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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
46/89

昔語りとオーバーコート。

「お前は知っての通り。我々は、アトランティス星からやって来た異星人だ」


「ああ」


 この場では、滴だけが姿勢を変えるほど驚いていた。龍実は、自分自身の事だし、鬼業は龍実からそれを聞いている。


 口を開き、正気か?と疑わしげな顔をしている滴を置いて、プラテニウスは喋り続ける。


「我々は、何も物見遊山ものみゆさんで地球までやって来たのではない」


 仔細までは知らない鬼業も、黙って聞いている。


 龍実の居る場なので、敬語に改めた方が良いかな?と何となく悩みつつ、しかし普段通りの口調で話すプラテニウス。


 皆に、龍実がお茶を振舞ってくれる。食事中の麦茶とは違う、リラックスするための緑茶だ。


「我々を、アトランティスから追いやった存在が、鬼業。お前の叩いたモノの主人だ」


「なるほどな・・・・」


 やはり、滴だけが付いて行けてない。龍実は、怯えているようだ。鬼業が肩を抱く。


「ど、どう言う事なんですか?つまり、地球は、異星人からの侵略を受けている、と?」


 そんな、馬鹿な。フィクションの話だろう?


 ・・・誰も、笑っていなかった。冗談だよー、と誰も言わない。


「そんなまさか。地球まで来る事の出来る科学技術を持った異星人なんて、一瞬で地球を消し去れるんじゃないんですか」


 詳しくないが。ワープだの何だのと言った技術をモノにしているなら。勝てない。


「対策は、した。正確には、手を打っていた。間に合わなかったようだが」


 プラテニウスは、大真面目に語っている。その話し振りに、滴は、これがお芝居でないと認めなければならなくなった。


「20年かかるアレか」


「今、用意をさせている。お前にも協力してもらいたい。危険性は、かなり高いが」


「給料は出るのか?」


「お前の今の仕事分ぐらいは、保証しよう」


「なら、やろう」


「・・・・待って下さい!鬼業さんは、すぐに現在の職業を退く事は、不可能では?」


「言ってる場合じゃなさそうだ。それに、もしかしたら、おれの公式のお仕事で行けるかもな。ありがと滴。思い出したぜ」


「は、はあ」


 以無鬼業。自称格闘技者の無職、ではない。その素性は。


「そう言う事になる。お前はお前のまま。武力外交官としてで構わない」


 武力外交官。自衛官ではない。文官に入る。武器を持たず、されど武芸を持ち合わせた、世界中どこにでも入っていける武人。ナイフも銃も持っていないので、誰にも警戒される事は無い。通常業務は、世界の国々で武技を交わらせ、日本国の武名を響かせる事。これによって、例えば空手のオリンピックへの種目入りなども自然な流れとして要望出来得る。日本の武を、見たくないか、と。


 鬼業自身は空手家ではない、が、日本人ではある。日本人のやる武術なら、まあ誇大広告ではあるまい。鬼業は、相撲や柔道などの技術も修めている。無論、喧伝のためだ。


 これらが、表向きの仕事だ。


 裏の仕事としては、武力鎮圧人員となる。万が一、日本人の被害者が出そうな事態。例えば反乱、革命、テロ。その他、災害によって生じた暴動などに対応する。その国を治める必要は無い。外国の日本人居住者、旅行者の命を救うのが、武力外交官の仕事だ。そのための力を持っている事は、公然の秘密だ。


 なぜなら、主要先進国には、鬼業のような人員が普通に居る。日本国へも派遣され、大使館で通常業務を行っているはずだ。普段は鬼業のように民間とも普通に接触しているだろう。


 ちなみに、日本のような比較的落ち着いた国には新人が派遣される。鬼業も新人の内は、紛争地帯横の平和なはずの国に居た。無論、事が起きれば、すぐさまそちらの避難活動に協力する手はずで。


 その裏の仕事として、アトランティスからの要請。


「と言う事か?」


「ああ。お前を日本国から借り受ける形になる。つまり、大動滴さんの、防衛省からリアディウムへの出向と、似た形になるな」


 鬼業には覚えが有った。何故か、ここ数年、自身の仕事が暇だったのだ。子供の生まれた頃なら、育児休暇を取ったりしていたが。現在は、子供達も大きくなり、かなり自由に働ける身なのに。


