は見た。


 鬼業と、対峙するロボットを。


 ロボット兵の屍が散らばる周囲を他所に、2人は静かにたたずんでいる。


「よう・・」


「ようこそいらっしゃいました。私達は、人類を歓迎致しますよ」


 恐らく、アトランティス星、管理センターの代表。イデア格のロボットと見る。外見は流麗。ボディは一寸の無駄も無く絞り込まれ、華やかさと強さの両方を感じる。イデアの無骨さとは、比べるべくもない。


 鬼業は無傷。だが、キーを持ったまま。まだ、差し込めてないのか。


「ああ。無駄ですよ。お試しになられますか?」


 ロボットが、道を空けてくれる。恐らく、管理コンピュータへの。


「こいつの見ている前で、入れてみた。だが、何も変化が起きない」


 鬼業は、そう言った。プラテニウスは、とりあえず降り立ち、自分のキーを入れてみた。入る。規格は合うようだ。何十通りの仕様適応性を施した意味が有った。


 だが、鬼業の言う通り。何も、変わらない。


「私がやる」


 プラテニウスを押しのけ、テレスが管理コンピュータに触れる。指先が接続部位に合わせて変形、コンピュータのあらゆる接続口から侵入を試みる。


「・・・・!」


 テレスは、一瞬痙攣を起こした。


 じっとテレスの様子を見ていたアトムは、テレスを無理矢理引き剥がした。そして、テレスに接続。テレスの無事を確認する。


「・・大丈夫」


 テレスは、アトムの腕を優しく叩いて、解除を促した。アトムはテレスに接続していた指先を引き抜いた。


「壁が。大きな壁が見えたわ。堅くて、私の処理能力じゃ破れなかった。それに、グレートアトランティスのキーで、突破出来ないのも納得出来る。穴が、無い」


 穴が無い、とは。つまり、この管理コンピュータには何者も変化を起こせないと言う事だ。進歩も変更も、修復作業すらも出来るまい。


 こんな、バカな事が有り得るのか。


「納得は行きましたか?」


「そのようだ」


 堂々とした鬼業。手の打ちようの無い事を悟ったテレスとアトム。敵ロボットを倒し、新たな管理コンピュータを据える場合の時間と抵抗を考えるプラテニウス。


「我らの目的は、この星の掌握。お前達を再び、人類の支配下に置く事。どうすれば良い?教えてくれ」


 超ストレートに鬼業が聞く。ロボットは、人間を教え導く。ならば、あらゆる質問は許容されるはず。


「不可能とお答えしましょう。人類は、その能力を自身のみでは発揮しきれません。我らに導かれてこその人間。ロボットに養われる幸せを噛み締めなさい」


 とりあえず、ちょっとムカついた鬼業は本気で拳を入れてみたが。


シイ


 軽く受けられた。今の拳で、家屋の1つや2つは吹き飛ぶのだが。


「私の格闘プログラムも、それなりのものですよ」


 やはり、おかしい。アトムは、いぶかしんだ。更新されるプログラムが有るのに、何故侵入出来ない。どうやってアップデートしている?


「もう1人のお客様もお呼びしましょうか」


 ロボットが言うと同時、鬼業達の来たのとは別のルートが開いた。


 数百メートル先。そこには、目をぱちくりする知明が。ととっと走り寄って来る。


「バレてた?」


 暗殺するつもりで隠れていたが。


「いや、おれは感じ取れてなかった。見事な隠密だ」


「ありがとうございますっ!」


 一応年長なので、鬼業には丁寧に。本当に、適当にだが。


「で、この人を皆でボコれば解決?」


「どうなんだ?」


 知明の質問をプラテニウスに振る鬼業。


「いや・・・。何も解決しない。管理センター守護のために、迎撃に出払っている戦闘ロボットが集合し、我々は死ぬ。アンディヴィオティカの一人勝ちになるだろうな」


 あくまで管理センターの意識を変えなければいけない。そうすれば、アンディヴィオティカを撃滅後、悠々とアトランティス星を闊歩出来るようにもなろう。


「尻尾を巻いて逃げ帰りますか?新しい住居をご用意しますが」


「・・・」


 鬼業は周りの4人の顔を見回した。特にアイデアは無さそうだ。


 ならば。


「アンディヴィオティカとやらは、放っておいて良いのか?」


「ただいま、敵データを収集中です。本拠地を突き止め、根こそぎ駆除します。そのために、わざと時間をかけているので、ご安心下さい。人間の皆様には、危険など有り得ません」


 裏の見えない表情。イデアとは違い、表情豊かな顔だが。イデアとは違い、温かみを感じない。


「そいつらを、過去のお前らは、倒しきれなかった。さて、お前達の言葉は、本物かな?」


「それは・・」


 これは、ズル。データ収集中と言う言葉の通り、今まさに動いている作戦が絶対に上手く行くかどうかなど、答えられるわけがない。ロボットは、モラルも高い。嘘や誇張表現も使えない。鬼業は、分かっていて、引っ掛けた。


 鬼業には、考えが有った。


「おれ達の乗って来たオーバーコートなら、敵を倒せる。食われもせずにな。手伝おうか」


「まさか、交渉のおつもりですか」


 人間如きが。


「提案だ」


 鬼業は言葉を続ける。


「アンディヴィオティカの目的は何だ?まさか、本気でアトランティスを落とすだけで満足なわけはあるまい。一体、その後、「誰が」主導権を握るんだ」


 アンディヴィオティカは、集合体。複数の異なった惑星の人種が入り混じっている。


 勝った後、どうするんだろうなあ・・・。


「そのような事に、我々の思考能力を使う必要を認めません」


「つまり、分からぬと」


「・・過去のデータからの推測では、複合国家を作るはずです。この場合、いわゆる連邦国になる可能性が高いと思われます」


 異なる惑星間での構築パターンが多いが。地球における、普通の国家間の関係のようなものだ。貿易もする、平和的な関係。


 かなり人口は減っているはずなので、全く新しい国を作る可能性も有った。だが、アンディヴィオティカの構成メンバーは、各々の国、星の服を着ている。過去の戦闘で見た限りは。