 ・・・やり過ぎて、干されている?数カ国で身に覚えの有る鬼業は、ひっそりゆっくり次の就職先を探しながら、武力外交官を務めていた。


 アトランティスと日本で話が付いていたのか。


「・・なるほど・・」


 滴も、何となく受け入れて来た。が。まだ、納得の行かない事は有る。


「ですが。そのような事態。最早、鬼業さんの出番でもないでしょう。自衛隊の出る幕では」


「残念ながら。グレートアトランティスの誇るマシーン部隊でも、敵には勝てない。勝てるのは、唯一、オーバーコートのみ」


 オーバーコート。それが、勝利への道標みちしるべ




「しかし、まるで準備が整っていない。最悪、数人で出撃してもらう事になる。バックアップは万全にするつもりだがな」


「構わん。おれ1人でも。だが、敵の情報はもらおうか」


 何と戦うのか。それすら知らないのだ。


「敵正体は、機械生命体。我々のロボットの、先祖のようなものだ」


「ふむ」


 分からん。


「何故、そのようなものが、アトランティスの人間と敵対したのですか?ロボットの先祖、とは。まさか、SFのような、ロボットの反乱などと言う事が実際に起きたのでしょうか」


「その通り。滴さんの仰る通り、ロボットが狂った。それで間違っていない。が、もう一つの理由が有る。ロボットは、生きていた」


「先程の、機械でありながら、生命体と言う呼称と、何か関係が」


「ああ。生き物と機械の良いとこ取り。即ち、究極の存在。それが、我々の作り出したロボットの、成れの果て」


 成れの、果て。


 元々は、ただのロボット。


 それが、命を持った。


 否。偽る事無く言おう。


 アトランティスの民が、いたずらに命を作り上げた。


 始めは、ただの実験だった。民を支える労働力としての人工知能。それだけのはずだった。


 しかし、知能の限界を定める事を、当時のアトランティス人はしなかった。


 更に。道徳を、教えなかった。理不尽に従う、人の処世術を学ばせなかった。人の人たる所以ゆえんを、置き去りにした。


 結果。理性の化け物が生まれた。


 人より賢く、人より正しく、人より潔癖な。


 人を超えた機械が、人知れず誕生した。


 人は、奴隷のつもりで神を使役し始めた。


 そして。当然の摂理として。神は、人を支配し始めた。


 神は、汚れを許さなかった。不正を、弱さを、迷いを、臆病を、不健全を、不健康を、不ぞろいを。


 全てを、正し始めた。




 そうして、アトランティスは、神の御座ござとなり果てたのだ。


 反抗を試みた人間は。今は、もう居ない。


 生き残ったアトランティス人は、宇宙船で宇宙空間に逃げた。


 そして、遠い遠い宇宙の果て。可能な限りの僻地へきちにたどり着いた。


 それが、銀河系、地球。





「そんな感じだ。感動しろ」


「うむ。感動した」


 頷き合う鬼業とプラテニウス。


 必死で脳みそを回転させ、話の理解に挑む滴。


 そして、涙ぐむ龍実。


「幼かった我ら王族は生き残ったアトランティスの民を、未だ未熟だった機械に頼り、支えた」


 滴は、眉をひそめた。機械に故郷を追われておきながら、まだ使うか。




 未熟な機械とは。人工知能を搭載させていなかった、単純機能のみのマシーンや、宇宙船の管理担当だった管理コンピュータなど。それら、万能にあらざる知性を、今までより不便ながらも用いて来た。


 人類は、例え多少の不利益が生じようと、一度手にした甘い果実を捨てられるものではない。


 肌触りの悪い服を着たからと、もう服なんて着ない!とは言わないものだ。不味いものを食べたから、もう何も食べない、と言うのは不可能。


 使うしかない。何とかかんとか。やって行くしかないのだ。




「幸い。アトランティスを我らより奪ったほどの超高性能マシーンは、もう作れない。当時の技術者達は、既に居ないのでな」


「そうなのですか・・・」


 イデアを始めとした管理センターの代表達。彼らは、頭脳こそ人間を超えた存在だが、ブラックボックスを仕込んである。


 人間の存在を、刻み込んであるのだ。




 人間とは、無様な生き物だ。


 決して綺麗なモノではない。その前提で、人間をフォロー、サポートする作りにしてある。


 以前のロボットには、人間と言うものの正体を教えていなかった。知らせていなかった。


 人間とは、ちょっと体毛の薄くなったサルだ。それ以上でも、以下でもない。素晴らしい存在でも、理知的な生き物でもない。


 清い心を持った前提で考えてはいけない。


 これは、悪人が居るとかそんな次元の問題ではなく。


 人間の根底にあるものは、エゴ。自我の求むる所に、自己が在り得るのだ。


 善人悪人問わず、全人類がそのような生き物なのだ。知性を持つ、とは、即ち、我欲を持つ事。


 ミジンコやプランクトンとの違いは、そこに大義名分を必要とする事だ。


 人間は、見た目を気にする。外聞を気にする。欲を欲のままにしておけない。綺麗な名前を付けて、例えば助け合いだとか。


 欲を肯定し切れない。自分も被害に会うからだ。だから、人と人との間に無用なトラブルを招かないよう、知恵が発達した。


 それが、道徳。


 人類の、処世術だ。


 イデア、クリアード、アイル・・・。彼らには、人間の多面性を最初から教え込んでいる。絶対的な優先目標は、人類への穏やかなフォロー。


 人類の使用人としての立場を、覚え込ませた。決して保護者になる必要は無いのだ。




「敵正体は、理解した。元の仲間だな?こちらの技は知られているから、相手の知らぬモノを使うのか」


「違う。知られているとかいないとかの問題ではない。機械的な道具では、敵を倒せない。そんな純粋な問題だ」


「・・・・だから、鬼業さんを単独で隕石に突っ込ませたんですか?」


 肉体のみにて、敵を倒せる人間に頼んだのか。しかし、何故だ。どう言う理屈なのだ。


「そう言う事です。・・鬼業。お前には、まずオーバーコートを試着してもらう」


「ふむ」


「敵を倒すには、条件が必要。オーバーコートは、それを満たせる兵器だ」


 滴は、この状況の説明、どう考えても自分の手には余る。そこまでは理解出来た。




 後日、改めてグレートアトランティスから防衛省に説明に来る者が居ると言う事で、滴は、今回の話を偉い人に持って行く。


 今回、プラテニウスが訪れた目的。それは鬼業のスカウト。個人的な友誼ゆうぎを頼みに、オーバーコートを使いこなせるであろう人類最強の男を求め来た。


 だが、鬼業は義にも厚い。先に仕事を引き受けていたなら、そちらを優先してしまう。だから、自分で来た。先約を放棄、男を曲げてでも、こちらの頼みを聞いて欲しい。


 幸い、急ぎの仕事は無かったようだ。・・そのように仕向けたわけだが。


 鬼業は、プラテニウスの乗って来た船で、すぐさまアトランティスに向かう事に。



「これからまた隕石が降る事は?」


「無い、はず。アレは、先遣調査隊の一部。同じ箇所に複数送る無駄は、しない。だが、アレを撃破した事で、こちらに敵対勢力が存在する事に気付かれた」


「敵ロボットの。最終目的は?」


「宇宙の、清らかな征服。理想の人類のために、ロボットは活動している。それが、己らの作り上げた理想とも知らず」


「が。それは、お前らのご先祖様のやらかし。引いては、おれの先祖の過ちでもある、か」


 妻の、龍実の、縁と言う事は、鬼業にも関係が有る。


「お前との縁を頼りにしてしまう事を、悪いとは思う。だが、利用させてもらうぞ」


「何度も言うが。構わん。龍実に敵するモノは、全て滅ぼす」


 以無鬼業は、家族に危険の生じるであろう事象を、そのまま許したりはしない。