 一致団結する意思は、無いな。


「敵は、それを上手く構築出来ると思うか?」


「・・・・難しいでしょう。あちら側には、優秀な研究者と反抗心、そして悪運が有ります。ですが、政治的駆け引きの上手かった人材は、アトランティス星のデータには見当たりません」




 人材が見当たらぬと言う事は、そのような教育が進んでいない可能性が高い。アトランティス星により壊滅寸前にまで追い込まれた星星には、そのような余裕は無かっただろう。


 アンディヴィオティカは、1つの主目的のための結び付き。その目的が達せられたなら、次に起こるのは、人間同士の争い。


 さて。先ほどまで武力を用いていた者達が、わざわざ平和に話を進めようとするかどうか?




 テレスとアトムは、気付いた。こいつ、データバンクにアクセスしている。なら、こいつにキーを差し込めれば、何とかなるか。だが、鬼業を相手に微動だにせぬ戦力を突破出来るのか。


「勝とうが負けようが、アンディヴィオティカには明るい未来は難しい。なら、マシな未来を用意してやれば、食い付かないか?」


「マシ?」


 管理ロボットは、真面目な表情でそう言うので、中々面白かった。


「おれの話を聞け」


 鬼業は腹案を話し始めた。全員分の茶を用意させて。




 出された飲み物、茶菓子を疑いもせず飲み食いする5人。


「人間にしておくには惜しい胆力ですね」


「違うな。人間だからこそ、恐れと共に食える」


 鬼業自身には、微量の恐怖が有った。流石にこんな単純な手を使う高性能ロボットは居ないとは思っていたが。


 知明は、特に何も考えていなかった。毒を使う気なら、毒ガスでも用いれば良いのだ。わざわざ毒物を混入した食べ物を用意するなど、無駄の極み。


 プラテニウスは、人間の尊厳を示さねばならなかった。人間には、機械を扱える器が有るのだと、己を懸ける。


 テレスとアトムには、不安は一切無かった。毒など、効かない。





「お話は、分かりました。ですが、果たしてアンディヴィオティカに受け入れる度量が有るかどうか」


「無けりゃ、話は終わりだ。おれ達は、まずアンディヴィオティカと交渉する。それは、お前達に取っても、マイナスじゃあるまい?」


「・・・ですが。あなた方に、危険が伴います。我々は、それを見過ごせません」


「なら、ガードを付けてくれ。あのロボット母艦とか、ロボット兵で良いからよ。お前達が、人間の話を聞くって言うポーズにもなるしな」


 アンディヴィオティカに取って、アトランティス星はトラウマだろう。その象徴である機械兵器が、従順に話を聞いている姿勢を見せる。


「おれには、星の話は分からねえ。銀河の戦争なんて、そんなスケールは想像もつかん。だが、人間同士の争いなら、分かる。人間は何処まで行っても、主導権争いからは、逃げられねえんだ。どんな先進国だろうが発展途上国だろうが、人間はサル山のサルから、何も変わっちゃいねえ。そりゃあ、お前らロボットに下に見られるはずだぜ」


 主観。なれど、鬼業の実感である。


 鬼業の仕事は、武力外交官。世界各国を渡り歩いたが、真に平和な世界など、何処にも無かった。それは、例え日本国でも、だ。


 人間が2人居れば、争いは起こるのだから。


 その狭間にロボットと言う緩衝材を置くアトランティス星人の発想は、恐らく正しい。誰も、鉄板越しに人間を殴りつけたりしない。強制的な、機能的な、壁。それが、ロボットだったのだろう。


「プラテニウス。お前にも手伝ってもらう」


「ああ。それは当然。だが、何をする」


「所詮、おれ達はサルよ。強い奴が獲る。ゆえに、誰が1番強いのかを競う」


 早い話、オリンピックだ。


 鬼業の想像する最悪の結果は、2大勢力のどちらかの完全勝利。どちらが勝とうと、地球には面白い未来は待っていない気がする。


 それを回避するためには、現状維持がベター。プラテニウスには、悪いが。ロボットを篭絡する方法が無い以上、諦めてもらおう。


「勝負は、リアディウムで決める。各代表はチームを組み、出場。アンディヴィオティカも勢力ごとにチームを選抜して良い」


「リアディウムとは、どんな競技でしょう」


 管理ロボットは、この提案を吟味すべきか、思考を始めた。


「仮想戦闘。まあ、やってみれば分かる。お前、戦えるんだろ?やってみようぜ」


 鬼業は、管理ロボットに声をかけ、オーバーコートを置いた出入り口に向かう。


 管理ロボットは、アトランティス星付近で戦闘を行っているロボット達の戦闘能力をわずかに引き上げた。本当に、手加減しながら敵を誘っていたのだ。だが、邪魔になるのなら、少々排除しなければ。


「あ、と。お前、名前は?何時までも、お前でも、なんだな」


「あなたのお名前も伺っておりませんよ・・・。アヴリオと申します。私は、アヴリオ。あなた達の管理者の名前です」


「アヴリオか。おれは、以無鬼業。これからしばらくよろしくな」


 とりあえず、握手。体温すら感じるアヴリオの手は、滑らかで触り心地が良く、本当に技術の粋を凝らしているのだと分かる。




 鬼業は、自身の案に絶対の自信が有るわけでもない。


 だが、何とかして地球を守らねばならん。龍実を、子供達を守る。そのために、やれるだけは、やる。

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