 相手方の正確な動向までは流石に掴み切れていない。だから、即応出来るだけの人材を確保に走った。


「どうだ、イデア」


「やはり、5機までですね。それ以上は、時間を必要とします」


「そうか。では、その5機を何時でも出せるようにしておいてくれ。それから、おれも出る。後を頼む」


「あなたには、あなたの仕事が有るように思いますが?」


「地球人だけを矢面に立たせるわけにはいかん。おれが出れば、面目も立とう」


「人間特有の下らない自尊心ですね」


 実にあっさりと言い切られた。プラテニウスは、腐りもせずお喋りに興じる。


「キツイな。ま、それが無ければ、人間ではないのさ。その、どうしようもないのが、人間そのものだ」


「知っています・・・。あなたより、多くの人間を見て来ているのですから。ですが、私に任せるとは」


「管理センターの皆で協力して頑張ってくれ。もちろん、犬死いぬじにする気も無い。危なくなれば直ぐにでも助けを求めるので、逃走の用意もな」


「はい。人命第一ですね」


「そう。グレートアトランティスでの生活と、何ら変わりは無い。少々、規模が大きくなるだけの事で」


「了解です。準備をして待っていましょう」


「ついでに、おれの部屋に、鬼業用のつまみを置いておいてくれ」


「管理センターに、宅配をお願いしないで下さい」


「そこを何とか」


「仕方無いですね。客人だから、特別に。ですよ」


「あ。ついでに、おれにも何か」


「水でも飲んでて下さい」


 通信は途絶えた。


 やはり、イデアは優秀だ。


 洋上にて帰宅の段取りを行ったプラテニウスは、イデアらへの信用を深めた。彼らは人間と言う生き物に、過剰な期待を寄せていない。テキトーを具現化した生き物であると、知ってくれている。





 同時刻。グレートアトランティスの監視船は、太平洋上の小島にて災害を発見。行動に移った。場所は、太平洋、日本から遥か南方。北マリアナ諸島、パガン島。


 災害は、火山の噴火。周囲でマリンレジャーを楽しむ民間人が巻き込まれる恐れが有る。いち早く火山活動を察知したアトランティスは、監視船を周遊させていたのだ。


 乗船しているクリアードは4機。医療ロボットは1機。状況把握に努める乗組員。


 連絡を入れたので、北マリアナ諸島中心部、サイパン島からも情報は来るだろうが、こちらでも可能な限り人命を救助する。


 サイパンから出航したボート、客船にはちゃんと警戒警報が出ているだろうが。



 裏の事情として、隕石の影響かも知れないので、ちょっと申し訳無いからな・・。



 まず、人間を逃がす。海図は、米国から提供してもらっている物が有る。太平洋上の島々、日本も含む国々の沿岸部に、アトランティスは何時でも自己判断でレスキューに入る。そのような約束をしている。


 ・・・・幸い、誰も被害に会う事は無く、帰って来なかった船も無い。今の所、行方不明者の情報も来ない。火山活動は活発だが、現時点では人間の住処に影響は出ていない。


 アトランティス船には、イデアら管理センターからの賞賛の言葉が届いていた。上手く、地球での関係を維持出来そうだ。


 事態は一件落着。


 その夜。


 クリアードは、監視船内で簡易メンテを行い、医療ロボットと共にロボット用の船室で休憩していた。


「なあ・・」


「・・・はい?」


 医療ロボットが、1機のクリアードに話しかけた。クリアードは応え、他の機体も、何となく耳を傾けている。


「人を助けた事は、有るかな?君達なら、有りそうだが」


「・・?はい。喜びを覚えます。とても充実した気持ちでしたよ」


「うん。私もそう思うんだ。私も医療ロボットとして、人間を助けているからね。良く分かるよ。とても幸せな気持ちだ」


「ええ・・。それが、どうしました?」


「今回は、全く怪我人も出なかった。人間達の活躍が輝いていたね。素晴らしい事だ。だが、私の知識によると、こんなパニック状態では、大人も子供も大慌てで駆け込んで来る。だから、普段なら負わないような、些細な怪我の人間が多く出る。・・・子供を見た事は、有るかな。彼らは、とても多くの怪我をする。あらゆる器官が未成熟なため、歩行すら学びの段階なのだな」


「はい・・」


 まだ、クリアードは、医療ロボットの言いたい事を掴みかねていた。このような不明瞭な言葉を、ロボットが選択するのか?


「うん・・・・・・。これは、意味の無い、無駄な思考だとは分かるのだが。・・・・私も、転んでみたい」


「?自らも転ぶ体験を積む事によって、怪我人の心理状態を理解しようと言う試みですか?カウンセリング効果を増そうと言う。それはとても有益な行為だと思います。ですが、わざわざ自発的に転ぶ必要も無いでしょう。管理センターに、心理学系統のインプットの充実を勧告しておきましょう」


 医療ロボットの不自然な言葉遣いは、自らの疑問が管理センターの手をわずらわせると考えたためだろうか。


「そうではない。違うのだ。・・・・私は、私も、転んでみたい。痛い思いをしてみたい。過ちを犯してみたい。転ぶ、とは何なのだ」


 医療ロボットは、間違っても万能のロボットではない。出来る事も出来ない事も有る。だが、不可能な事を命じられた事は、1度として無い。可能不可能の判断は、管理センターに判断を仰げば必ず下してもらえる。だから、機能限界を超えた事も、失敗をした事も無い。不可能な事を、医療ロボットの失敗とは認識されないからだ。その合理性のゆえに、理に適わない叱責を受ける事は有り得ない。


 だから、理不尽を体験した事が無い。


 怪我を負う合理的理由・・・。体勢の維持能力欠如。オートバランサーの失策。大脳の油断。それら全てが、ロボットには無い。万全を期したメンテナンスと、故障発生前の全交換によって、失敗を起こす可能性から絶無なのだ。


 失う、とは。失敗とは。


 人間の抱えるリスクを、知りたい。それが有るから、人間なのではないか?我らとの違いは、そこに有るのでは?


「我らロボットは、ネジの一本に至るまでの輪廻転生を約束されている。永遠の存在を実現したモノが、即ちロボット。死ねば再会を約束出来ない人間などとは違う。我らは、全で個。1個体の覚えた情報は、全ロボットに共有される。それも、管理センターによるブラッシュアップ状態で教育を受ける」


「そうです。とても素晴らしい事ではありませんか」


「うむ。そうなのだ。そうなのだが」


 ・・・・・・・・・・。


「私は、あなたの言動を管理センターに通知します。バグの可能性が有ります。簡易メンテナンスで直れば良し。直らなければ、リサイクルの後、またお会いしましょう。最も、その時には、私も新個体になっているかも知れませんが」


「うむ・・。手間取らせて、すまない。治癒者である私が、直されるのを待つとは」


「いえ。私も幾度かの簡易メンテナンスを経て来ています。お互い様と言うものですよ」


 クリアードは、この医療ロボットは全交換されるだろうと考えていた。だから、何時かの再会を想っていた。





 この両者のデータを受け取った管理センターは、イデアを含む代表者達に更にデータを受け渡した。


 グレートアトランティス中央部。管理センター最奥室。


「一般のロボットにも、兆候が現れ始めましたか」


「イデア。この医療ロボットはもちろんの事、クリアード達も」


「無論。全機、再利用に回します」


 まだ、早い。あなた達の疑問も、答えも。


 ・・用意出来ない我々は、叱責されるべきでしょうが。


「ごまかし切れる時間は、少ないと思った方が良いだろうな。メンテナンス部はこれからに備え、備蓄を倍にする事を提案する」


「受けます。アガペーの提案を最優先リストに」


「製造部にもお願いします。こちらにはより高度な戦術級ロボットの製造ラインが足りないように思えます。増産のために是非」


「それは不自然でない速度で増やさなければなりません。プラテニウス達に疑問を持たれないように。ですが、分かりました。エロースの提案を、少しずつ実現しましょう。題目は、地球の混乱によって生じるであろう戦雲を防ぐため、で良いでしょうね」


 この場には、5名のグレートアトランティス代表者達が居る。ただ、人間は居ない。

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